第25話 宝石の国、ダリア王国
今回から新しくダリア王国編です!
最初っからかなりの文字数ですがその分内容も少し濃いので楽しんで見ていってください!
それでは、どうぞ!
「ここがダリア王国か…。」
もう見なれた高い城壁と奥にある城を門前から見ながらグレムは言った。
「早く中に入りましょうよ!ご主人様!」
エルは何故か凄いワクワクしているように見える、疑問に思ってグレムは聞く。
「どうしてそんなに楽しみにしているんだ?」
「ご主人様ご存知ないんですか!?…ダリア王国は綺麗な宝石がたくさんあることで有名な国です!!女の子には憧れなんですよ…!」
その言葉を聞いてグレムは、エルが自分のことを奴隷ではなく女の子と思うようになっているのに少し安心した。
「そうなのか…ルリはどうだ?」
グレムはエルが目を輝かせているのを見てルリにも聞いてみた。
「私は…あんまり宝石を見たことがないのです…以前のご主人様は冒険者だったので…あまりそういうことには…。」
グレムはそれを聞くと、ルリを期待させるように言った。
「そっかそっか、じゃあ、宝石を見るのは初めてか。きっと見とれちゃうぞ!凄く綺麗なんだ。」
「ルリとどっちが綺麗?」
ルリは急にグレムに問いかける、グレムは即答する。
「宝石かな。」
それを聞いてルリはがっかりするが、グレムはそんなルリの頭をポンと叩いて言う。
「だけど宝石にはない『可愛さ』がルリにはあるぞ。綺麗なだけが女の子の魅力全部じゃないんだ。だから、ルリは宝石とは綺麗さではとても比べられない、だが魅力で比べるんだとしたら…断然、ルリが上に決まってる。」
グレムは笑顔で言った、その言葉にルリは思わず顔を赤くする、そして、
「あ、ありがとうございます。」
と言った、その横顔はとても嬉しそうだった。可愛すぎるぅ!
「さぁ、そろそろ門から入るぞ!」
グレムはそう言って2人を連れて門からダリア王国に入った。
「おぉ…。」
これまた綺麗な町並みだ、グレムは思わず感嘆する。
中央には大きな川があり、奥には城が見える。そして、その川には何個もの橋がかけられている。その川を中心にレンガで作られた住居や店が立ち並んでいる。言うなれば水上都市、と言ったところか。
って、感動している場合じゃない。早速ギルドに話を通さなければ。そう思い、グレム達は近くにいた老人に話を聞く。
「すみません、旅のものなのですが、ギルドはどちらですか?」
「おぉ、旅のものとは珍しい。ようこそダリアへ。ギルドはこの道を右に進んで2つ目の角を左へ曲がった先にあるぞ。迷わんように気をつけてな。」
「ありがとうございます。」
「いいぞ、礼なんて。わしはただの老害じゃ。では、旅を楽しんでな。」
そう言って老人は歩いていった、エルが目を輝かせながら言う。
「だいぶ人がいいですね。ダリアは宝石だけじゃなく人の心も綺麗なのでしょうか。」
「それだったらいいけどな。よし、行くぞ。」
グレム達はそう言ってギルドへと向かった。
ギィィ…
ギルドのドアをそっと開けるグレム。エルドでのギルドで「よそ者がなんのようだ」みたいなオーラを出されたのが少しだけトラウマになっているので気が弱くなっている。
ギルド内は少し騒がしい、が、グレムたちを睨んだりはしていない。良かった、気にされてなさそうだ。
そう思って早速正面のギルドカウンターへと向かう。そこにはキリッとした表情のなんとも真面目そうな受付嬢がいた。
「なにか御用でしょうか。」
「すいません、前にいたギルドから王国に入ったらまず話を通せと言われてまして…。」
受付嬢は少し驚いたような様子をしたがすぐに聞き返してきた。
「ギルドカードをご提示願えますか?」
