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第5話 いざギルドへ

「成程…ここが…。」


「大きいですね…。」


目の前にある大きな建物を見上げながら、グレムとエルは思わずそう歓声を上げた。


彼らの前方に聳え立つその建物は、外壁には紅の大理石を使い、屋根は赤い煉瓦を積み上げて作られていた。これの設計を手掛けた者は、例え誰が、何処から見ても分かるようにしたかったのだろう。これなら、どんなに広い街でも目印になる。


周りの落ち着いた情景とあまり合わないようにも思えるが、そもそもこの()()()と呼ばれる場所に集まる者たちは少し派手で、目立つような物を好むような気がしないでもない。なら、問題は無い筈だ。


そう思いながらも、グレムは未だにその建物を見ているエルに声を掛ける。


「エル、取り敢えず入ってみよう。そうしないと、何も始まらないからな。」


「は、はい!」


グレムはその返事を聞くと、正面にある大扉を「ギィ…」と開いて中へと入った。


ギルド内へと足を踏み入れた2人の目にはまず、まるで王宮の宴会場のようにだだっ広い大広間、そしてそこにいる活気のある若者や、いかにも多くの依頼をこなしてきた屈強な男らなど大勢の人々が集まり、賑わっているのが見えた。


グレムはギルド内のあまりの広さに圧倒されながらも、またそのあまりの騒々しさにやかましさを覚えながら、こう呟いた。


「ここが、“ギルド”か。」


そうして、取り敢えず前にと足を進めようとすると、横から突然顔の赤い筋骨隆々な男が目の前に来て、話しかけてきた。


「よお!兄ちゃん見ない顔だな!もしや、ギルド(ここ)は初めてか?」


少しだが酒の匂いがする。俺は何もこんな真昼間から…とは思いつつも、用意していた言葉を連ねる。


「ああ、それでまずは()()()()()()を発行してもらおうかと。」


「お〜()()()志望か!それなら、あそこに可愛い顔した受付嬢がいるだろ?」


彼は少しだけ驚いたような様子で反応した後、少し先の方にあるカウンターの前に立っている女性を指でさした。そしてそれからまた言葉を続ける。


「あのカウンターで手続きしてもらえば大丈夫だ。ま、初心者として頑張れよ。」


男はそう言って俺の肩に一瞬手を置いた。優しい男だ…これはもう少し自分も言葉遣いを改めないとならんな。


「すまない、感謝する。」


俺がそうお礼を言うと、彼は「いいっていいって」と言うように手を振りながら、その場から去っていった。


その後、すぐに教えてもらったカウンターの方へと目を向けると、そこにいた受付嬢は俺たちの視線に気付いていたのか、手を振ってきた。確かに可愛いかもな…と、そう思っていると、エルが何故かこちらを睨んで頬を膨らませてきた。もしかして君、エスパーだったりする?俺の頭の中読まれてる?


取り敢えず、落ち着かせる為に勇気を出してエルの手を握り、そのままカウンターの方へと歩いていく。すると彼女は俺の手を握り返してくれた。なんなら、嬉しそうに「えへへ…。」と笑いながら。だがその途中で…


