第2の人生の始まり
私は、千草薫。
電車のホームに居たとき、ふいに背中を押された。
そして案の定、電車にひかれた。
自分が死んで、お葬式があって、全部見てた。
ふわふわ浮いて、全部見てた。
(あ~このまま、天国はたまた地獄か。。。もしかしてまた地球の何処かのに転生するのかなぁ。。。)
私もはやふわふわの球体、自分が死んだことが、ショックというよりこの先が気になってた。
(死んでも、こうやって自分の最後を見れるんだねぇ。。。はぁ。)
そんなことを考えてたら、いきなり自分が破裂するような感覚。
(ついに、この先が決まるんだなぁ~。)
呑気にそんなこと考えてた。
(父さん母さん、お兄ちゃんバイバイ。この先何があっても、頑張るね!)
何を頑張るのやら。。そうして私は光にかき消された。
おはようございます。
あの後、どうしてこうなった?と思う今の自分。。
長い間、病に伏してもう死ぬ一歩手前まで来た令嬢。
(あれ?私はどうなった!!ってか、もう死にそうなんだけど。。笑えなぁい{泣}お腹すいたなぁ~、喉乾いたなぁ~)
誰も気がつかない。自分転生したらしい。で、いきなりこの展開。
(あり得ないんですけどぉ~。また死にたくなぁい~。)
お医者様らしき人が、今夜がやまですね、とか言ってるし。
このお嬢様の両親も、泣いてる。
(えんやこら!!力はいらなぁい!!絶対に死ぬものかぁ~~。)
実際は口をパクパクしてるだけ、(何とかしないと!!)
思い切り全力を腕に込めて、両親の服を引っ張る。
まぁ、実際にはただ服を掴んでるだけだけど、何もしないよりはいいかなと。
そしたら、いっせいに皆がこちらを向く。
(ありゃ、失敗したかしら??でも死にたくないからなぁ~)
そうしたら、お医者様ビックリしてます。
ちょっと笑えました。って、そうじゃない。いきなり覚醒した私ことお嬢様。お医者様だけでなく両親も、ビックリ!!
(そりゃそうだ。今にも死にそうだった娘が、服を掴んでるんだもんね。。)
そうこうしてるうちに、お医者様私に声が聴こえるか?話せるか?とうとう、矢継ぎ早に聞いてくる。
「み、水飲み、たい。。」
これだけ言うにも、凄くつらかったです。はい。
看護師かな?水を飲ませてくれた。慎重に慎重に。
「奇跡です!奇跡です!」
お医者様、くるくる回ってる。。。
両親さらに泣く。。カオス。
看護師さんだけ、「大丈夫ですか?」って気遣ってくれた。
(やれやれ、誰か今の私の状態を説明してくれぇ~)
そう思ってると、お医者様急に真面目に、私を診察。
「もう大丈夫でしょう!後は無理せず胃に優しい物、食べられるようになるまで、頑張りましょう!あぁ奇跡だ!」
自分がお嬢様だということは、ベッドやら何やらで分かったんだけど、名前何て言うんだろう?
