新しい生活の始まり
「カーネルさん、買ってきた絵の具はどこに置いたらいいですか?」と活発な男性の声が聞こえる。
「はい、はい、こちらに道具箱を用意しておきましたよ。とは言っても元はリンゴが入っていた箱なんですけどね。」とはははっと笑って答えている。
「神父さん~。そろそろお茶にしませんか。あたしはもうのどが渇いて渇いて。」と白髪頭の上品な年配の女性がお茶を催促している。
「そうですね。サラそろそろお茶にしよう。用意を頼むよ。こちらのフローレンスさんの分も頼む。」
「わかったわ。皆さん少し待っててくださいね。」とお茶の用意をしにサラさんが動き出したので、「あっお手伝いします。」とサラさんに着いて行った。
「フローレンスさんは自分でお茶を入れることは有るの?」と歩きながらサラさんが聞いてきたので「ええ、絵本を描いているときは自分で入れて楽しんでますよ。」と答えた。
「そう、貴族の方だと自分で入れたこと無いという方も多くて。教えて良いものなら教えたいっていつも思っちゃうのよ。」と笑っておられた。
「皆さん自分の家から通って来られるんですか?」
「ええそうよ。さっきのナタリーおばあちゃんはここの信者さんよ。後、画家のマックは放浪の画家だからひょこっと表れてはひょこっと帰って行くわ。最後まで描き切ってくれるとは言ってるけど。一応彼が絵柄を決めたのよ。また後で図柄を見せて貰うといいわ。」と話してくれた。
サラにこの土地グラナダの話を聞きながらお茶の用意をし、礼拝堂の隣に休憩室があるのでそこへ2人で運んだ。フローレンスはテーブルに飲みやすいようカップを置いた。
「皆さん、お茶が入りましたよ~。」とサラさんが声をかけるとゾロゾロと休憩室に入って来た。
「所でカーネルさん、そちらの女性はいつ紹介してくれるんだい?」とおばあちゃんがフローレンスを見ながら話している。
「あぁ、もちろん紹介するよ。こちらはフローレンスさんだ。トリニティの方から来られた。絵の方は絵本を趣味でされているそうだ。」と神父さんが皆さんに説明をしてくれました。
そうすると、先ほど絵具を運んで来られた、口髭を蓄えた目元の優しげな男性が穏やかに話し出した。
「そうですか。私は画家のマックと言います。放浪の画家で色んな地方で満足が行くまでその土地の絵を描いています。宜しくお願いします。」とにっこり笑って挨拶した。
「じゃあ、私も。私の名前はナタリーよ。可愛いお嬢さん、こんなおばあちゃんだけど一緒に頑張って下さいね。」と人好きのする笑顔で挨拶してくれた。
「ナタリーさん、マックさんどうか宜しくお願いします。」とフローレンスも挨拶した。
お茶をひと口飲んだマックさんから、「そうそう、私が原案を決めたんだ。後で確認して貰えるかな?」と言われた。
「はい、わかりました。後で見せてください。」そう答えると横からサラさんが
「フローレンスさん、そうしたら先にこれから間借りするお家の方へ行きましょう。荷物の事もあるので明るいうちが良いでしょう?」と言い出した。
「ええ、そうですね。ではお願い出来ますか?」と話すと、サラさんは立ち上がり「ここをちょっとお願いします。」と残りの人達にお茶の後片付けを頼むと一緒に教会を出た。
これからお世話になる子爵家はマリアンナ教会から歩いて2~3分の所にあった。
「こちらの子爵家はサンダース家よ。この辺りを治めてらっしゃるわ。教会にもいつもたくさんのご寄付を頂いてるの。」とサラさんはにこやかに説明をした。
サンダース家は古い歴史を感じさせる屋敷だった。サラは玄関アーチをくぐり、古びたドアの前まで行くとノックをした。
「すいません、マリアンナ教会のサラです。今日からお手伝いに来られた方をお願いしたいと思います。」と言うとドアが開き、「あぁ、サラさんこんにちは。」と中から上品な奥様が出て来られた。