「あれ?お嬢ちゃん可愛い顔してるね!君、歳は幾つ?」


お約束のようにエルに若い男の“冒険者”が声を掛けてきた。そしてその男は彼女の首輪を見ると、不敵な笑みを浮かべ、こう続けた。


「君、奴隷なんだ〜こんなにも可愛いなら、俺だったらすぐにこんな物、外してあげるのに。」


言葉の後に、その冒険者はこちらを睨んできた。そして当然のように、周りの視線もこちらへと集まってくる。


…だが、俺は何も言えない、返せない。そもそも何かを言えるはずもないのだ。何故なら彼女はまだ、()()()()()()のだから。


俺は少し俯く。本当なら、すぐにでも外してやりたい…だが、やっと手に入れた“大切な仲間”をまた失うかもしれないとなると、どうしても…。


そう思っていた時だ、嫌な沈黙の中、真っ先にエルが口を開いた。


「貴方のような、()()()()下心しか持っていらっしゃらない方が、もし私のご主人様だった場合は、首の錠を外された瞬間に逃げ出します。」


彼女がその男に言い放った言葉に、俺は思わず反応する。だがその後にも、彼女は強気にこう言葉を続けた。


「…尤も、貴方に仕えるのであれば、例え他の奴隷(みなさま)であろうとも、一目散に逃げ出すと思いますが。」


彼女は言葉の後に、俺をやや上目遣いで少しだけ見て、すぐに男の方へと視線を戻した。その時の彼女の頬は確かに赤くなっていた。


“この男が主人だった時には”って事は、俺が主人の時には…。いや、今はそんな事を考えている場合ではない。いかにも単純そうな男だ、予想すると次にこいつは…。


「なんだと!?お前、奴隷のくせに調子に乗りやがって!」


俺の予想通り、その言葉に激昂した男はそう怒声を上げ、彼女に手を上げようとした。


()()()()()大振りだな、予想するまでもなかった。俺はそう思いながらも、振り上げられたその腕を掴んで止め、一息で男の体の後ろへと持っていき、背中より上へ来るように無理に引き上げた。


余りにも一瞬の出来事だったからだろうか、何故か俺のその一連の動作に周りから歓声が上がった。


…正直これだけでも充分だが、ここで()()()()から舐められるのも癪だ。やはりここは1つ、言葉遣いも改めて()()()やろう。


俺は1度ニヤリと笑みを浮かべた後、動き悶えるその男に向かってこう言い放つ。


「これはこれは…家の子が大変失礼致しました。しかし、それなら(しつけ)方のなっていない私を責めるべきでは?それに…」


言葉を続ける途中で、背筋が凍る程の殺気をその男に向けて放ってから、掴んでいる腕を()()()離した。


「ひぃっ!」


すると男はそう怯えた声を出し、腰を抜かして尻もちをついた。俺はすぐさまその男を畳み掛けるかのように、座り込んでいるその男に()()を植え付けるように顔を近づけ、言葉を続ける。


「…“人様の所有物に手を出す”ってのがどういう事かは、理解しているんだろうな?」


そう言ったグレムの目からは、思わず身の毛もよだつ程に恐ろしい眼光が放たれている。傍から見ている他の冒険者たちでさえ、それに怯えてしまい声も出せなくなっていた。


その後、グレムは目の前で腰を抜かした男から目を離すと、「すっかり注目を集めてしまったな」と思い、少し頭を下げてから周りの人々にこう声を掛けた。


「悪いな、お騒がせした。」


俺はそれだけを告げ、カウンターへとまた歩き始めた。後でエルにも謝らないとな…と思っていると、背後から声が聞こえた。


「これで済んだと思うなよ…。」


…言うと思った、だっさい台詞(せりふ)だな。そう思いながらも、カウンターの前に立って“受付嬢”なる人に声を掛ける。


「すみません。」


「はっ、はい!」


だが、受付嬢と思われるその人は、先程放った殺気を受けてすっかり怯えてしまっていた。それを裏付けるように体が小刻みに震えている。しょうがない、少し詫びを入れておこう。


「あの…先程はすみませんでした。こんな騒ぎを起こすつもりでは無かったのですが…。」


「あっ…いえ、大丈夫ですよ!冒険者に問題は付き物なので…あはは…。」


俺の言葉に彼女は苦笑いでそう返事をしてきた。…このままでは話が進まない、先に要件だけ言ってしまおう。


「…ギルドカードの発行をお願いしに来たのですが。」


「わ…分かりました。ではここにお名前と指印をお願いします。」


彼女は言葉の後に手続きに使う書類と羽根ペン、また赤い染料が入った小さな丸い箱をカウンターの上に出した。俺はすぐに筆を取って自分のを書き終えると、その筆ともう1枚の書類を隣にいるエルに渡し、こう伝える。


「自分で書けるか?」


「はい!」


さっきの一件の事もあって心配していたが、彼女は元気に返事をすると、すぐに筆を動かし始めた。杞憂だったか…?とそう思いながらも、その間に俺は出された染料を指に付け、書類に指印を押す。


