閑話休題 ☆コロネちゃん☆
コロネはしばらく無言だったが、状況を説明したら……。
「せ、責任を取れ!」
「な、何もしてませんよ」
「しただろ、まず人口呼吸で、胸を触った」
ぎくっ! 人口呼吸のせつめいをするじゃなかった。すごい技術だから思わず説明してしまったよ。
「人口呼吸で、唇を奪った」
ぎくっ!
「裸にして、泥まみれの体を全身くまなく拭いて、触りまくった!」
ぎくっ!
「私の大事なところを触った……!」
ぎくっ!
「そして見た……責任取れー!」
「う、うるせー! 男だって言っているのが悪いんだ!」
「身を守るためだ! 仕方ないだろ!」
「何をすれば許してくれるんだよ」
これ以上のことだろうか?
……これ以上のことをやったら、大変なことに……。
「……鼻血が……なにエロイこと考えているんだよ! さいてーだ。俺はまだ十三歳だぞ! そういう眼で見るな!」
「……僕十六歳だぞ」
「……えっ、三歳しか違わないんだ」
だからといって、良い訳ではない。
「と、とにかく、クーは俺のことを傷物にしたんだから――」
「そこは譲れねー! 傷つけてねーし! むしろ治しているわい!」
「……こんなことが結婚する時にバレたら、俺はお前に……や、や、や……ち、違う。お前のものになったと思われるんだよ。どうしてくれるんだ……」
「黙っている。コロネも黙っていれば誰も分からない」
コロネは困惑していたが頷いた。
「アイ=ドールがいるのを忘れているの?」
アイ=ドールが僕たちの論争を静観していた。
「おまえはだれだー!」
コロネとアイ=ドールはまだ挨拶を交わしていなかった。
「アイ=ドールが思うに、そこまで他人の男の人に色々されたら、はっきり言って、責任とって結婚するべきだよ。年齢も三歳差でしょ。今から結婚したら子沢山の家庭になるだろうね。そうしたら、将来は子どもに養ってもらえるよ。獣人は子沢山だし」
「いやいやいやいやいや、そ、そういう責任って意味じゃあ……」
コロネが真っ赤になっていた。よくよく考えたら、責任とは結婚しろ、と言っていることだと気付いたのだろう。
「もういい! 黙ってくれていたらそれでいいから!」
「アイ=ドールは黙らないよ」
石の人形はにっこりと微笑んで、コロネはがっくりと肩を落とした。
「面倒だな――コロネ――結婚しようか?」
僕の一世一代の殺し文句は、
「あほかー!」と殴られて終わった。
外伝 完




