どうしましょうか、
「確実なのですね…。この王都に……。」
『ああ。だがまだ気配が弱く、動きも無い。』
「その気配が大きく、強くなったら…どうなるのでしょうか?」
『この地に災禍と崩壊、破滅が訪れるであろうな。』
思わず息を呑む…
『だがまだまだ何か影響を与えるほどの力は持っていない。暫くは何事も無いだろう。』
「そ、そうですか……。」
『あぁ、そうだ。気配が弱過ぎて我でも何とか気付けた程度。この我が、だぞ?見つけるなど今の状態では不可能だ。ましてやお主などでは何も出来ぬだろう。それに我が話さなければ気づきすらしていなかっただろう?』
「そうですね……。」
『今は余計な事など考えずに寝るのが一番だ。もう遅いぞ。それにお主疲れておるのだろう?身体の為にも休め。その方が頭もスッキリするだろう。』
………。
「そうですね、ありがとうクラルス。」
わざわざ私の為に……。
クラルスに気を遣われてしまうなど情けないですね、
では遠慮なく……
「クラルス、では一緒に寝ましょう。大きくなってください!」
そして大きくなったクラルスに〜だーいぶ!
ふぁああああ!
沈むぅぅ!
意識があっという間に……
「………クラルス…私の為に…ありがとう…ございます…」
『ふんっ。お主が思い詰めそうだったからだ。』
『おいお主、何時まで寝ている。』
「…………っ…………、」
『声になっとらんぞ!日はもう明けているぞ。』
「…………!」
『手を挙げてどうする!日が上るまで寝るつもりか?今日は靴の採寸がと言っておったでは無いか!』
はっ!
起き上がろうとしますが…
身体が沈むだけで上手く起き上がれません…
「………クラルス〜もう少しだけぇ〜」
『…………。』
ズルッ
「あいたっ!」
床に滑り落とすなんて……レディに対する扱いですか?!
『お主が起きないからだ。』
「だからって〜……?私口に出ておりましたか?」
『いや、顔に書いてあったぞ。女性にに対する扱いか?とな。不満そうな顔だったな。ふはは、そんなに我の毛並みは良いか!まぁ納得だな!』
「くっ!」
少し憎らしいですが…事実です。
最高の毛並みでございます。
「ふぅ、おはようございますクラルス。」
『ああおはようフィーリア。早く支度をした方が良いと思うぞ?』
「そ、そうでしたね、」
パタパタと急いで支度をする、
ふぅ〜、支度は済みましたね。
しかしどうも朝は苦手ですね、
足元はふらふらしますし頭はくらくらと…ふぅ、
大分落ち着きましたね、
さて、朝のお食事に参りましょうか、
「クラルスもお食事に…」
『勿論だ!』
すると今度はウェルトスさんの姿に…
これまたそっくりですね〜、
何度見ても素晴らしい技術ですね〜、
「一度見ればその人の姿になれるのでしょうか?」
『姿だけならな、まぁこれも錬磨の繰り返しだからな。様々な種族、姿へ変わることで熟練度が上がるからな。
その点人は個性がわかり易く、また個体数も多いからな。錬磨には良いのだが、街で見てそのまま街で姿を変えると問題が起こるからな、
かと言って人の居ないような森の奥で人の姿になるとな…我の気配は感じておろうに阿呆が襲ってくるのだ。まったく。
だがこの屋敷の中なら好きに姿を変えられるからな!良い錬磨になる。』
……クラルスも案外努力家なのですね…
確かにあれ程の技術ですものね。
驕らないその姿、私も見習わなくてはなりませんね。
「その努力があるからこその技術なのですね、納得です。」
『馴れれば、又はその者と長く共に居れば癖や仕草といった個性も再現できるだろう。』
「それは恐ろしいですね…」
『恐ろしいとはなんだ。素晴らしいと申せ。』
ウィルトス様とウェルトスさんはもう食卓に着いていたようですね、
「おはようございます。遅くなりすみません、」
「おはようフィーリア、」
「おはようございます、お気になさらず。
……それで…、クラルス様…私の姿はお止め頂けないでしょうか…?
あ、兄上が恐ろしく……。」
………?ウィルトス様が?ですか?
ウィルトス様を見てみますが…
目が合うとにっこりと微笑んでいらっしゃいます、
……なのに…恐ろしい?
よく分かりませんね、
『ウィルトスとフィーリアは夫婦なのか?』
「いえ?」
(ビクッ)
「フィ、フィーリア?ち、ちがうのかぃ?」
「…?いえ、結婚はしておりませんから。
結婚を約束した婚約者、ですね。」
『……?人族ではそのような者同士、特におなごは指輪をしておるのではないのか?』
「あぁ、そういう事ですね。確かにその様な風習がありますね、しかし私たちは婚約して今日でまだ五日目なのです、それにひと月後には結婚致しますし、特に気にしておりませんでしたね。」
『ふむ。そうであったのか、』
「………フィーリア、すまない。僕がもたもたとしているせいで…。指輪は婚約や婚姻をわかり易く示すものだからね、僕がきちんと渡していれば君があの様な下品な奴にあの様な事を言われる事も無かったのに…、」
「指輪…いえ、そもそも身分を示すものならば私はアウストラリス王国の王族の紋章の入った指輪を常に身に着けております。なので」
「そういう事ではなくて、」
『まぁそれは後だ、』
「…そうですね、昨晩のお話をお二人にもお願いします、」
『あぁ、』
クラルスが王都に居た理由、嫌な気配について話す、
「清浄と明かりを司るクラルスが……か。」
「クラルス様、大まかな気配の位置…と申しますか根源などはお分かりになるのでしょうか…」
『ふむ、気配はこの街全体にある。そしてどれも同等な強さ、いや、弱さだ。もう暫くすれば根源のみが強くなっていくだろう。そうすれば位置は直ぐにわかる。』
「そ、そうなのですか…。王都全体に……。」
「本日そのお話を陛下にしても宜しいでしょうか、」
『あぁ、好きにするが良い。』
「ありがとうございます。」
「兄さん、そろそろ城に参りましょう、」
「あぁ、そうだな。」
「行ってらっしゃいませ、」
「あぁ、行ってくるよ。」
「行ってまいります。」
「……どうなるのでしょうか?」
『それは我にも解らぬ。だが我に出来ることはしよう。』
「ありがとうございます、クラルス。」
『なに、今はお主の従魔、相棒だ。気にすることは無い。』
「ふふっ、それでも、です。」
私には勿体ない、本当に良い相棒ですね、