(まぁいいや、お水飲めたし。。寝よう。)
私は、睡魔に負けて寝てしまった。
そんなこんなで、両親とお医者様のおかげで、半年後。
(やっと起き上がれるようになったよ。長かった。。)
今日から、少しずつ行動範囲を広げるべく、車イスでお屋敷の中を探索してみることに。やっぱり私お嬢様だったんだなぁ、と改めて思った。
あっ、名前わかりました。シェリル.ノートン15歳。ノートン侯爵家の長女だそうな。
初めての両親との会話が「私の名前は?」間抜けである。
病による記憶喪失ってことで片付けられちゃった。
「あっ、お兄様これからどこへ行くのですか?」
なんと、こちらでも兄がおりました。カイル.ノートン20歳。
若くして、爵位を継いだ。麗しのお兄様である。
綺麗に整えられた柔らかい金髪、服装も華美なものではなく、品のある落ち着いた装い。
「あぁ、シェリルか。王都にある屋敷に戻るよ。あまり無理をするんじゃないよ?」
「はい!行ってらっしゃいませ!無理はしませんわ!」
その頃の両親は、私の看病するべく、早々にお兄様に爵位を継がせて、私と一緒に領地に居ます。
「こらこら、無理をしてベッドから出るんじゃない。まだ手や足がおぼつかないのだから、さあさあ」
「お父様、もう大丈夫ですわ!少しでも動いて筋力つけなきゃ!だから、もう少しお屋敷の中だけなんだから、このままでいさせて!」
「はぁ、しょうがないなぁ、後少しだけだぞ。」
お父様、まんざらじゃないみたい。でも余程私が心配らしい。
「お母様は?何処にいらっしゃるのですか?」
「息抜きに、庭園の東屋でお茶を飲んでるよ。まだ、シェリルは行ってはダメだよ!」
(この世界は、娯楽が無いのよねぇ。ベッドに縛り付けられると何も出来なくて、つまらないのよねぇ。スマホ~テレビ~漫画~あぁ、どうしたものか?そうだ!)
「お父様、何か私の好きだった本等ありませんか?」
「そうだなぁ~、では一緒に書庫に行ってみるかい?」
「クスクス、さっきまで部屋にもどれとおっしゃったのに、いいんですの?」
「私が一緒に行って、私の目の届く所に居てくれれば、大丈夫だぞ!」
こうして、少しずつ行動範囲を広げ、尚且つ少し歩いてみたりととても穏やかに月日が流れていった。
更に半年後、シェリル16歳のお誕生日。
こちらは16歳が成人となるらしく、尚且つ社交界デビューするのだとか。
(ここ半年で、マナーやダンス等一通りやってみた結果、シェリルの体は直ぐに思い出したかのように、すらすらと覚えていった。。。っていったい私は、いつから寝込むようになったの。。)
「あー体が動くって素晴らしいわ!でも、ちょっと疲れたなぁ、ふぅ」
そんな私の一言に、私つきの侍女が紅茶を用意してくれた。
「ありがとう。」
私の専属侍女で、ユーリという、あまやかな茶色の髪をした笑顔の似合う16歳。
歳が一緒だから、(私になってからの、)とても嬉しいお友達第1号である。
紅茶を飲みながら、ふと鏡を見る。病床にいるとき鏡なぞ見れるわけもなく、最近大分体にお肉もとい筋肉がついてきたのだが、何度鏡を見てもこんなに美人に生まれ変わったのだなぁ、と思ってしまう。前はどちらかと言うと、藻女みたいな生活だったから、この顔が私??みたいに思ったものである。あまやかなブロンドの髪に、緑色の瞳、唇は控えめながらふっくらしてきている。
(よしっ、美味しい紅茶を飲んだし、もう一度庭園を歩いてきますか。)
そんなこんなで誕生日当日、お兄様も領地にお祝いに来てくれた。
(お兄様カッコイイ!!いつ見ても麗しい!!同じ緑色の瞳がとても似合っている)
等と呆けていたら、侍女たちにドレスを剥ぎ取られあれよあれよという間に、お風呂→マッサージ→コルセット→新しいドレス(いつの間に用意したのかしら?)→お化粧に髪結い→お疲れ様でした。とても良くお似合いです!
(あら、私すっかりお嬢様がいたについたてきたわ。鏡の中の私は、病床に居たときよりも、ふっくらしてきて一年前の面影が大分無くなってきて健康的になったわぁ~、食事と運動はこれからも気をつけて、欠かさないようにしなくちゃ。まだ、あまり多くは食べられないけど、頑張ろう私!!)