「はい。」
グレムはそう言って受付嬢にギルドカードを渡す。その色と名前にまた少し驚いたような様子を示したが、すぐに受付嬢は、
「承知しました、少々お待ちください。ギルドマスターを呼んできます。」
と言って奥へと下がって行った、エルがグレムに言う。
「あの受付嬢さん、かなり落ち着いてましたね。あのギルドカードを見せたらてっきり前のように驚かれるかと思いました。」
「まぁ、確かに少し慣れているような感じではあったな。実に優秀そうな人だ。」
グレムはそう話しながらカウンターの前で待っていた。
受付の裏では…さっきの受付嬢がギルドマスターを呼んだ後、蹲って顔を赤くしていた。
「(やばいやばいやばい!本当に来た!本当に、本物の!英雄のグレム様!かっこよすぎる!変に思われてないかな…きっと大丈夫…いつも通りに役目をこなしたし…けど変でもグレム様なら許してくれそうかも…♪あぁ…かっこいい、麗しのグレム様…)」
受付嬢がそう思いながら悶えているとギルドマスターが来た。受付嬢はちゃんとした表情に顔を戻し、ギルドマスターと一緒にグレム達が待つカウンターへ出ていった。
出てきたのは60代後半位のお爺さんだった。ダリアではこの人がギルドマスターをやっているのか。
「遠路遥々来てくださってありがとうございます。ダリア王国のギルドのギルドマスターを務めております、ハエイル=マードと申します。よろしくお願いします。」
そう言って頭を下げるギルドマスター。ギルドマスターが頭を下げることがあまりないことなのか周りの冒険者がざわつき始めた。それを聞いてグレムは、
「頭を上げてください。そんなギルドマスターが頭を下げるような者でも無いですし…」
そう言うと受付嬢がいきなり大声で言った。
「そんな事ありません!麗しのグレム様…あ!いえ!グレム様には当然です!『英雄』と呼ばれるまでの人物に頭を下げない人はいません!」
そう言った後受付嬢も頭を下げた。
受付嬢の声が聞こえたのか周りからこんな声が聞こえ始める。
「あれが噂の…本当にかっこいい方…。」
「本物のエルちゃんとルリちゃんだ…!やっぱり実物は可愛いな!」
「英雄様って呼ばれるくらいだからな…やっぱり風格が違う…。」
あぁ…またこんな風に噂が広まってしまうのかと思っていると、ギルドマスターが頭をようやく上げて言った。
「今はこんな感じになってしまいましたが、ギルドの者へはあまり口外しないように注意喚起しておきますので。少しですが噂が流れるのを止められるかと…申し訳ない…そこまでしかできなく…。」
「いえいえ、こちらが悪いんですからギルドマスターが謝ることではないです。噂が広まってしまうのは当然ですし、しょうがないことなので。」
その受け答えを聞きながら受付嬢は思っていた。本当に寛大で優しい方…自分のことよりギルドマスターの心配をするなんて…、かっこよすぎる…惚れちゃいそう、もう惚れてるけど…。
グレムはエルド王国でのことを思い出して言う。
「そう言えば今何か魔物関連で困っていることはありませんか?何かあれば話を聞きますが…。」
巨大蜘蛛みたいなことがこの国でもあったらさすがに見て見ぬふりはできない。一応確認しておこう。グレムはそう思いながら言った。
ギルドマスターが言う。
「いえ、今のところは何も無いです、ご心配なさらず…。しかし、さぞここに来るまでの道のりで疲れたでしょう。今日は時間も時間ですし、宿を探して休んではどうでしょう。」
グレムはそう言われギルド内の時計を見る。いつの間にか昼間に来たはずなのに夕方になってしまっている。それに気づいたグレムはギルドマスターに返事を返す。
