街
「これからどう致しましょうか?」
「食事にでもしようか、」
そう言われてみれば…お腹が空いていますね……
ありがたい提案ですね、
ですが…
「私は王城から出てもよろしいのでしょうか?」
「あぁ、御自由になさって構わないと陛下の許可も頂いているし、陛下のサインの入った仮の身分証ももらったからね、」
いつの間に……?
いえ、あの侍従長さんが動いたのなら…
納得ですね。
リビティウム王国の食事ですか…
アウストラリス王国と少し植生も違うと前に資料で読みましたね…
どんな食事、いえ、食べ物があるのか、とても楽しみですね。
「街に出てみようと思っているのだけどどうかな?」
「ぜひ行ってみたいです!」
「そうか、さっそく行ってみようか、」
「はい、」
「街に行くなら歩いてみるかい?」
「よろしいのですか?」
「ははっ、聞くのは寧ろこっちの方だよ。
アウストラリス王国の王女殿下を歩かせていいものか、とね。
あと、疲れているだろう?君次第だ。」
「いえ、私のことは皆さん知らないでしょうから。それよりもこの国の侯爵家当主であるウィルトス様が馬車を使わずに歩いている方が問題です、」
「ははは、僕は気にしないから歩いてみようか、
足が疲れたら直ぐに言うんだよ?」
「これでも私、そこそこ体力はあるのですよ?」
「そうか、それでも、だ。」
「わかりましたわ、随分と心配性の婚約者様ですこと、」
「当然だよ、」
王城を出ると、途端に人々の活気を感じる街が広がっていました、
物凄い活気ですね、
私なんて簡単にこの活気の渦に飲み込まれてしまいそうですね…
ウィルトス様は何かが気になっているようですね、
「フィーリア、陛下に仰っていたように、僕は君の人生を変えて狂わせた。君は後悔していないと言ってくれたが、もう一度謝らせてくれ。」
「謝るのはこれで最後にしてくださいね?
それに貴方が私の命の恩人というのも嘘ではありませんよ?
私はどこぞの王子と結婚する予定だったようですし、父に言われればきっと私はそのままその人と結婚していたでしょう、
それを阻止して新しい人生をくれた貴方には感謝しています。
攫う前に私の交友関係なんかもしっかりと調査して下さったんでしょう?
それにこれ程一人の方に想っていただけるなんて、幸せなことですしね、
おあいこです。わかりましたか?」
「わかった、君に後悔はさせないから。」
「これも私が選んだ人生ですよ?」
「そうだったね、」
「気は済みましたか、?」
「はは、気を遣わせてしまったね、すまない。
だが気は済んだよ、ありがとう。」
「ふふっ、それなら良かったですわ。」
「ふぅ、、さて、気を取り直して……
何か食べたいものはあるかい?」
「すみません、この国の食べ物には疎くて…」
「そりゃそうだよね、気が利かなくてすまない、」
「いえ、ですがまずは宝石を買い取ってくださるお店に行きたいですね、」
ウィルトス様が立ち止まる、
「宝石を買い取る……?買うのではなくて?」
「えぇ、宝石を買い取るお店です。
私、無一文なのですよ?無一文でお買い物なんて出来ませんよ?
私、捕まってしまいますよ?
今私が持っているのは身に付けている宝飾品のみです。なのでそれを買い取って貰おうかと思いまして、
この辺りに有るといいのですが……
貴族街へ行かないと無いでしょうか……
そうなるとご飯は延期ですね……
どこかで商品の売り子でもさせて頂けないでしょうかね…?計算は得意ですし…
ふむ、あちらの方に聞いてみましょうか、
ウィルトス様、本日のお食事はすみませんがおひとりで、
私は少々働いてまいりますね、
暗くなる前には終わらせますので、待ち合わせでよろしいでしょうか?場所は……」
「フィーリア、?」
「なんでしょうか?」
「僕はそんなに甲斐性が無いように見えるかい?」
「甲斐性ですか?いえ?甲斐性はあるように見えますが…?それがどうかしたのでしょうか?