数分後、エルも書類を書き終え、その上に指印を付けると、受付嬢は俺たちが作り終えたその書類を受け取り、それと交換するように2枚のカードを渡してきた。


「では、これがギルドカードとなります。」


彼女がそう言って出したのは、硬い紙を何枚も重ねて作ったような銅色のカードだった。割としっかり作られていて、そう簡単には折れそうにもない。


そうカードをまじまじと見ていると、受付嬢はこう話し始めた。


「一応説明しておきますね!カードの色は階級(ランク)が上がる毎に変わっていきます。お2人はまだ最初の階級なので、ブロンズで銅色のカードとなります。次にシルバーで銀色、その次にゴールドで金色、そしてプラチナで白金色、()()()()()()()で薄いオレンジ色、()()()()()()で深い青色、ダイヤモンドで透明な水色へとなっていきます。」


"フェニキライト"はこの大陸でしか取れない特産品の鉱物…。そして確か…"アダムアビス"は()()()()()()()()()()()()()()と言われているとても希少な鉱物だったな。それぞれの鉱物の価値と関連付けるように階級を分けているのか…。


俺がそう思っている中、彼女はまた説明を続ける。


「階級昇格をする為には、()()()()を稼ぐ必要があります。“ポイント”を稼ぐには2つ程、重要な点があります。1つ目は任務(クエスト)をこなした数で、2つ目は任務の攻略難度となります。例えば、ブロンズからシルバーに上がる為には1000ポイント必要です。その時に受けた任務が1つにつき10ポイント、また星1つの任務クリアで10ポイント加算されます。そうして任務達成時にギルドに報告した際、その2つを足して、最終的に貰えるのが20ポイントとなります。またそうして重ねていった点数が1000ポイントに到達した際に、階級昇格となります。」


成程、なるべく難易度の高い任務を多くこなした方が効率的か。…だが、まだ戦闘経験の浅いエルをそんな場所に連れていくなんて事は出来ないがな。


そこでふと少し疑問に思う事があったので、俺は質問する。


「パーティを組んでいる場合はどうなるんですか?例えばここにいるこの子とパーティを組んだとして、任務を達成した時は同時に同じだけポイントを貰えるのですか?」


元々、エルとは必ずパーティを組む予定だ。そうすればその辺も重要になってくる…いやまぁ、ぶっちゃけると彼女と一緒にいれれば良いだけなのだが。


すると、受付嬢はこう答えた。


「その場合は少し加算されるポイントも変わりまして…。実はパーティを組んだ場合は、その全員で集めた得点が1000ポイントに到達した際に、全員同時に昇格となります。注意して欲しいのが、ここでの“全員で集めた得点”とは、()()()()()()()()()()()()()となる事です。つまり、パーティの人数が4人なら、貰えるポイントも4倍になると考えて頂ければ宜しいかと。但し、途中で1人が抜ければその人の持つ得点分、パーティのポイントは減りますし、逆にポイントを持った人が入ればその分加算されます。」


