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第200話 秘められた『炎』

どうも皆様、こんにちは。

何とか推敲を終えて投稿を果たしました。久しぶりに一話更新の間が短くなりましたね、反省しております。

前書きであまりお話するとあれなので、後書きに色々書こうと思います。

取り敢えず、本編をお楽しみ下さい。どうぞ。

グレムたちとの話し合い(?)を終え、ミルエルク曰く「この騒動の黒幕がいる」というカージス家の邸宅へと向かっていた一行は、その彼女の活躍により、道中で苦戦を強いられる事も無く、あっさりと目的地に辿り着いた。


だが当然、その邸宅の前には()()以外の4人にはあまりいい思い出のない、黒い鎧を身に付けた兵士らがその入口を塞ぐようにずらりと並んでいた。


「道中が多かった分、こっちは人数が少ないかと思ったが…無駄な期待だったな。」


5人は影に身を潜め、その周辺の様子を伺っていた。ガウリアが最初にそう話すと、続けてディアンヌが口を開く。


「戦うしかないのだろうが、私たちの剣が奴らに届くかどうか…。」


彼女は先の戦いでの事を思い出す。剣術や立ち回りではこちらが遥かに上回っている。本来なら、全員斬り伏せる事も容易だろう。


だがあの黒い鎧は、剣聖の剣をも通さない無類の硬さを誇っている。ましてや、それに加えて魔法や魔術への耐性、透明化なども持ち合わせている。実際こちらが出来たのは、相手を突き飛ばす事のみ。()()なんて、出来る想像もつかない。


「…不思議だな。これまで剣を振るうのに不安を感じた事など、一度も無かったのに。」


彼女は顔を俯かせ、悔しげに声を出した。その様子にマリも励ます言葉を失い、沈黙する。


4人は考えを巡らせて対策を練り続ける。敵の本拠地に早く辿り着けたのは良かったものの、前途多難。生じる問題は多く、誰も上手く考えがまとまらない。だがそんな中、やはり彼女は他と違っていた。


「でもそれは、ここに私がいなかったらの話だよ、若き剣聖諸君。」


沈黙の中、甲高いミルエルクの声が彼女の靴が地面に当たる音と共に響いた。その音に反応して、4人は彼女の方へと目を向ける。


彼女は身を潜めるのをやめ、たった1人邸宅の前へと出ていく。その瞳から翠色の光が漏れ出す。鞘から抜いた剣の刀身が、瞬く間に光を帯びる。対して、4人はそれを止めることも出来ず、ただただ遠ざかる彼女の背中を見つめていた。


「私がここにいる限り、不安に駆られる事も、何かを考え込む必要もない。君たちはただ()()だけでいいのさ。」


彼女の姿に敵兵はすぐに陣形を整えて武器を取り出し、戦闘態勢に入る。だが目の前でそんな事をしている兵士たちには目もくれず、彼女はその翠色の瞳で邸宅の正面扉へと視線を向けると、こう言った。


