↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/46

十五話

 令嬢二人を伴い、寮である建物へと入る。

 外見も内装も、何処の由緒ある豪華ホテルかと言いたくなる造りだな。貴族が寄宿するのだから、学園としても色々手は抜けない施設なんだろうし。

 彼女たちはどちらも騎士爵の娘らしく、同室だというので部屋の前まで送る。それくらいは紳士としての礼儀だろうし、派閥に入れた初日くらいはね。


 再度礼をされて入室を見届けてから、ようやく自室に向う。

 寮は魔法建築技術を用いられた五階建てで、部屋分けとしてもまた身分により扱いが違い、尤も多い騎士爵の子息子女は二人で一部屋、男爵が一人部屋で間取りは同じだ。そして俺のように実家が子爵位に当たる場合は、他より大きめの一人部屋に従者用の部屋が付いたものが最上階からそれぞれに宛行われていた。

 一応昇降機が設置されているので体力的な面倒は少ないが、気持ち的に一階の方が手間がなくていいのになーとは思う。


 あと特筆すべきは、男女で寮が別れていないと言う事か。だからさっきのような面倒が頻繁に起こるのだ。学園史に置いて純潔のまま卒業できる子女は、例外なく上級クラスのみと聞けば、その程度は想像が付くだろうよ……。

 封建社会は当たり前のように男尊女卑であり、この扱いは子女を子息が自室に喚び易いようにと言う思惑からも来ているらしいんだよな。その為防音機能も高い。技術の無駄遣いである。


「お帰りなさいませ、坊ちゃま。あら?」


 笑顔で出迎えてくれたアリアの胸に飛び込むようにして抱きつく。

 拒絶する事無く抱きとめ、縋りつく俺の頭を優しく撫でながら彼女が目線をレイセルに流せば、簡単に先ほどの件を説明してくれた。


「そうでしたか、お疲れ様でした坊ちゃま。ご立派ですよ♪」

「うぅ、学園面倒くさい。もう家に帰りたくなったよ。」

「あらあら、くすくす♪」


 そんな感じで甘え甘やかされながら、ようやく人心地つけたわ。

 はぁ、二人が居なかったら卒業までかなりきつかっただろうなー。前世が社畜だったから精神的には耐えられたとは思うけど。癒しがあると無いとじゃ大違いの二年間だからね、うん。


「そういえば、二人も学園には通ったのか?」


 レイセルは騎士の娘、アリアは男爵家次女だから、ひょっとするとさっきのような目に合っていたのかもしれないと思い聞くと、二人とも首を横に振った。


「入学は継承権を得る資格のある子息は強制ですが、子女はそうではありませんよ。我が家の場合は、姉様は早くから婚約者がありましたし、私は寄り親である子爵家に預けられましたから。」

「子女の場合は、将来の婿探しの意味合いと花嫁修業が学園での意味と成りますね。ですから、家の方も本人も、相応の覚悟を以って送り込まれます。私は長女ですが、父は最初から主家に預ける心算でしたし、弟が家を継ぎましたので。」

「……そうか。」


 アリアが僅かに眉を蹙めて、レイセルが淡々と教えてくれる。

 如何に貴族とは言え、令嬢に手を出せば相応の責任は取らなくては成らなくなるから、餌食にされた令嬢たちは誰かしらの家に娶られはするらしい。

 正妻か、第二第三になるかは相手の意思一つとなってしまうが。それが派閥としての繋がりや伝手に成るのだろう。でなければ余りにも救いが失くなってしまうしな……。


 まあ、面倒な話はそこまでにして、その後は思い切り二人に甘やかして貰ったよ。

 料理はアリアが得意で、夕食も用意してくれたらしい。レイセルも人並みには作れるそうだ。

 寮での食事は、基本的には学園に雇われた料理人が居り、食堂で取るか部屋に配膳かを選べるが、子爵家はほぼ確実に従者連れなので、食材だけ貰って作らせたりする事も認められているのだ。

 一応、毒殺対策という意味合いも有るらしい。長い王国史の中では、そう言う事も在ったらしいので。


 そんなこんなでお風呂でイチャイチャ、ベッドでべたべたしながら、学園初日の夜は更けていったのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。