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そんな魔法ならいらない  作者: door
Chapter 3 : Anti-Fake Strength
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#23 レイン,レイン,ゴーアウェイ ②

「あなた、目が醒めたの?…“よかった”、」


息を切らしながら、届いたパレットのその“声”に反応と示すと同時に、“巻き込んだ”先に“ひとまず”無事を確認出来た事で安堵を表す楓。


一方で。その“行動”の意味を、すでに“知っている”當真は、その“声”の真意をパレットに問いただす。


「パレット、無事で良かった!それで、“魔法”の“暴走”…“魔力”の流れが“ぐちゃぐちゃ”ってのは?」


楓や當真の言葉に応えるように、耳を澄ませながらパレットは言葉を返す。


「うん。本来ね、“魔法”って、自分の【内側から外側】へ“魔力”の“流れ”って【順転】してるものなんだよ?でもね、今の“赤黒雷の怪物(あの子)”は“逆”、その“流れ”が【反転】してて…」


「【反転】?」


“識る(きき)”終えたパレットは、耳に添える両手を離し、當真に視線を向き直し、言葉を探しながら応える。


「あの“鎧”みたいな“雷”も“覆ってる”んじゃなくて、むしろ“雷”に“纏わりつかれてる”というか…“魔力”を帯びた“雷”が【外側から】“あの子”の【内側】に向かって“吸い寄せられてる”というか…うーん…」


「いや、待って、どういう事だよ?!パレット?!」


「んもー!ないと!焦らさないで!説明するの、難しいんだよ!?」


言葉に出来ない戸惑いを感情に見せるパレット同様に、状況の理解が追いつかない當真も焦りを見せる中で、楓は一呼吸、そして冷静に2人の会話に介入する。


「“魔法”の“暴走”に、【反転】…“魔力”ってのがまだよく分かんないんだけど…でも、つまり、本来“放たれる”べき“雷”が“制御出来ない”ままに、“自分自身”に向かって“吸い寄せられてる”から、私たちには全身に“纏っている鎧”のように見えてる、って事…?」


パレットの説明だけでは、おそらく楓も理解自体追いついていなかったであろう。


だが、眼前の状況と、感覚的に自身が“魔法”を扱っている状況を照らし合わせた事で、導き出した“結論”だった。


そして


「…だとすると、“まずくない”…?それってつまり、あの“雷の鎧”、今も“あの子の事を“傷め続けてる”って事、よね?」


「!!?」


楓の言葉に驚く當真と、そして同意する様に表情を強張らせながら頷くパレット。


「うん。それにあのままだと、あの子、“しんじゃう”かも…?!」


「は?!“死んじゃう”?!そんなー」



ゴッ!!!ロロロロロロロ!!!バヂヂヂヂヂヂヂヂリリリリリリッッッッッッ!!!!!!!!!!!



驚きを叫ぶ當真の声を掻き消すように、“赤黒雷の怪物”と化した双葉カエデを纏う“鎧”が、雷鳴を轟かせながら再び、その身の中心から“赤雷の雨”を放ち四散させ、触れる空気と降り立った大地を“焦げ割り”破壊していく。


「今の“雷”も、多分、【反転】する“魔力”を制御しきれなくて、抑えきれなくなって行き場を失くした“雷”を、ただ発散する様に“暴発”してるんだけだと思うんだよ。」


“魔力”の流れが“識(きこえ)る”からこそ、この無作為な“赤雷の雨”にも、その意図を見出す事が出来るパレット。


そして、続け様にその先の『未来』を予見する。


「でも、もしこの先、“あの子”の意識がなくなったりするとー」


「今は“纏ってるように見えてる”あの“雷の鎧”も、その瞬間に、無防備な無抵抗なまま全部あの子に向かっていくって事、よね?」


パレットと楓の2人が織りなす未来予想図を受け取り、當真の脳内に浮かび上がる“最悪の未来”。


(どうする、どうすれば…)


拳を握り締めながら、當真は視線を、宙に浮かぶ“赤黒雷の怪物”へと向け、轟き蠢くその“雷の鎧”を見つめ…



“気がつく”、



(“雷の鎧”…“魔力”を帯びた、“雷”…)


當真は握り締めた、その“右手”に感じ取る“熱”、


そして瞬く間に駆け巡る思考の先の、その“答”に。



「そうだよ、“最初”からずっと“そうだった”じゃねえか・・・・・・・だったら、“これしか”ねえ!!」



辿り着いた、“ゆえに”。當真は、もう“迷わない”。


視線を上げ、楓と目を合わせた當真は、告げる。



「緋色、頼む!!俺を“ぶっ飛ばして”くれ!!!」



「はあ?!」



“他方”。



双葉カエデは、全身を貪る様な“感覚”を、最早“痛み”と捉える事もないままに、そして、その視覚は今や“赤黒”に染まった視界でしかない事も十分に理解した上で、


ただただ淡々と、“意識”を繋ぐ様に思考だけを頭の中に巡らせていた。


(赤…イ、何も、見えなイ…全身をざわつかせ、続けてル、“コレ”は“雷”、カ?)