コンコン。ノックしてきたのはお兄様でした。
「あぁ、綺麗になったね。一年前の姿が嘘のようだ。本当によかった。」
「お兄様、ご心配お掛けしました。ありがとうございます!」
眉目秀麗お兄様に言われると、顔が熱くなる。
(恋でわないけど、私許嫁、お兄様基準になっちゃいそう)
そうである、16の成人を迎えたら嫁ぎ先を決めなくてはならない。
お父様は、今それでウンウン言ってる。
(変な人が相手だったら嫌だなぁ~、こればかりは自由に出来るものじゃないからなぁ~)
等と考えているうちに、お兄様にエスコートされながら、食堂に着いてしまった。
扉を開けると、家族はもちろん使用人まで私のことを祝ってくれた。その夜はとても楽しい晩餐会になったのです。
それからまた少したつと、許嫁。。婚約者が決まったようです。
(今日は顔合わせだから、落ち着け落ち着け、大丈夫大丈夫)
全然大丈夫じゃないですね。と、ユーリにはバレバレだったようで、気分を落ち着かせる紅茶を入れてもらった。
(ふぅ。。ホントに大丈夫かしら、私の頭の中はパニックよパニック!!私と同じ歳で、本来の私であれば知っている人らしいけど、わからない、どうしたものか。。よしっ、きちんと説明して思い出せないことを謝ろう。。だってわからないものはわからないんだもん!!ここは、開き直りが一番ね!)
現代っ子の、私にはわからない、そんな機会はない、お見合いみたいなものと解釈するしかないのだ。
コンコン。「準備は整ったかな?」どうやらお父様らしい!
侍女に扉を開けてもらい、「ええ、大丈夫ですわ。行きましょう」
お父様の書斎に入るのは、初めてでわないけど、部屋の中に婚約者が居るとなると、気絶しそうになるシェリルである。
お父様が「心配しなくても大丈夫だよ。」と、根拠のない事を言っている。
(でも、私がまだ病み上がりだということで、家まで来てくれるなんて、優しい人だなぁ~)
なんて考えてる間に、書斎に入る。
ソファーセットに座る、やたらとキラキラする人がいた。
(えっ、この人?どう見ても王子様ですと全身が言ってる人だなぁ、まさかよねぇ~)
と、またそんなことを考えながら、私たちもソファーに座る。
開口一番お父様は、なんとも言えない視線で私を見て
「覚えてるかい?この国の第2王子ギルバート様だよ?」
(今なんつった?第2王子?嘘でしょ?この前まで、お父様は私の婚約者選びにウンウン言ってたのに、どうしてこうなった!!!)
私がビックリしてる間に、ギルバート様は私に、
「久しく会っていなかったし、君は病に伏していたので、遠慮していたが、元気になったのなら良かった。覚えているかな?王城で兄上と3人で遊んだこと」
爽やかな笑顔に、期待がこもる。
「申し訳ありません。娘は病のせいで記憶喪失になってしまったようで。。」
お父様、汗かいてますわよ。ってそんなことどうでもいい、いや良くないけど、私どうしたら。。。
きっと、お父様はこうならないために、他の婚約者候補選んでくれてたみたい。後で聞いたところ、相手(王子様)の方に妨害?と言うか、外堀を埋められてしまったらしい。
「もっ申し訳ありません。」
とにかくここは、謝らなければいけない。そう私の本能が囁きかける。
「そうか、では仕方がない。これからまた仲良くすればいい。どうだろうか?」
と、柔らかく申し出てくださった。
(なんか王族ってもっと硬いイメージだったけど、この方は違う??)
「それでもよろしいのでしょうか?殿下は嫌じゃありませんか?記憶喪失なんて気持ち悪くありませんか?」
素直に聞いてみた。
「どうしてそう思う?病なのだから仕方なかろう?それとも私では、いやなのかな?君は今第2の人生を送っている。そこに私も混ぜてはもらえないだろうか?」
「あっ、ありがとうございます。嫌なんてそんなこと。で、ではそのようによろしくお願いします。」
こうして、私の第2人生は始まった。
side王子様ギルバート.アセドニヤ




