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―異質― 邂逅の編/日本国の〝隊〟 その異世界を巡る叙事詩――  作者: EPIC
チャプター12:「Battle of Wind Route」
131/224

12-1:「丘の上にはヤツ等がいる」

「ここだ」

「うえッ、また弾かれた。自由さん性格悪い」


 薄暗く狭い空間で、制刻と出蔵の会話が聞こえる。

 その場所は深さ、幅共に2mも無い。そして周囲は全て湿った土だ。唯一の例外は上面を覆う濃緑色のビニールシートだが、これもひっきりなしに雨粒の音と感触を伝え、不快感を煽る。

 そこは地面をほりさげ構築された、塹壕の中であった。

 そしてその不快な塹壕空間の床面、制刻と出蔵の間には、通常より小さく作られたバックギャモンの板。


「あ。やったゾロ目」


 二人は先ほどから、時間を潰すために制刻の持ち込んだミニバックギャモンで遊んでいた。


「なんでそんなもん持ち込んでんだよ」


 制刻の背後から覗き込んでいた竹泉が呆れ顔で言い放つ。

 彼は勝負を続ける二人から目を離し、暗視眼鏡を付け直す。そして、塹壕の一点に設けられたスポットに、三脚で据え置かれた92式7.7mm重機関銃の、その銃身が突き出している地面とビニールの隙間から、外へと目を向けた。

 そこから望めるのは、眼下で東西に伸びる幅の広い谷間の道だった。

 凪美の町と草風の村の行路上には、浅く幅の広い谷が2~3km程続いている地域がある。

 この塹壕は、その谷の南側を走る丘の上に作られていた物であった。


「ったく、どんだけ面倒事が溢れてくんだよ」


 外を監視しながら愚痴る竹泉。

 身柄を拘束した商議会の手先、リーサーの証言は、邦人の一件とは別に、もう一つの問題を発覚させた。

 昨晩村を襲った傭兵団の本隊が、再び村を襲撃すべく、こちらへに向っている事が判明したのだ。

 これに対し隊側は、その傭兵団の進路上で陣地を張り、傭兵団を待ち伏せし殲滅する作戦を立てる。そして、待ち伏せ地点にこの谷が選ばれたのだ。

 谷の各所には、この場の物も含め、計四つの塹壕陣地が構築されている。。

 制刻等の塹壕は谷のおよそ中間地点に作られ、主要火器として92式7.7mm重機関銃と12.7mm重機関銃が一門ずつ据え置いてあった。

 そしてここより後方にも同形態の塹壕陣地が一つ。他に一回り小さい観測壕が二つ.、谷の要点に設けられている。加えて、谷より南に離れた地点には、迫撃砲陣地も築かれていた。


「こんな鬱陶しい環境に、いつまで閉じこもってりゃいいんだ」


 現在置かれた環境を愚痴りながら、竹泉は傍らに置かれた無線機のマイクを手に取った。


「河義三曹ォ、こちら竹泉。そっちに何か変化はありましたでしょうかぁ?」

《こちらは未だ敵影見えず。他に特に伝えるような事もないぞ》


 竹泉の呼びかけに応答したのは河義だ。この塹壕陣地よりさらに数百メートル東では、

河義三曹等が、そこにある谷の入口の監視を行っていた。


「俺としましては、そもそもその傭兵の本隊とやらがアホ正直にこんな所通るのか、疑問しょうがねぇんですがね?」

《通らざるを得ないはずだ。この近辺は足場が悪い、そして敵は騎兵が中心で二個中隊規模だそうだ、それも短い期間で片付けろとの命令を受けているらしい。一騎二騎ならともかく、そんな大所帯が一晩で一度に通れるのはここだけだ。でなけりゃ数日かけて大きく迂回しなけりゃならない》