「そうだろう?」


彼女が()()に向かって呼びかけた瞬間、その扉が開き、仮面を付けた1人の男が現れた。その男はこう言った。


「ああ、そうだ。前へ、ひたすら前へ。」


その一方で、後方に隠れていた4人の内、ガウリアがまず声を上げた。


「あれが"黒幕"ってやつか…。こうしちゃいられん、今すぐ…ん?」


彼は前に出ようとしたが、その時ディアンヌの様子がおかしい事に気付いた。彼女はその男を睨むように見つめていた。


「ディアンヌ卿…?」


ガウリアは心配になり、彼女の名を呼ぶ。だが、それすら彼女には聞こえていないようだ。


「マリ。」


「お姉ちゃん…分かってる。」


ディアンヌが冷たい声でマリを呼ぶと、彼女も何かを理解しているかのように返事をした。ガウリアはその2人の様子を見て、更によく分からないといった表情を浮かべる。


そしてすぐに、彼女たちは前へと歩き始めた。まるで何かに引き寄せられるかのように。


「待て!お二人さん、一体どうしたんだ!」


そんな2人を止めるように、エルヒムが慌てて声を上げる。しかし、その言葉も届いていないのか、ディアンヌも、マリですらも、足を止めなかった。


先に前にいたミルエルクの隣まで来ると、2人はようやくその足を止めた。そんな2人の様子を見ていられないと、後ろから遅れてガウリアとエルヒムもそこまで足を運ぶ。


5人の剣聖が揃ったのを見て、周りの敵兵たちは更に警戒心を強める。しかし、その時、


「お前たちは手を出すな。」


仮面を付けた男が声を上げた。それを聞いた敵兵はすぐに警戒を解き、整えていた陣形を戻して待機態勢に入った。そしてまたその男は、今度は()()に向かって礼儀正しく、深々とお辞儀をしながら、こう呼び掛けた。


「お目にかかれて光栄です、ミルエルク女王陛下。勿論、陛下に無礼を働くつもりは毛頭御座いません…ですが、此度の戦闘におきましては、どうか手出しをしないで頂けると助かります。」


それを聞いた彼女は、とても長いため息をついた後、「やれやれ」というような表情で剣を鞘にしまった。


その様子を見た男は、また深々とお辞儀をしてからこう言った。


「ありがとうございます。陛下の寛大さに感謝致します。」


ミルエルクはそれを聞いた後、後ろに振り返ると「いらないよ」と手で合図を送り、隣にいたディアンヌの肩に手を置いてこう言った。


「ディアンヌ君、今自分の周りにあるものを忘れないようにね。」


いつにも増して真面目な声色でそう言われ、ディアンヌは急に我に返った。そしてそのまま後ろへ下がっていく彼女をなんとなく眺めていた。


「…さて、」


ミルエルクがある程度後ろに下がると、仮面の男は1歩ずつ姉妹の元へと歩き始めた。


「驚く程に大きくなったものだね、2人とも。喜ばしい事だ。」


そう言いながらゆっくりとこちらに近付いてくる男に、ディアンヌは睨みながら質問を投げかける。


「一体、何が望みだ。()()()の続きか?」


彼女は自分たちがまだ子供の頃に起こったあの惨劇を思い出していた。あの一件で、私たちは…ジル家は変わった。


「"あの時の続き"?…ああ、そうか…そうだな。私は確かに()()()、君たち2人を取り逃した。」


「!」


その言葉を聞いて、過去の幻影が目の前の仮面の男と一致した。間違いない、ジル家を根絶させ、母上を葬り、私たちをここへと追いやった張本人。その者が今、目の前にいる。


ディアンヌの体は震えていた。だが彼女にあるのは恐怖ではない…果てしない程の怒りだ。


「君が怒るのも無理はない。私の身勝手な行動のせいで、君たちは親を失い、住む場所すら失い、故郷から遠く離れたこの地に追いやられたのだから。」


仮面の男の言葉を聞く度に、虫唾が走る。体の中で、グツグツと何かが熱く煮え滾っているのを感じる。


「君の言う通りだな。確かにこれはあの時の続き…あの惨劇を逃げ延びた君たちと私との、物語の続きだ。」


仮面の男はそう話しながら、目の前で止まった。ディアンヌはその男から目を離さずに、2人に呼び掛ける。


「ガウリア卿、エルヒム卿、これは私たちの戦いだ。手を出さないでくれ。」


名を呼ばれた2人は、彼女から今までにない冷たさを感じた。背筋が凍り、思わず鳥肌が立つ。2人は、彼女らに声を掛けられなかった。


「初めの質問に戻ろう。"何が望み"か、だったね?そうだな…。」


仮面の男はそう言うと考えるような素振りを見せる。そして数秒して、何か閃いたかのようにこう言った。


()()()()()()()()()()()、と言ったらどうかね?」


「ふざけるな…」


───────ディアンヌは無意識に剣を抜いていた。


「…ふざけるなあああああ!!!」


彼女は怒りに身を任せるように突進していく。マリもほぼ同時に走り始めた。


「ふざけてなんかいないさ。」


ディアンヌが目の前で剣を振り下ろすまでに、男は声色を変えずにそう言った後、次の彼女の斬撃を華麗に躱した。そして、足を開きながら左腕に勢いをつけ、彼女の腹部目掛けてその拳を思いっきり振るった。