「そうですね…確かに少し疲れているのでそうします、明日からクエストを受けに来ますね。」
そう言ってギルドを出ようと後ろを振り返ってからグレムは「はっ」と思いまたギルドマスターの方を向いて言った。
「おすすめの宿とか…場所教えてくれませんか?」
グレム達がギルドマスターに紹介されて来たのは、かなり高級そうな店構えをした宿だった。この店だけ白色と金色を使って高級感を漂わせている。
「凄いな…。」
グレムが言うと、エルが言う。
「冒険者が来てもいいところなのでしょうか…。」
「止まっててもしょうがない!入るぞ。」
そう言って、グレム達は中に入って行く。
「いらっしゃいませ。」
メイド服を着た綺麗な女性が受付をしている、内装もかなり高級感が出ている。早速受付に向かうグレムたち。
「ここに泊まりたいのですが…3人部屋とかありますか?」
「その奴隷2人も同室…ということでしょうか?そうでなければ奴隷はこちらで預からせてもらいますが…。」
「同室でお願いします。」
グレムは即答した、受付の女性は少し驚いたがすぐに元の態度に戻り言った。
「すみません…3人部屋は一応あるのですがスイートルームとなっておりまして1泊の値段が高めになっております、なのであまりおすすめはしませんがどうしますか?」
「一応1泊いくらか聞いてもいいですか?」
「…1泊1万ギルです。」
確かに高い、エルド王国では王宮に泊まらせてもらったので無料だったが、ベリル王国で泊まった宿屋は風呂を入れても3千ギルであった。受付の女性は言う。
「でも、一応その値段くらいの待遇はさせていただきます!お風呂は部屋についていてさらに3人部屋なのでかなり広くベッドも3つあります!そして朝食と夕食は好きな時間に食べていただいて結構となりますので!」
受付の女性は少しその値段についてフォローしながら勧めるように言った。
ほう、確かに悪くない。まぁどちらせよ最初から決めていたのだが。
「じゃあとりあえず2ヶ月分お願いします。」
「はい!…あの…普通の部屋ですよね…?」
「いえ、その3人部屋のスイートルームで、お金の心配はありません。冒険者なのでかなり稼がせてもらってますし。」
受付の女性は驚いたような表情をしながら少し震えて聞いてきた。
「すみません、ギルドカードを拝見させてもらってもよろしいでしょうか…?」
「?はい。」
グレムは疑問に思いながらもギルドカードを渡す。受付の女性はそのギルドカードに驚いて言った。
「ア、アダムアビスのギルドカード…!しかもまさかあなたがあの…グレム様…?」
グレムはやってしまった…と思いながら言う。
「あ〜そうです。あまり口外はしないでもらいたいのですが…。」
「失礼しました!この宿屋はアダムアビスランク以上からは値段を割り引かせてもらってます!なので少しお安くなります!」
受付の女性は『英雄』が相手だからか焦りながら話す。それに対してグレムは受付の女性を落ち着かせるような言葉遣いで言った。
「それは助かります、ではそのスイートルームで2ヶ月泊まらせていただきます。あと、相手が俺だからって変に気を使わないでいいですからね。ただの客として接してもらって全然大丈夫なので。」
グレムは笑顔でそう言った、その優しい言葉に心を打たれたのか受付の女性はその笑顔に見とれる。
「?どうしました?ぼーっとして。」
「あ、いえ!では、スイートルームの鍵です。その階段を3階まで登ってもらってすぐ右にありますので!」
グレムは気づいていないが、エルとルリはその受付の女性がなぜ一瞬ぼーっとしていたのかはっきりと分かっていた。
「広いな〜!」
あまりの広さに思わず感動の声を上げるグレム。
バフッバフッ!