「えぇ、そりゃ知ってますよ。作戦の概要はさんざん聞かされましたからねぇ」


 竹泉の投げた疑問の声に、河義から説明の言葉が返る。しかし竹泉はそれに、上官相手だというのにどこか嫌味な口調で、承知している旨を返した。


《じゃあなんで聞いてきたんだ》

「そんなカスみたいな命令を受けたら、俺だったら全部ぶんなげて帰ることにしますから、敵も同じなんじゃねぇかとおもったんですよォ!」

《ああそうかい………》


河儀は竹泉の皮肉な台詞に呆れ声を漏らした。


《どうでもいいけど、お前の態度の酷さはホント噂に聞いた通りだな。一士昇任を見送られたヤツなんて、俺始めてみたぞ》

「おべんちゃら使って上官の尻に頬ずりしてたって、自身の向上には繋がりませんからねぇ!」

《もうずっと言ってろ。愚痴しかいう事無いなら切るぞ》


 そう言って、無線は一方的に切れた。


「えーと、じゃあここに」

「目は3だぞ。そこにゃ置けねぇ」

「あ、そっか」


 一方、竹泉の背後ではバックギャモンが続いている。


「出蔵。おめぇ、実際に盤上でやったことはねぇのか?」

「あー、はい実は。いつもはパソコンでやってたんで、打てる箇所の判別はアシストに頼ってて……」

「お前等はそんな運任せの単純なゲームを、よくも飽きずにパチパチパチパチやれるもんだなぁ!?」


 ここ数日の疲労に加え、現在の環境のせいでイライラもあってか、竹泉は背後でボードゲームに興じる二人に向って怒鳴った。


「うるせぇ」

「こっちに当たられても困りますよ」


 しかし二人は竹泉の罵声を軽くあしらい、淡々とバックギャモンを続ける。


「運だけのゲームじゃないんですよ、出たサイコロの目から、いかに最善のコマの進め方を出来るかが肝心で――」

「ここだな」

「あ」


 出蔵の孤立していたコマが再び弾かれた。


「………あぁ、アホらし」


 二人の淡々とした姿に、自分の行動のほうが馬鹿馬鹿しくなったのか、竹泉は視線を戻し、外の監視作業へと戻った。


「おい竹泉」


 そんな竹泉の行動を見かねたのか、別方向を監視していた鳳藤が口を開く。


「疲れているのは皆同じだ。だが、今この状況で――」

「あぁ、そういうのはいいんだよ」


 だが鳳藤の説教は全てを発する前に、竹泉のその一言で流されてしまった。


「おいッ!お前ッ……少しは聞く姿勢を――」


 言いかけた鳳藤だったが、ちょうどそこへ、彼女の台詞を遮るように無線に声が飛び込んできた。


《ジャンカーL2聞こえるか、河義だ。敵が見えたぞ………ッ!》




 草風の村と凪美の町を結ぶ道がある。

 道といっても人々の行き来で自然に出来た道であり、ちゃんと整備されているわけではない。現在は雨のせいで大分ぬかるんでいる。

 そしてその道を行く、およそ200騎近い騎兵の姿があった。

 彼等は昨晩、草風の村を襲った傭兵団の本隊であり、名を〝月歌狼の傭兵団〟と言った。

 傭兵団は現在、雇い主である商議会からの命を受け、草風の村に向けて進軍している最中であった。隊列は、まず先鋒を勤める30騎ほどの騎兵部隊が先行していて、その後ろに100騎近くからなる本隊の第1部隊が続いていた。