「成程…分かりました。詳しいことまでありがとうございました。」


そう言って頭を下げる。まだ分からない事はあるが…今は一旦こんなもので良いだろう。すると、受付嬢は少し焦った様子でこう返答してきた。


「いえいえ!これぐらいはギルド内で働く者として当然の事なので、頭を上げて下さい!」


彼女はそう言った後に、更に言葉を続けた。


「あ、あと任務はあそこにあるクエストボードに貼ってある依頼書をこちらに持ってきて頂ければ受注出来ますので。」


話す途中で、彼女はここから少し離れた壁に取り付けてある看板に指を差した。それを見て確認した後、俺は返事を返した。


「分かりました。」


そう言った後、俺は早速クエストボードの前まで歩き、貼り出されている依頼書を1枚1枚確認する。


「どれにしようか、難易度的にはやっぱり討伐系が良いか…。」


そう言いながらも懸念点であるエルを目の端で見ると、その時彼女はある依頼書を見て、その目を輝かせていた。


「何か良いのがあったのか?」


俺は顔を寄せながら声を掛ける。すると彼女は俺が顔を寄せたからか、驚きながら顔を赤くした。…何だお前、可愛いな。


「“イイロ草の採取”…これがいいのか?」


もう一度そう聞くと、彼女はもじもじしながらこう声を出した。


「植物については本でよく勉強したので…自信があります。」


うん、可愛い。最早これが決め手と言っても過言ではない。


「じゃあこれにするか。」


俺はそう言ってクエストボードから依頼書をとる。


「あぁ…いえ!ご主人様の行きたい任務で構いません!私の発言など無視して頂いても…」


エルの言葉を無視する事なんて絶対にしない。俺にとって彼女は奴隷ではなく、大切な仲間なのだから。それに…


「俺の行きたい任務となると、難易度が高めの討伐系のものだから…あまり戦闘経験の無いエルを連れていくのは少し危ない…というか、エルに怪我をさせたくない。」


おっと、しまった…つい本音が出てしまった。まぁいい、このまま押し切ろう。そう思いながらも、彼女に微笑み掛ける。


「それに、冒険者としての初めての任務だろう?これがエルの思い出になるなら、そっちの方がいいと思ってさ。」


「ご主人様…。」


彼女は胸に手を当ててそう呟き、こちらをじっと見つめてくる。彼女の目に俺はどう映っているのだろうか。…正直言って、自分では格好を付けすぎたかもしれないと不安で仕方がない。


そんな思いを胸に秘めながらも、彼女の手を取ってこう伝える。


「ほら、行こう。」


そうして依頼書を先程のカウンターに出し、受付嬢から確認を貰った後、俺たちはギルドを後にしようと入口の大扉の前まで歩いていく。


俺はこれから彼女と歩んでいく()()()()()()に胸を躍らせながらも、今、目の前にあるその大扉を開き、力強く前へと一歩を踏み出した……ところが、


「どういう風の吹き回しだ?これは。」


ギルドを出た矢先、突然6人の男たちが周囲を囲んできた。そしてその中の1人がこう声を上げる。


「さっきの仕返しだ。あんな恥ずかしい思いをさせられたまま、終われるわけがない。」


そう言った男の顔を良く見てみると、何故だか妙に見覚えが…あ。もしかしてこいつ、さっきエルに声を掛けてきた冒険者か!?記憶から抹消してたから全然気が付かなかった!…とは流石に言わないでおこう。


「それで、これから俺らをどうするおつもりで?」


その俺の声に対して、彼は不敵な笑みを浮かべるとこう言った。


「お前らをギルド初心者への()()()()にしてやる…光栄に思え!」


恐らくだが()()は、自分たちよりも階級の低い者らが調子に乗っているように見えたからなどと理由を付けて、()()()()という名の意味のない暴力を浴びせると言ったような野蛮な行為の事だろう。…はぁ、馬鹿らしい。


「…それならつまり、お前らもやられる覚悟は出来てるんだよな?」


グレムはそう言った後、先程ギルド内で放ったものよりも更に濃い殺気を放った。


その周りを囲んでいる冒険者たちはその殺気を受けると、自身の体が何かに怯えるかのように震え出し、更にはとてつもなく重い物をその体の上に乗せられているような感覚に陥った。