「…当然のことだろう。」


「ぐっあ…!」


その拳は彼女の腹部の中心を見事に捉えた。ディアンヌは後ろへ飛ばされたが、体が地面に着く瞬間に上手く受け身を取り、何とか足で着地する。


「お姉ちゃん!この…!」


マリは怯まずに右側からすぐに男との距離を詰める。彼はそれに反応して右腕ですぐに自身の剣を抜いた。


2人の剣が交わり、痛快な音が響き渡る。マリは力では押し切れないと判断すると、すぐに一歩下がった。


「ここで引くか、いい判断だ。」


男は得意気にそう言った。後ろにいるディアンヌは殴られた腹部を押さえながら、苦しそうに咳き込んでいた。


彼の言葉に、マリは一呼吸置いてから返事をする。


「いいえ、悪いけど…私はそこまで()()()じゃないの。」


彼女はそう言いながら、記憶の中の小さな獣人を思い浮かべる。あの強さを、あの速さを、自分にも…と。


「<<咲剣(しょうけん)・──」


剣を構え、次の自身の動きを再確認し…今!


マリは仮面の男を中心に捉え、一瞬の間に元いた位置から直線上にある真反対の場所に移動していた。


「何を…。」


仮面の男の声に反応はせず、自分の脚に神経を集中させ、力強く次の一歩を踏み込んだ。その次の瞬間には、マリが動いた直線は綺麗な星型を描いていた。


「──朝顔(あさがお)>>!!」


マリが元の場所に戻ってきた瞬間、その軌跡は1つの大きな朝顔へと変貌し、中心に向け無数の斬撃を巻き起こした。


「ほう、中々良い技だ。」


しかし男は全く焦ることなく、酷く落ち着いた様子で、それらの斬撃を自身の剣で全て薙ぎ払った。


「なっ…。」


一瞬だった。囲むように放った幾数もの斬撃は、彼の一振りによって簡単に振り払われた。マリは驚きを隠せずに声を上げた。


「だが、軽すぎる。」


男はそう言うと、一息でマリの目前に迫り、剣を振り上げた。


「マリ!」


ディアンヌは腹部を押さえながらも、声を荒らげて走り出した。


マリはその男の一撃を何とか受け止めたが、あまりの力の強さに弾き飛ばされる。


「くっ、うう…ああっ!」


運良くディアンヌが走ってきていた方向に弾かれ、倒れそうになるマリを彼女が受け止める。


「マリ、ゲホッ…大丈夫か?」


「うん、何とか…ね。それにしてもあの人、凄く強い…。」


会話しながら、2人で何とか互いに体を支え合う。仮面の男は何を考えているのか、追撃しに来る事もなく、こちらの様子をただ眺めていた。


そうして丁度2人が息を整え終わった時だ。仮面の男は剣を構えると、こう言った。


「…これで終わりか?なら今度はこちらの番だな。」


男の剣に、白光が宿る。その神々しい光を見た2人は表情を更に曇らせる。


「なんだ、そんなに不思議か?剣聖と渡り合えるのであれば、これは当然のようなものだろう。」


男はそう言った後、一度大きく深呼吸した。そして、


「よし、ではここからは───────」


声が聞こえた瞬間、離れた場所にいた男の姿が突然、すぐ目の前に現れた。2人は言葉を失いながらも、咄嗟に剣を構える。


「─────本気で御相手しよう。」