「……まったく、どうなっておるんだ」


 その本隊の先頭で、馬に跨る初老の男性がつぶやく。彼こそがこの月歌狼の傭兵団の頭領だった。


「翔狼隊が壊滅などと……信じられるものか」


 傭兵団の頭領は馬上で呟いている。

 彼は今朝方、眠っているところを叩き起こされ、草風の村へ差し向けた傭兵団の壊滅を知らされたのだが、その報告を素直に受け入れる事はできなかった。


「あの村にそんな戦力があるとは到底考えられん。トイチナ、お前はどう考える?」

「村の側も、傭兵を雇い入れたのではないでしょうか?」


 頭領の左隣を並走する、トイチナと呼ばれた中年の男性が発する。

 彼はこの月歌狼の傭兵団の本隊第1部隊、〝親狼隊〟の隊長だ。


「この近隣で、翔狼隊を壊滅させられるほど大きな規模の傭兵団の活動は聞いていない。いや、たとえそのような奴等がいたとしても、瞬狼隊も素人ではない。わずか数名を残して壊滅などありえん!それに……生きて帰ってきた者達の言葉も不可解だ」


 トイチナの推測に、しかし釈然としないように言葉を返す頭領。

 草風の村を襲った部隊、〝翔狼隊〟はほとんど壊滅状態だったが、一部の傭兵達は難を逃れて凪美の町へと逃げ帰っていた。しかし、その者たちが伝えてきた言葉の内容は、にわかには信じがたい物ばかりだった。


「弓兵か魔術師かは知らぬが、我々よりもはるかに速い速度で人を射抜く兵がいた、などと言っておった。他にも勝手に動き回る荷車や、車輪で動き回る怪物などという者までいたぞ。一体あの村で何を見たのだ……?」


 生き残りの部下達からの報告を思い出し、考え込む頭領。頭領のその表情は、まるで出来の悪い怪談話でも聞かされたかのようだった。


「村人の中に、高位の魔術師か魔獣がいるのでしょうか?あるいは村の人間が、何らかの策を講じたのか」

「予想できるのはそんな所か……何にせよ、情報が何も無いも同じだ。本来なら数日かけて下調べをする所だが……商議会も無茶な要求をして来おる」


 草風の村襲撃失敗の報を受けた商議会は、傭兵団に最長でも明日夕刻までの事態解決を要求してきた。

 ちなみに傭兵団には目標の村は、商議会に、国に反発する不穏分子の温床になっているのだという説明が成されていた。


「向こうは我々が雑な仕事をしたと疑っているらしいです。まったく、何をしているかはしりませんが、向こうに不具合が続いたからと言って、我々に当たられるなど迷惑な話です」


 親狼隊長トイチナは不服そうに呟く。


「そうだな。だが、請け負った依頼を翔狼隊が完遂できなかったのも事実だ。我々は翔狼隊の依頼を引き継いで完遂しなければならない。そして何が翔狼隊を壊滅させたのか調べなければ」


 どちらかというと、頭領達の本命は後者であった。

 先に草風の村を襲撃した翔狼隊は、傭兵団の中では比較的最近出来た隊であったが、すでにいくつかの厳しい戦いを経験しており、小さな村の自警団ごときに壊滅させられるような素人集団ではなかった。

