第39話 真魄に触れた夜
【第三部】推しは私が救うー終ー
……なんで、こうなった……
私は、何が起きているのか分からなくて、ただ混乱していた。
しばらくの間、その事実だけが頭の中でぐるぐると回り続ける。
──朽葉ノ国に、あらゆる情報が漏れていた。
栄善さんが養子であること。
あの日、トワさんが無断でお城にいたこと……
そんな中で、なぜか私が無断でお城にいたことだけは、情報として漏れていなかった。
私は対縁の儀までに三回、文書を書いた。
最後に封へ糊付けをしたのも、私だ。
それなのに、私の情報だけは漏れていない。
──こんなの、まるで「私が犯人です」って言っているようなものだった。
『私は皆さんを必ず救います。──だから、黙ってついて来てください』
あんなに自信満々に言っていたのに……私は皆さんに合わせる顔がなかった。
――――***
その日、夢を見た。
ここは……私の心の、さらに奥深く。
胸の奥、意識さえ届かない深淵。
誰にも侵せない不可侵の領域── 『魂の真魄』
その中で、誰かの声が聞こえる。
「……もう……疲れた……助けて……」
ばっ!!
「……はぁ、はぁ、はぁ……」
額に、びっしりと汗が滲む。
抑えきれない胸の鼓動に、息がうまくできない。
──さっき聞こえた声が、まだ頭の奥から離れない。
「……あの声は……綿花だった……」
ぎゅっと、自分の胸を押さえる。
「……え、なに……? あのとき聞こえた声って、トワさんじゃなくて、綿花だったってこと……?」
考えたくもないのに、疑念だけが浮かんでくる。
「綿花が……私をこの世界に導いた……?」
その考えを否定したくても、うまくできない。
ふと、以前の時雨さんの言葉が蘇る。
『こいつが、四乃森綿花だったりしてな』
──私が、四乃森綿花だったってこと……?




