九話
王都に着きました。
流石は国の中心、うちの領都が軽く百は大袈裟としても、二十や三十は入りそうな規模だね。拡張と共に外壁を新設更新しながら広がってきたのが判る、王城を中心とした五重の城壁。多分身分とかで住む層が分かれてるんだろうなー、テンプレ的な感じで。
「流石にでかいなー。」
「ですなぁ。王都グランニクスは、興国から一度たりとも戦火に見舞われたことが無い左様で御座いますからな。
王国千五百年の歴史が在れば、大きくも成りましょうぞ。」
「だなぁ。」
東西南北にある王都門の一つから、かなり長く続く平民の列を悠々と眺めながら貴族専用門に向い、手続きをして無事中に入れましたよ。子爵家にしては多い護衛の数に、門番の衛兵たちが少し驚いていたけどね。
うん、うちの連中が過保護と言いたい所だが、道中盗賊にも遇ったしなぁ、うぅ、またあれを思い出した……。
ああ、察してメイドがそっと抱き締めてくれるよ。はぁ、自分が情けないが、流石にあれは前世記憶持ちで精神年齢併せて五十越えてるとは言えキツイって。
そんな感じで馬車内でイチャイチャしながら、まずは子爵家王都別邸へ向った。
学園の入学式は、日数的には未だ余裕があるそうだ。間に合わない家は、通信系の魔法で事前に知らせているだろうしな。
待機してる間は、王都や学園の情報を現地仕えの執事から聞き取ったり、教官がいないので復習的な自己鍛錬を繰り返したり、メイド達に世話をされながら過ごした。
別邸の奉公人たちは、傍仕えメイドの二人の俺への甘やかしっぷりに、若干引いてた気もするけどなっ!
うん、君たちはそこまでしてくれなくていいから。ちゃんと普通に仕事してくれれば俺は文句は言わないよ?
って、言葉にしてちゃんと伝えたんだがなぁ……。
メイド二人とお風呂で旅の疲れを癒していたら、別邸メイド達が湯衣を纏って一緒に入ってきましたよ。恥ずかしそうにもじもじしながらね。
母上からくれぐれもよろしくと伝えられている? ああうん、それじゃあ仕方無いよね、うん。
と言う訳で、隅々まで綺麗さっぱりお世話して貰いました。とてもとても視界が幸せでした、まる。
もう自分の裸見られても、それが当たり前に成ってしまって羞恥とかわかねーや(達観)。
夜はいつもの二人とね、うん、あれですよ、あれ。
レベル上がったせいで、こっちの持続力もちょっと年齢にそぐわない事に成ってるから、彼女達には大分負担に成ってそうなんだけども。
「うふふ、とんでもありません。寧ろ幸せで御座いますよ、坊ちゃま♪」
「ですね。なので坊ちゃま、どうかお好きなように。」
そんな感じで過ごしつつ、入学と入寮の準備は恙無く整って行くのだった。