 だがその翔狼隊が壊滅させられたという事は、あの村には何かがあるのだ。

 現在、紅の国を活動拠点としている月歌狼の傭兵団としては、それが何であれ放っておくわけにはいかなかった。


「頭領、谷が見えました」


 頭領の右隣を並走している、頭領の参謀である傭兵が頭領に話しかける。

 進路の先に谷の入口が見えた。この谷は凪美の町から見て三分の二ほどの距離にあり、ここを越えれば目的の草風の村まであと少しだった。


「到着まであと少しですね、予定道理進んでくれればいいですが」


 傭兵団は深夜の内に草風の村に到着し、まずは暗闇に乗じての偵察、周辺調査を実行。

 そして隙が出来やすいであろう、夜明けの直前に総攻撃を仕掛け、その後に村人の口封じと情報の回収を行い、撤収する計画だった。


「………全隊を停止させろ」


 しかし進軍の最中、頭領は唐突にそんな命じる言葉を上げた。


「はい?」

「聞こえなかったか?全隊停止だ!」

「は、はッ!全隊停止ッ!」


 命を受け、トイチナが号令を上げると、その号令が周辺の傭兵達へと伝播してゆく。

 そして号令を聞いた別隊の隊長達が、同様の号令を繰り返し上げ、命令は傭兵団全体へと伝播。

 傭兵団は谷の入口前で停止した。


「………」

「頭領、どうされました?」


 トイチナは、谷の入口を睨みつけ、難しい表情を作っている頭領に問いかける。


「分からんか?谷間の道は広く、両側の丘の上から容易に見渡せる……奇襲にはもってこいの地形だ」

「奇襲……ですか?」


 トイチナは頭領の言葉を耳にし、谷の入口を凝視する。


「翔狼隊を壊滅させた連中が、ここで待ち伏せているという事も十分に考えられる」

「それは、そうですが……」


 親狼隊長は再度谷を視界に収め、感覚を研ぎ澄まし周囲を観察する。

 もし、傭兵団と渡り合えるような大規模な敵が潜んでいるのであれば、姿こそ見えなくとも、その気配はとっくに感じ取れているはずだった。

 だが、谷からそんな気配を感じる事はできなかった。


「……数名ならともかく、大規模な数の敵が隠れている気配は感じられません」

「少数の魔術師や魔獣の可能性は?お前がさっき言ったばかりだろう」

「は、そうでした。イレマ、魔力感知で谷に魔術師や魔術トラップが潜んでいないか調べろ」


 トイチナは、自身の斜め後ろにいる女性に指示を出した。


「はい」


 イレマと呼ばれた女性は返事をすると、小さな木箱を取り出して両手に持った。

 その木箱は、正確には各所がくり抜かれて模様になっており、中には野球ボールサイズの水晶玉が納まっている。

 彼女は木箱を胸の高さまで持ってくると、目をつむり、何かに祈るような姿勢を取った。

 彼女は自身の能力と水晶玉で、周辺の魔術師や魔力を持つ存在、魔術道具や設置された魔法陣等を感知する事ができる術師であった。そして繰り出された水晶玉は、その能力を増強、補佐する役割を持つ。

 これ等を用いて、彼女は谷に魔力を有する存在が潜んでいないか、その調査を始めたのだ。

 最も、この世界では小動物や昆虫、植物、果ては無機物までが微量ながら魔力を持つため、イレマはそれらの発する微弱な魔力は気にせず、脅威となりうる一定以上の魔力のみの感知に努めていた。


「ラミ」


 トイチナはイレマが調査を始めた姿を見届けると、イレマの隣にいる別の少女に問いかけた。


「はい!」


 ラミと呼ばれた少女が返事をする。


「遠方知覚魔法で谷全域を上から調べるんだ」

「あの……でも夜間で、それもこの天気です。私の能力では何かいたとしても発見できるかどうか……」


 指示を受けるも、ラミは自信がなさそうに答える。


「大型の魔獣や攻城兵器の類に注意すればいい。やるんだ」

「は、はい」


 しかし指示を受け、戸惑いながらもラミは目を閉じて詠唱を始める。すると、赤い拳大の発光体が彼女の体の上に現れた。

 発光体は上空に浮かび上がると、谷の方向へと飛んでいった。

 遠方知覚魔法にはいくつか種類が存在するが、彼女の能力は今のように発光体を飛ばし、 発光体が視認した物を術者が感じ取るという、現代におけるドローン偵察機に似通った物だった。


「隊長」


 入れ替わりに、魔力感知を終えたイレマが、トイチナに声をかける。


「イレマ、どうだ?周辺に高位魔法の存在を感知できるか?」

「一番強い魔力は、後方にいる剣狼隊隊長の物です。他に感じる強い魔力も、我々傭兵団の術師の物のみ。他には何も察知できません」

「そうか……ラミ、谷の様子はどうだ?」

「……少なくとも、我々と拮抗しうるような数の兵、並びに脅威となりうる魔獣や大掛かりな兵器の存在は確認できません」


 発光体を飛ばす方式の遠方知覚魔法は、術者の魔力と技能によって、発光体の出現時間、行動範囲、出現数、はては解像度から機動までさまざまな制約を受けた。

 ラミの技能では谷の上空を大きく周回させるのが限度で、隅々まで調べるような芸当は適わなかったが、少なくとも傭兵団に脅威となるような大掛かりな代物は、確認できなかったようだ。