…それより待ち合わせの場所ですが、」
「だからね、フィーリア、僕はそんなに甲斐性が無いように見えるかいって聞いているんだよ?」
「無いようには見えませんよ?あるようにみえますね、
…それで、」
「ああ〜もうっ!僕が誘ったんだし、君は僕の婚約者なんだよ?食事くらい僕が払うから!」
「いえ、私は無一文ですが宝石はあります、それを売ればお金は手に入れられます。なので」
「だーがーら!僕が、ご馳走しますよって言ってるんだよ?」
「いえ、それは申し訳ないですし、私はお金になる物を持っているのです、なので貴方に」
「お嬢さん、それくらいにしておきなさいな、彼にだって立場があるんだろうし、婚約者なんだろう?結婚する相手に不甲斐ない所なんてみせたくないだろうしね、そう肩肘張らずに彼に甘えてみなさいな」
「私が、甘える……?」
「そうだよ、甘えるんだ。相手に頼ろうとせずに自分で解決しようとするのはいい事だがね、甘えていい相手には甘えるもんだよ?」
「甘えていい……相手……?」
「そうだよ?婚約者なんだろう?甘えていい相手だ。甘えてみなさいな、」
「私が、誰かに……甘える……?私は…しっかりと自立し…民を守らなくてはならない……誰かに甘えているようでは…誰も守れない……王族としてそのような……無責任なことは出来ない……誰かに隙を見せれば…殺されるのは私……家族にだって…殺される……私は…何があっても今死ぬ訳には……あの兄妹に国を任せたら…民は皆…」
「っ………、フィーリア!君の考えも、気持ちもわかった!落ち着いてくれ!愚かな兄上と父上は忘れるんだ!君はもうリビティウム王国の国民だ。君の思いを踏みにじったやつの事は気にするな!民には会いに行けば良いだろう!君の元に来たいというものは私の領地に移住許可を出そう、だからフィーリア!大丈夫だ!僕に甘えてくれて構わない!それは隙なんかじゃないし、君を殺したりしない!民のことだって出来ることはあるはずだ!安心してくれ!僕を信じてくれフィーリア!」
「私が……?」
「僕を信じてくれ、フィーリア。」
「私が……信じる……」
「僕を信じて欲しい」
「私は…婚約を受け入れたとき…貴方を信頼して…支えると、決めた…なので…」
「義務としてではなく、君自身が納得して、僕を信用して、信頼してもらいたいんだ」
「信用……?信用は…していますよ…?貴方の言ったことも…信じています。
私は…私が信じている、貴方を信じ、信頼します。」
「ありがとう、フィーリア。」
「情けない姿をお見せしてしまい申し訳ありませんでした、ウィルトス様。」
「君の思いを知れてよかったよ、これからは話せることだけでいいから、話して欲しい。君のことも教えてほしい。アウストラリス王国でのことも。」
「えぇ、わかりましたわ。」
「ありがとう」
「いえ、こちらこそありがとうございます。
……奥様方、ありがとうございました。
お店の方々も、お店の前で騒ぎを起こしてしまい、申し訳ありませんでした。」
「気にしなさんな、未来ある若者を見守る事が出来てよかったよ、」
「そうねぇ、私たちのお節介も役に立ったようだしよかったわ」
「そうね、それにそちらは不老の侯爵様でしょう?
評判はいいのに何時まで経っても結婚しない、一体どんな花嫁を求めているんだ、竜でも花嫁にする気なのかって井戸端でよくある話だったのよ?
まさかこれ程の器量の花嫁をお求めだったとはね…しかも隣国の才女と謳われる第二王女様でしょう?
侯爵様も隅に置けないわねぇこれで侯爵領は安泰ね」
「そうね、私もそろそろ店は息子夫婦に任せて侯爵様の所で余生を過ごさせてもらおうかね、」
「あなたまだそんな歳じゃ無いでしょうに…でもたしかに其れもいいかもしれないわね、」
「だな、俺も侯爵様の所で心機一転新しいことでも始めようかな」
「お前は家族も居るだろう?」
「家族みんなで、だ。王都より俺にはいいかもしれない。顔の見える領主。安心だろ?かわいい娘の将来の為にもな、それにこんないい嫁さんが来るんだぞ?安泰だろう。」
「そうね……、たしかにその通りだわ…」
「そうだな、たしかにな」
「そうじゃのぅ、支店を開くかのぅ」
ふぅ、皆様にご迷惑をお掛けしてしまいましたね…
ですが皆様気の良い方のようですね、感謝しなくては。
それにしても……不老侯爵とは、、
上手くいったものですねぇ
それに竜の花嫁ですか…ぷふっ
「………フィーリア?何が面白いんだい?」
「い、いえ、私は竜ではないのですが、よろしいのでしょうか?ぷふふっ」
「もし君が竜だったとしても君と結婚しただろうね」
「…………」
「まあまぁ、さすが不老侯爵様だねえ、見た目に反して大人だねぇ」
「こらこら、侯爵様だぞ?」
「でも親しみやすいよな、」
「竜でも結婚する…かぁ俺には言えないな」
「お嬢さん、いや、王女殿下だね、王女殿下も幸せものだねぇ〜」
「侯爵様も幸せものだよな〜大国の王女だぞ?しかも一番いい意味で有名な」
「羨ましいよなぁ」
「あんたも頑張りなさいな」
「そうだなぁ」
「そういやお二人さんは食事まだなんだろ?この果物食べてくださいよ、お二人の門出を祝って俺からの奢りだ!これなら王女さんでも食べやすいだろ!王女さん、この果物はこの地域の特産品なんだ、甘くて美味いぞ〜
ああ、不老侯爵様、甲斐性をみせるのはまた今度にしてくだされ」
特産品の果物?気になりますね、
ありがたく頂いてもよろしいでしょうかね、
「ありがとうございます、頂きますね、」
そのままひとつ口に入れてみる、
あまい!美味しいですね〜!
「とても甘くて美味しいですね〜、女性に人気がありそうですね、それに食べやすい大きでちょうどいいですねぇ」
「さすが王女さんだ!よく分かってるな!」
そのあとしばらくは周りのお店の方々からパンや串焼きのお肉、おまんじゅう、お菓子、一口大のお野菜などたくさんのものを頂いてしまいました。
どれもとてもとても美味しく、ウィルトス様と大切に頂きました。




