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不器用な人達  作者: 田月


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小学生免許失効済み

 休みの日が別段待ち遠しくない。

 ここ数年そう感じていた。

 ある日私は思いついたのだ。

 来週の日曜日は小学生みたいな生活をしようと。



 小学生の頃を思い返すと、週末を心から待ち望んでいたように思う。

 そしてその週末を全力で楽しんでいた。

 つまりこの満たされない感情は、小学生の時と同じ行動パターンで満たされるはずだと。

 私は小学生の時の記憶を丁寧に掘り返し、念入りに1週間前から計画を練った。


 そして今日こそが、その計画の実行日である。

 まずは服装だ。

 この手の活動は、形から入ることも重要である。

 いつものスーツに革靴は小学生らしさに欠ける。

 そこで服装はTシャツとスニーカーに決めた。

 どちらも今回の為に調達した物だ。

 普段利用している店で購入したため、少し値が張ったが全力で小学生をやるための必要経費である。

 仕方がない。

 ここで安物を選び、途中で計画に狂いが出ては台無しである。


 昼食を取った後家を出発した。

 第一の目標地点は公園だ。

 ここでは、遊具での遊戯が主な目標である。

 その前にのどが渇いていたため、自販機で水を買ってから開始した。

 ストレッチをし十分に体をほぐした後、ブランコ、ジャングルジム、滑り台の順で回った。

 シーソーは一人での遊戯ということで断念せざるを得なかった。

 最初こそ多少の懐かしさを感じたものの、その他には特段のプラスの感情は感じられなかった。


 第二の目標地点は駄菓子屋だ。

 ここでは、駄菓子の購入を目標としている。

 公園からは少し離れていたため、タクシーで向かった。

 店内には、様々な駄菓子があった。

 その中から保存料の量や原価を考慮した上で、商品を選択した。

 クレジットカードが利用できなかったことに少々驚いたが、財布に万が一に備えて5000円札を余分に入れておいたことが功を奏した。

 味に関しては、想像通りと言ったところだろうか。


 最終の目標地点はゲームセンターだ。

 ここでは、クレーンゲーム及びメダルゲームでの遊戯を計画している。

 クレーンゲームではアミューズメントであることを考慮し、商品に想定される価値による損切りなどは控えた。

 少し熱中してしまい、一つの景品に3000円ほどずつ使ってしまった。

 結果的に日頃でも食べることのできるレトルトの食品などを獲得できたため良かった。

 次はメダルゲームである。

 どれだけメダルを増やしても得るものがないという点は、クレーンゲームと同様の理由で無視した。

 30分間ほど各ゲームを観察した後遊戯に臨んだ。

 開始数分でJACK POTを引いて、予想より多くメダルが増えてしまった。

 持ち運ぶには重かったので、自分が持っているカップに収まりきらない分は周りの子供に渡した。

 20分もしない内にメダルは尽きたが、もう一度メダルを購入する気にはならなかった。



 これで今日の予定は全て実行した。

 帰りのタクシーで今日一日を振り返ってみる。

 感想としては、予想していた充実感は得られなかった。

 遊具は懐かしかったし、駄菓子は値段相応の味であったし、ゲームセンターは多少は楽しかった。

 ただ記憶の中の、小学生の頃ほどの満足感やわくわく感は得られなかった。

 しかし今回の計画は、服装選びからコースの選定まで抜かりなく行った。

 つまり小学生の頃を再現しきれなかった可能性は低い。

 これらの結果から導き出される結論は、「小学生の頃楽しかったという記憶が誤りであった」ということであろう。

 無駄なコストを多くかけてしまったが、勉強代として十分納得できる範疇だろう。

 少し早く家に帰ってきてしまったため、ノートパソコンを開き、明日出社してからやる予定だった仕事を始める。

 私の休みはまた満たされないまま終わっていった。

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