「ご苦労」


 二人の報告を聞き届けると、トイチナは頭領へと向き直る。


「頭領、魔法感知では特に異常は確認できません」

「そうか……」


 トイチナの言葉に、歯切れの悪い返事を返す頭領。


「……頭領、迂回を考えておられるんですか?」


 トイチナの問いかけに、頭領は無言の肯定を寄越す。

 報告を聞いてもなお、頭領は疑念を払拭できないようだ。


「危険です。この周辺は岩場ばかりで地面も悪く、馬での移動はかなりの困難を伴います。ましてこの雨では、下手をすれば多くの落伍者を出す事になります」


 悩む頭領に、トイチナは進言をした。


「最悪、斧と破力の街を攻めたときの二の舞です」


 傭兵団は過去に攻城戦において、敵を欺くために無茶な迂回を敢行し、多数の落伍者を出した事例があった。その時は作戦自体が依頼主からの要請であり、致し方なかった面もあったが、結果、傭兵団は攻城戦において苦戦を強いられる事となった。

 トイチナはその事を思い返し、そして今回、未知の敵との戦闘を前にして、落伍により戦力を損失する事を心配していた。


「頭領」

「……分かっておる、部隊をいくつかに分けてこの谷を抜けるぞ。レダ隊長!」


 頭領は前方で待機している男性に声をかける。


「は!」


 レダと呼ばれた30台前半の男性が答える。彼は傭兵団の尖兵を担う瞬狼隊の隊長だ。


「まず瞬狼隊が先陣だ。親狼隊より300スイリチ(約150メートル)の間隔を空け、陣形を取れ」

「分かりました!瞬狼隊ーッ!本隊より300スイリチ先で警戒陣形だ!モタモタするなよ!」


 レダという名の瞬狼隊隊長が大声を張り上げる。

 その指示を受け、前方にいる30騎近くの騎兵が、本隊から距離を空けながら展開を始めた。


「トイチナ。親狼隊もいくつかのグループに分けて、グループごとに警戒陣形を取らせろ。それと……谷の左側の丘は比較的なだらかだな。数名を上げて、上から本隊を援護させろ」

「は。聞いたな、親狼隊!10人隊ごとに分かれて警戒陣形!エミュリの隊は徒歩で丘の上に上がれ!」


 トイチナは自分の指揮する親狼隊に指示を出して行く。


「パリタ」

「はい!」


 頭領は伝令の若い傭兵を呼び寄せる。


「衛狼隊は先陣が無事谷を抜けるまで待機。瞬狼隊が谷を抜け次第伝令を送り、谷に入らせる。剣狼隊は他三隊が谷を抜け終えるまで、不測の事態に備えて最後までこの場で待機。この旨を両方の隊長に伝えろ」

「は!」


 伝達内容を受け、伝令の傭兵は後方の部隊へと馬を走らせていった。


「……頭領、もしもの時の対処を剣狼隊に任せるんですか?」


 それと入れ替わりに、自身の隊に指示を出し終えたトイチナが、頭領に疑念の声を投げかけて来た。


「剣狼隊は切り札だ。不測の事態があっても、剣狼隊には十分対処できる力がある」

「確かにそうですが……」

「何か不満か?剣狼隊は優秀で結束も強い」

「そうですが……その結束の仕方がいささか歪だと私は感じています。まして、剣狼隊隊長の人柄を考えると……剣狼隊に緊急時の対処を委ねるのはいささか気が引けます」


 親狼隊長はいささか不快そうな顔を浮かべる。


「……お前の言いたい事も分からないではないが、今それは些細な事柄だ」

「……は、場違いな事を言いました」

「よし――前進する!」

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