自身を包み込むような“熱”と、“本来”であれば“痛みと呼べる感覚”も、今はもう“正解かどうか”は分からない。


(でも、もウ、ウマく使えナい…まァ、“そんなのはどうでもイい”や。あの“ヒーローちゃん”、の“魔法”だけが、“分かれば問題なイ”し?)


だか。“日常”とされる、ありとあらゆる“感覚”が“分からなくなっている”事は、“もう分かっていた”。


そして、“非日常”とされるその“感覚”さえも、最早手に負えない現状だという事も“分かっていた”。


自在に、意のままに操れていた“雷”が、今は逆流するように自分へと流れ込んででいて、抑えきれなくなった瞬間に、“ただ四散させる”だけで精一杯で。


それでも。先刻、“緋色 楓(ヒーロー)”が“魔法”を使った瞬間、それが“分かって”、その居場所に“本能的”に“特別(チカラ)”を差し向ける事は“出来ていた”。


(“制御”出来なくても、私の、“本能”ガ、このカラダを、その“チカラ”を問答無用デ撃ちつけるように“成ってる”のガ、不幸中の幸いッてヤツかナ?(ははん) )


双葉カエデは、もう“それだけ”でよかった。だから、自身を取り巻く、この“不可思議”な現状も快く受け入れていた。


(もう、後ハさ。この“チカラ”を、“緋色 楓(ヒーロー)”に向けるだけで、イイ)


思考が、定まる。至極単純、だが、今はもうそれだけが双葉カエデの“存在証明”となっていた。



ザッ…ヴワァッッッ!!!ビュッヴヴヴワァァァァァ!!!!



“轟音”と、少し“不安定”に思えるような“暴風”の気配。


だが、それが猛然と自身に向かって来ている事を、“あの日”から刻(トキ)と共に積み重ねてきた“本能”は瞬間的に察知し、たとえ“赤黒”に視界を支配され“見えず”とも、双葉カエデにその“正体”を“理解”させてくる。


(流石ノ、“ヒーローちゃん”も、ダメージでボロボロなのか、ナ?そんな“不安定”な“魔法(ちから)”を“纏って”突撃してくるくらいしか、モう、“手”がナイ感ジ?)


双葉カエデは、向かってくる“魔法(ちから)”に対し、迷う事なく腕を差し向ける。自身の内側へと流れ込み、溜め込まれていく“チカラ”の行き先を指し示すように。


(だったラ、これでもウ、『ゼロ(終わり)』にしてあげるよ!!!!赤く!!黒く!!“焦げ焼き切れちゃえよ”、“ヒーロー”!!!!!!)



ゴッッッッッッッッッッロッッッ!!!!!ドッッッッッッッッッッッッッ!!!バッッッッッッヂヂヂヂリリリリリリッッッッッッッッッ!!!!!!



蠢く雷鳴が空気を割り裂き、放たれる“黒”を染める“赤雷”の砲撃が一閃。


全てを“焦がし焼き切る”一撃は、その距離を瞬く間に『ゼロ』にして、届(とど)ー



ガッッ!!ギィィィィィンンンンンンン!!!!!



(!!!?)



“見えなくても”、双葉カエデは瞬時に“理解”した。


それは。自身が差し向け放った、轟き蠢く赤雷の一閃が、一瞬にして『ゼロ』に“消失”したという“不可思議(げんじつ)”で在るという事を。


そして。迫り来る“不安定”な“暴風(ちから)”を纏っているその“存在”が、次の瞬間には、自身の目の前まで“飛び込んで”来ている事も。



「うおおおおおおおおらぁっっ!!!!!!!」



ゴッッ!!ガッッッ!!ギィィィィンンン!!!!!



“咆哮”。鳴り響く“不可思議”な“消失音”、連なるように伝わってくる“衝撃”。


そして、その“衝撃”の着地点である、双葉カエデの視界と顔を覆い尽くしていた“赤雷の仮面”が、その瞬間“消え剥がれる”。



「ッッ?!!……“トーマ”ッ!!?」



その視界を“赤黒”に支配していた“赤雷の仮面”を“消失”させられた事で取り戻した、双葉カエデのその両の瞳に映り込んできた景色(せかい)は、


“不安定”に揺れ動く“暴風の翼”をその背に纏い“不可思議”に空へと浮遊し、


相対する双葉カエデに対し、強く握り締めたその“右手”を差し向ける黒髪の少年、



當真 夜の姿であった。



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