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野茨の血族  作者: 髙津 央
第三章.ドブ

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65/93

65.祭壇☆

 その後は拍子抜けする程、何事もなく、予定通り三日目に祭壇の広場に着いた。

 政晶(まさあき)が通う中学校くらいの広さだ。


 七合目付近の斜面が平らに整地され、広場の中央に祭壇が(しつら)えられていた。

 石畳の広場を囲んで石造りの建物が三棟ある。いずれも平屋で窓は小さい。

 石畳には一枚ずつ複雑な文様が刻まれ、遠目に見ると、全体でひとつの魔法陣を描いていた。


 挿絵(By みてみん)


 振り向くと、眼下にムルティフローラ盆地が広がっている。

 彼方に小さく王都が見え、都を中心に街道が放射状に伸び、一本の大河が盆地を貫いて走っていた。手前の村から夕餉の煙が細くたなびいている。


 見上げれば、山頂は薄く雲を纏い(かす)んでいた。登山道は祭壇の前で終わり、それより上を目指すなら、自ら道を切り拓かなければならない。


 火照(ほて)った頬に触れる風が冷たい。

 遠く西に目を遣ると、空は茜に染まり、東から夜が近付いていた。

 王都の北に(そび)える主峰に連なる山々が、夕日の色を映して輝いている。


 石畳の広場は南向きで、東西北の三方を建物に囲まれていた。

 夕日が落とす長い影が、広場を覆っている。


 初老の男性が、向かって右、東の建物から出てきた。

 政晶の胸にふと疑問が浮かんだ。


 ……ここって、今までの山小屋みたいに、安全な場所なんかな?


 〈城と同じだ。少し三界の眼を開くぞ〉


 ……えッ? ちょっ……いきなりッ?


 視たいと言った時には視せてくれず、今になって急に視せると言うことに、若干の腹立たしさはあるが、政晶は剣の(つか)に手を添え、目を閉じた。


 〈(いまし)は魔力を持たぬ故、我の力を解放するのは本番だけだ。今は、心の準備の為に力の一部を(しば)し解放する。よいな〉


 政晶は小さく(うなず)き、ゆっくりと目を開けた。

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地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』

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野茨の環シリーズ 設定資料
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