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道士の私が仙女になれない理由〜後宮が三食昼寝付きって本当?〜  作者: 白雲八鈴


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第43話 皇帝の陵墓

 お昼過ぎに目的の陵墓に到着した。


「遠い」


 窮屈な馬車から解放された私の目には真っ直ぐな道が見える。

 それも綺麗に整えられた石の道だ。

 その両脇に像が建っているものの、形が崩れてしまっている。


 手入れが行き届いていない。


 そしてその奥には山が見えた。その手前に建物があるので、その山が陵墓なのだろう。


「この階段を上るわけ?」


 仙界へ続く階段に比べたら楽勝なんだけど、ここに来て見せられると萎える。


「当たり前だろう。参拝はその上の建物だ」


 やはり山全体が陵墓で合っているらしい。


 重い足を前に出して進む。

 しかし、よく見るとところどころ傷んでいる様子が窺える。


 先々代の皇帝の元に参拝する者など、今はもう少なくなったということだろう。


 なにかと見た目をこだわる官吏たちが多いので、ところどころ朽ちているところが目についてしまう。


「先々代の皇帝でも死ねばこんなものだよね」

「おい、口を慎め」

「どれだけ権力を振りかざそうが、死ねばその求心力を失う」

「だから、黙れ」


 どのような力を持とうとも、権力を持とうとも、死ねばただの屍だ。そこに価値を見出すのは生きた人のみ。


「その故人を慕うものか、墓に埋められた物を狙う墓泥棒ぐらいにしか価値は見いだせないんだよね……いっ!」

「黙れと言っているだろう!」


 霍良に頭を叩かれた。

 私は小声で言っていたのに、それに周りには霍家の護衛しかいないよ。


「霍良。声が大きい」

「お前がおかしなことを言うからだろうが!」


 やはり、霍良と馬が合わないらしい。



 そして寝殿というところまでたどり着いた。

 ここまで日に四回も食事をもってくるなんて、墓守という仕事はかなり肉体労働だ。


 寝殿は手入れがされているのか、ここまでにあった像のような朽ちぐあいではなく、先日色を塗り直したかのうように鮮やかな外観だ。


 そして中にはいると、まるで皇帝が今でも生きているかのように衣服が用意され、食事が置かれており、離れたところでは整えられた寝台もある。


 気味が悪いほど綺麗に整えられていた。


「で、祭壇ってどこ?」

「そこだ」


 どうやら皇帝の衣冠が用意されているところが祭壇らしい。


「奥に続く扉はそこだ」


 祭壇の横に扉がある。建物の大きさからいけば、外に繋がる扉だろう。

 これだと、誰もがその奥の霊廟に行けてしまうと思う。


「昼の食事を用意されたあとだから、すぐに誰かがくるとは限らない。だが、あまり遅いと不審に思われる。だから、時間制限は半刻(一時間)だ」


 馬車の中で聞いたことを再度言われたけど、それはわかっているよ。


「それで高美人が埋葬されたところはどこ?」

「知らん」


 この行き当たりばったりが! それぐらい調べておいてよ。


「そもそも私が勘違いしたのは霍将軍が建設中の陵墓の近くに埋葬されたと言ったからで、陵墓の中にあるって聞いていなかったからだよね」

「何を言っている。それは二十年前の話で、陵墓が出来上がったら皇帝に仕えるために移動するだろう」

「え? そのときにわからなかったわけ?」

「誰が珠砂がばら撒かれている中を開けるんだ? はぁ、考えればわかるだろう」


 霍良はため息を吐きながら、反対側に抜ける扉に鍵を差して回している。

 鍵があるし。やはりこれも芙蓉様から預かってきたということ。


 珠砂ねぇ。銀朱は毒でもあるから、わざわざ開けないか。


 血の赤を示す珠砂は高貴な人の棺に納められているから、高美人の棺の中に入れられている可能性がある。


 え? もう、棺を開けなくていいんじゃない?



 霊廟の入口は石の扉で頑丈に閉められていた。そこにもやはり鍵があるようで、霍良が重そうな扉を開ける。


 中からなんとも言えない独特の匂いが漂ってきた。空気が淀んでいる。


「すぐに入るなよ。墓荒らしが言うには直ぐに入ると悪霊に取り憑かれて死ぬらしいからな」

「なにそれ? それだと皇帝が悪霊になっているけど」

「……中がヤバいって話だ」


 流石にその話に信憑性がないとわかったらしい。

 だけど、盗掘して中で死んでいる者がいるのも事実なんだろう。


 まぁ、わからないでもない。

 あまり入りたいところでもないから。


「それじゃ、先に飛ばしてみようか」

「あ?」


 懐から一枚の紙を出し、筆を取り出して、鳥を描く。

 ささっと描いた適当な鳥だ。


 それに息を吹きかけ命じる。


「道標の鳥よ。我の目的への道を示せ」


 紙から飛び立った鳥は、暗闇の中に入っていった。キラキラとした軌道を空間に残しながら。


「なんだ? 仙術か?」

「黎明の適当な剪紙成兵術(せんしへいせいじゅつ)だ」

「適当でも術になればいいんだよ」


 今まで黙っていた白が肩の上から霍良に説明しているけど、適当という言葉はいらないと思う。


「霍良様。そろそろよろしいかと」


 護衛の一人が松明を持って中に入るように促してきた。


「ああ、そうだな」


 そして、松明の灯りだけが頼りの霊廟の中に入って行ったのだった。



宣伝をさせてください。

【結婚するとは言っていません】


(あらすじ)

ある日父が突然とんでもないことをいい出したのです。

弟のアルバートの代わりに騎士団に入団して欲しいと

私には前世があり、騎士だった私。

王都は前世で関わった人が多いので、なるべくことを穏便に済ませたいです。

そう穏便にです。



興味がありましたらよろしくお願いします。

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