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道士の私が仙女になれない理由〜後宮が三食昼寝付きって本当?〜  作者: 白雲八鈴


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第72話 これが窮奇だとは誰も思わないだろう

 翌日私は白に叩き起こされて瑞曉(ずいきょう)の街を歩いている。

 ただ歩いているのではなく、地下に流れている龍脈をたどっているのだ。


「はぁ、眠い。もっと寝ていてもよかったと思う」


 私はふらふら東の方向に向かっているのだ。

 東。本当であれば、先々代の皇帝の陵墓まで龍脈が流れていたはず。それもその先の地域で影響がでているということらしい。


「というか、もう私の手に負えないところまで来ていない?」


 グチグチと文句を言いながら足を進める。

 そもそも謎が謎を呼びすぎているのだ。

 誰もが口を噤む存在が渾敦(こんとん)だと知っていたという感じではない。

 それであれば、もっと大騒ぎになっているだろう。


 恐らく後宮か皇城の中の権力者が何かを感づいているという感じだった。

 芙蓉様ですら口を噤む存在って、もう皇帝しかいないのだけど?


 だって、霍家ってもう既にこの国で、皇帝の次と言っていい家になっている。


 誰がその芙蓉様を脅かすというのだ。


 あの皇城の中に何が住んでいるというのだろう?


「ん?あれ?分かれている」


 東の門の手前で北と東に龍脈の行き先が分かれている。

 分かれているというより、どこからか龍脈の道が歪んでここに戻ってきたという感じだ。


 その北側に向かう龍脈をたどって行く。

 けれどすぐに壁にぶち当てっしまった。里防の壁にだ。

 住居区画の壁と言っていい。


 今まで大通りに沿って流れていたのに、折り返してきた龍脈は斜めに走っているのだ。


 これは自然の流れというよりも、そのように流したと考えたほうがいい。


 しかし、この先は私のような者が立ち入ると目立つ、高官たちの住居区画だ。

 はぁ、今日も霍良に付き合ってもらえば良かっただろうか。


「白。どうする?これ以上進むと悪い意味で目立つのだけど」


 私の背後は人の往来が激しい大通りでその南側は庶民の姿が多く見られる。

 だけど、この先は人の姿はまばらなのだ。


「龍脈が瑞曉(ずいきょう)に戻ってきたとわかったから、それでいいんじゃないのか?」

「え?どこに向かっているのか調べなくてもいい?」

「流れを堰き止めているのならまだしも、流れが巡っているのであれば、最終地点なんてわかりはしない」


 確かにそうだ。

 龍脈の流れが止まっているのであれば、アチラコチラで異常が見られることだろう。

 龍脈の力がありすぎても不具合が起こるのだ。


 この流れだと皇城にぶつかるだろう経路だけど。今の私では確認しようがない。

 皇城の中には入れないからね。


 さて、思ったより早く終わったので惰眠をむさぼりに帰ろう。


「黎明。気になったのだが、あの武官という輩の屋敷はこの先だったよな?」

「そうだけど?」

「そこには行けて、何故今回はいけない」


 そうだよね。白からすれば服装なんてどうでもいいよね?


「それ、あの王離という者からもらった服だろう?作りはいいはずだよな」


 ……そうだった!いつもの古着屋のボロい袍を着ていると私が思い込んでいた。


 結局、私のボロボロ袍は行方不明のままなのだ。

 それで私の持つ服は三着あるのだけど、どこに着たらいいのかわからない霍家から拝借したままの服。

 後宮に入るのに着るように言われた芙蓉様が用意した服。

 おっさんが渡してきた、普段着に着るには勿体ない小綺麗な袍だ。


 ちなみに琅宋(ろうそう)に着るように言われたヤツは袍を着たあとに丁重に返却した。


 流石に皇帝から物はもらえないからね。


 小綺麗な格好をしているから、この先に進むかどうかは別の話だ。

 今は厄介事に絡まれるのは避けるべきだ。


 一応、明後日には迎えが来て後宮の調査に入るのだから。


 そんなことを考えていると背後が騒がしくなってきた。

 振り向くとひときわ目立つ集団が東の市の門に入っていく。


「時々来るよね。あの人たち」

「西国の者たちだろう?」


 背中に瘤がある変わった動物に荷を乗せたり、人が乗っていたりする。馬の代わりだろうけど、それだけでも目立つ。

 そして、彩色豊かな衣装。その衣装からこぼれ出る色鮮やかな金や赤の髪。


「あれだけ綺麗な髪なのにどうして布を被っているんだろうね。見せたほうがいい宣伝になると思うのだけど」


 西国からきた商隊には女性の姿がある。

 それも黒髪が多いこの国では、目立つ金や赤の髪色の女性たちだ。


 商品を売りにきたのなら、街の中を通るときに見せびらかせば、いい宣伝効果があるのではと思ったりする。

 だって、女性たちに釘付けになっている男性たちの鼻の下が伸びているからだ。


「砂漠を超えてくるからだろう?あと、宗教的なところだ」

「ふーん。白は物知りだね」

「そうだろう!もっと敬うがいい!」


 偉そうに言っていても白猫だけどね。


 でもこれが恐ろしい窮奇だとは誰も思わないだろう。あの正義を否定し続けた窮奇だとは。

 そう言えば、黒猫でもいいのに、白いんだよね。色に何かこだわりでもあるのだろうか……色。


 門をくぐっていく商隊を見る。頭を覆うベールからこぼれ出る色鮮やかな髪。隠しているようで隠れていない。


 これは……もしかして……私はとてつもない勘違いをしていたのかもしれない。



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