男の剣から、光る斬撃が放たれる。ディアンヌとマリは2人でそれを受け流そうとするが、その威力に圧倒され、後方まで押されていく。


2人は何とか脚に力を入れ、やっとの事で斬撃を押し返したが、その間にあの男はディアンヌの目の前まで距離を詰めていた。そして間髪入れず、男は剣を振るってくる。


その剣を防ぐのが間に合わないと思ったディアンヌは、それを躱そうとするも、ギリギリのところで腰を斬られてしまい、浅い傷を負った。


「うっ!」


鈍い痛みに声を上げながらも、ディアンヌは負けじと反撃に剣を振るった。だがその剣は全て弾かれ、もう一度男の剣が迫る。


「させない!」


横からマリの剣が男の剣を弾き返し、男は一瞬仰け反った。そしてその隙を見逃さなかったディアンヌが斬りかかりにいく。


「<<麗剣(れいけん)雷鳴連波(リガビデラ)>>!!」


彼女の刃に雷が宿り、素早い連撃を仮面の男に浴びせる。だが彼はその連撃をある程度弾いた後、攻撃の隙を突くように自身の剣を通してきた。


「何!?ぐあっ!」


ディアンヌは咄嗟の反応で一歩後ろに下がったが、左の胸元から右の腰辺りにかけて斜めに傷を負い、よろけてしまう。


男はその隙を見逃さず、彼女を切り伏せにかかる。しかしその時、


「…<<咲剣(しょうけん)桜吹雪(さくらふぶき)>>!」


マリが真横から男に向けて剣を振るった。すると描いた剣筋がたちまち幾数もの桜の花弁の斬撃へと変化し、渦を巻くように舞いながら男の元へと向かっていく。


ほぼゼロ距離で技を放たれたため、男は剣で受けるしかなく、そのまま花の勢いにどこまでも押し流されていく。


その技を受け続ける内に、男はかなり後方まで下げられてしまっていた。振り払おうとするも、その花弁は宙を舞うばかりで、芯を捉えきれない。


「…なら、消し飛ばすか。」


男はその斬撃を受け続けながら、そう言った。





一方、ディアンヌは傷の痛みに耐えながらもその瞳に空色の光を宿らせていた。勿論、この先を()()()ためだ。


だがそこで見えたのは、予想外の結果だった。彼女は驚愕しながら、マリに向かって声をかける。


「マリ、逃げろ…。」


ディアンヌの声は震えていた。


「お姉ちゃん…?」


キョトンとしているマリに向かって、彼女は今度は声を荒らげて言う。


「マリ!早く逃げろ!そこにいるな!早く!」


彼女の酷く焦った様子に、マリは何かを察し、その場から離れようとした。





男は言葉の直後、一歩後ろに下がると剣に力を込め、その剣先を花弁の渦に向けて勢いよく前へと突き出した。


次の瞬間、彼の剣から猛烈な蒼炎が放たれ、花弁の斬撃をかき消していった。更に、その炎の勢いは止まらず、真っ直ぐにマリの元へと向かっていく。


一方その時にはマリの視界はもう、何処までも深い蒼色に染まっていた。


「これ、避けられな」


ディアンヌの目の前で、マリは燃え上がる炎に声も姿もかき消されていった。


蒼炎の勢いはそれでも止まらず、邸宅の端まで進んでいき、後方にあった住居の壁に衝突すると爆発するように広がって轟音を響かせた。そうしてようやく、あの炎の渦は消えていった。