そんな中、先程の男が周りの仲間たちに向けてこう言った。


「お…恐れるんじゃねえ!こいつはたかがブロンズ、そこまで強くない筈だ!それに、俺らはゴールドだろう!?」


その声を受け、彼らは根性を見せるように体の震えを抑え始める。しかし、そう必死に抵抗している彼らを見て、グレムはこう言い放った。


「あのなあ…()()()()()()()如きでそんなに震えてるお前らが、俺に勝てると本気で思ってるのか?」


「…な、何だと!?」


彼はため息を吐き、頭を掻きながらも更に言葉を続ける。


「こっちも急いでいるんだ、だからお前らに掛けている時間は無い。…一瞬で終わらせてやるよ。」


「はっ、できもしねぇことを言ってんじゃねぇ!」


グレムの言葉に男がそう返した瞬間、「ドシャッ」という音がその周りで何度も鳴った。男がそれに気が付いた時には、既に周りにいた仲間たちは全員地面に倒れていた。


男は何が起こったのかも分からず、驚きのあまり呆然とした表情でこう言った。


「は?一体、何が…」


そう声を出した直後、男は意識を失ったかのように突然その場に倒れた。その後に、グレムは大きく欠伸をしながらこう言った。


「ふあ〜っ…はぁ…これでゴールドか、これなら案外楽に目指せそうだな。」


思った程でも無かったなとそう思っていると、まるで猫が戯れてくるかのようにエルが俺の腕に体を絡ませ、こう聞いてきた。


「ご主人様ご主人様!今、一体何をなさったのですか?」


「あぁ、()()()()()()か。まあそれは任務の目的地に向かいながら、ゆっくり話そう。」


グレムとエルはそう仲睦まじく話しながら、道を真っ直ぐに歩いていった。


…ギルドからこっそりとその現場を覗いていた冒険者たちは、全員その光景に唖然としていた。その中の1人がこう声を出す。


「一体、何をしたんだ…?」


もう1人の者がそれに答える。


「わ、分からねえよ…何かをしたんだとしても、俺の目には全く見えなかった…。」


他の者たちも「同じく」というように彼の声に頷いた。


…その日からグレムとエルは“瞬殺の黒”というパーティ名で、周りから恐れられるようになった。





ギルド内でグレムたちを見送った受付嬢は、ある屈強な身体を持った男と話し込んでいた。その男は驚いたように声を荒らげ、彼女に問い掛ける。


「本当に行かせたのか!?あのベリル森林に!?」


彼女はゆっくりと頷き、彼にこう聞き返す。


「は、はい…そうですが…もしや、何か問題が…?」


すると彼は大きくため息を吐き、考え込むように表情を暗くした後にこう言った。


「問題も問題、大問題だ…何故なら、あの森には最近“帝王熊(カイザーベアー)”の目撃情報が出回っているからな…。」


()()()!?()()()()()()()の冒険者が4人掛りでようやく倒せるくらいの、とても危険な魔物じゃないですか!」


彼女は驚愕し、思わず大きな声でそう言った。彼はそんな彼女を見た後、その手元にあった依頼書に目を付けた。そしてそれをすぐに手に取り、数秒掛けてじっくりと見ると、また大きなため息を吐きながらこう話し始めた。


「そうだ…だから最近は最低でもゴールドより上の階級でないと、ベリル森林に向かうような任務は受注出来ないようにしていた…。だがどうやら…誰かがミスをして、それを()()()()()()()()書かなかったんだろう…何年もここで受付嬢をしているお前が、依頼書の内容を見間違える筈も無いし、それに実際…この依頼書にはそれが書かれていないしな…。」


男は持っていた依頼書を「くそっ!」と言いながら机に叩きつけた後、酷く残念そうな表情を見せてこう続ける。


「だから言ったんだ…すぐに皆に知らせるべきだと…!それなのに上の奴らはそこまで問題視せず、ギルド内でも広めようとしなかった…ふざけやがって…。」


そう悔しそうにしている彼に向かって、彼女は問い掛ける。


「どう…しますか…?」


「…こうなったら、もうそのパーティが“帝王熊”と出会わない事を祈るしかない。今、この王国内には階級がプラチナ以上の冒険者は少ないからな…とても派遣できる状態ではないしそれに、今派遣したとしても、もう手遅れだろう…。」


彼はそう言ってその場にあった椅子に座り込むと項垂れた。その様子を彼女は涙ぐみながら見ていた。

これからどうなってしまうんでしょうか…そんな感じで期待を次回に寄せていただけたら幸いです。


次回、バトルシーンありの話になると思います!楽しみにしていてくださると嬉しいです!

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― 新着の感想 ―
[一言] 魔王からしたら平和な日常(だと思ってる)を破壊しようとしてくる “ただの熊“なんだろうな
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