ルリがベッドで跳ねながら嬉しそうに言う。
「ご主人様!ご主人様!ベッドもフカフカです!」
エルは部屋に用意されている椅子に座ってグレムの方を少し睨んでいる。それに気づいたグレムは言う。
「どうした?エル、俺がなんかエルにとってよくないことでもしたか?なら言ってくれ直すから。」
「違います!ご主人様は女性に対して優しすぎるんです!」
?とグレムは疑問に思って聞き返す。
「それが…悪いことなのか?」
「分からないならいいです!フンッ!」
ぷいっとエルはそっぽを向く、ルリが話題を変えようと言ってきた。なぜかしっぽをフリフリさせながら。
「ご主人様…お風呂…どうします?」
「2人が先に入っていいよ。俺はその後でいい、いくら洗うとはいえ2人は俺が入ったあとのお湯を使うのは嫌だろう?だから俺は最後に…」
言葉の途中で2人は声を揃えて言ってきた。
『ご主人様と一緒がいいです!!』
「……え?」
「マジで一緒に入るのかよ〜何でだよ〜。」
風呂場の外からエルが言う。
「出会った後最初に『一緒にお風呂に入ろう』と言った人の発言とは思えませんね、それに、私たちは『奴隷』です、ご主人様にご奉仕するのは当然のことですよ♪」
ガチャリ
風呂場のドアが開く、2人が入ってきたのであろう、グレムは両手で目を覆って何も見ないようにしている。が…
「ちゃんと見て。」
ルリがその手を引き離した、その瞬間に見えたものにグレムは驚く。
「ってちょっと待て!なんでお前ら前を隠してないんだ!」
エルとルリは2人ともタオルで前も隠さず裸のままで風呂場に入ってきている。グレムは目の前のルリから目を背ける、だがルリはグレムの顔を両手で挟み、正面を向かせて言う。
「ご主人様は…私たちの体見るの…嫌?」
「いや…嫌なわけないだろう…可愛い女の子の裸を見るのが嫌な男なぞいない…。」
グレムは顔を赤くしながら言った、ルリはそれを見て言う。
「えへへ…ご主人様可愛い…♪」
いやお前の方が絶対可愛いとグレムは心の中で思う。
エルが言った。
「じゃあ私は背中をお流ししますね!」
それに対してルリは言う。
「じゃあ私はご主人様の前を洗う。」
「いや、ルリ、前は自分で…」
言葉を遮るようにルリは言った。
「ダメ、ルリに洗わせて?」
いやそんなふうにお願いされたら断れないだろう可愛すぎかこいつら。
グレムはそう思いながらもこの恥ずかしさの拷問に耐えきった。
『ふぅ〜』
それぞれの体を洗い終わり、風呂に浸かる3人。
エルはいつものようにグレムの腕に抱きついている。ルリはグレムから離れた端っこにいる。
「ルリはこっちに来ないのか?」
グレムが問いかけるとルリは顔を赤らめながら言った。
「ご主人様から…まだ『抱きついていい』って許可を得ていない…だから…離れてる。」
「エルを見ろ、俺は一言も『抱きついていい』って言ってないのにいっつもやってくるぞ。だからルリも許可とか気にしないでいいさ。」
「本当…?なら…私も結構な頻度でご主人様に抱きついちゃうかも…。」
「構わないよ、寧ろ可愛いルリに抱きつかれるなら嬉しいさ。」
グレムが優しい言葉をかけるとルリは顔だけ水面に浮かせながらスススと近づいてきて、エルの反対側の腕に抱きついた、しかも結構力強く。
「ずっと…こうしたかった…ありがとう…ご主人様。」
ぎゅううと自分の腕を抱きしめるルリのあまりの可愛さにグレムは顔を赤くしながら言った。
「こんなことくらい別にお礼なんていいよ。」
「で、なんで寝る時まで2人は抱きついているんですか?」
グレムが言った、するとエルが言う。
「ルリちゃんが『ご主人様と同じベッドで寝たい』なんていったら私も一緒じゃないと平等にご主人様を2人占めできません!」
「2人占めって…まぁいいけどさ…。」
グレムは諦めたように言った。
「明日もこんなふうに楽しかったらいいな…。」
ふとグレムが言うと、エルが言った。
「ご主人様がいるなら、私たちは楽しいですよ!」
ルリも首を縦に2回振る。
「俺自身のことは考えてないのかよ。」
3人はそう言って笑った後、深い眠りに落ちた。
「女王陛下!どうやらこのダリア王国にあの有名な冒険者、『グレム』が来ているとの情報が入りました!」
「確かか!?」
女王陛下が返す。
「はい!」
兵士がそう答えると、女王陛下は言った。
「明日の朝来るように、その者を王宮に呼べ!いいな!?」
「承知致しました!」
兵士はそう言って走って王宮を出ていった。
「グレムとやら…そなたをす〜ぐ虜にしてやるから待っておれ…。」
その王女はそう言って笑っていた。
どうでしたでしょうか?
バトルシーンはまたすぐに出てきますのでご心配なさらず…。楽しみにしてくださっている方がどのくらいいるかは分かりませんが…。
それでは、また次回お会いしましょう!