周囲にはまだ小さな蒼炎が散っている。あの叫びたくなるような熱も、まだ残っている。そんな中、


「マリ…?」


ディアンヌは名前を呼ぶ。先程まで目の前にいた家族の名前だ。何が起こったのかは分かっている。それでも、理解が追いつかない。


体が揺れているのか、地面が揺れているのか、視界が歪む。その歪んだ視界で何が確認出来るのかは分からないが、あの炎が収束した場所へと目を向ける。


その先には、ただの燃えカスとなった灰塵しか映らなかった。でも、そんなはずは無い。


「あ…ああ…。」


だって、あの炎に飲まれた筈だ。マリが。そうだ、だから、それは有り得ない。


よろめきながら一歩ずつ、その場所へと近付く。負った傷の痛みなど、もうどうでもよかった。


マリとの思い出が突然蘇る。いつも私を慕ってくれていた。いつも私を心配してくれていた。いつも私を「お姉ちゃん」と呼んでくれていた。


ちょっと抜けているところはあるが、元気で、努力家で、真面目で…私にとっては、太陽のような存在だった。


私が暗い気持ちになると、いつも温かな言葉と笑顔で、照らしてくれた。冷たい私の周りをいつも温もりで包んでくれた。


…気付けば、もうその場所は目の前だった。そして、その光景を目の当たりにして、膝から崩れ落ちる。


「ああ…あああ…。」


目に映る物は、あの時と変わらない。あの炎に飲まれた筈の、彼女の影も形もない。


その場に残った灰をすくい上げて、手のひらから零れ落ちていくのを見た瞬間、私の中で何かの糸が、プツンと切れた。


「あああああ!!!ああああああああああぁぁぁぁぁ!!!」


みっともない大声で、泣き叫ぶ。喉が壊れそうになる程の声で、私が私でなくなるくらいの感情を込めて、叫び続ける。


頭の中で、マリが何度も「お姉ちゃん」と呼んでくれている。その声は、もう聞けない。そう言ってくれる人も、もういない。


涙が止まらない。そういえば、こうして泣いたのは、何時ぶりだろう。マリの前で、泣いた事はあったかな。


こうなってしまうのなら、もっと…もっと早く、感情を出せていればよかったのに。





「ああ、やりすぎた…。()()がいるから、全力を出しても大丈夫ではあるが…それにしてもだ。」


仮面の男は自身の顔に手を置き、後悔するようにそう言った。その剣には、未だに小さな蒼炎が燃え残っている。


「でもこれで、本気になってくれるだろう。大切な人を失った時の辛さは、私が1番良く分かっている。ただ問題は…立ち直れるかどうかだ。」


彼は遠くにいるディアンヌを見つめながら、言葉を続ける。


「君は強い子だ。私なんかより遥かに、遥かに強い。だから…」


「ぬおおおおおおお!!!」


剣の重なる音が響く。ガウリアだ。ガウリアは大声を出しながら仮面の男に突撃していた。彼は怒り狂ったように、その男に言葉を浴びせる。


「"手を出すな"と言われたが、もうそういう訳にはいかん!こんな事になって、黙っていられるか!お前は…お前だけは、絶対に許さん!」


全力で腕に力を込め、ガウリアは男を弾き飛ばした。仮面の男は大きく後方へと後退りをする。更にその直後、


「エルヒム卿!」


「分かっておるよ!」


ガウリアの大声に反応し、鞘に手をかけたエルヒムが突然、仮面の男の目の前に現れた。


「若者よ。悪いが、本気で剣を抜かせてもらう。」


エルヒムが剣の柄を握りしめ、鞘から剣を抜く瞬間、その刃は眩しいまでの光を放っていた。


「<<煌界(こうかい)光耀絶霊(こうようぜつれい)>>!」


彼は鞘から剣を抜き切らず、途中でもう一度鞘へとしまった。次の瞬間、仮面の男の体に幾つもの白光が走った。


「ぐっ…がっ…!」


体中を斬られたような衝撃と激痛がその身に走り、男は思わず膝を着く。


その様子を確認し、エルヒムは一度剣から手を離すと、ガウリアに向かってこう言った。


「しかしガウリア卿も随分と人使いが荒い…。正直、もう本気で剣を抜く事はないと思っていたよ。」


「状況が状況だ。そんな事言ってられんのは分かるだろ。」


ガウリアの言葉にエルヒムは頷きながら返事をする。


「ああ、それは間違いないな。この老体が若い子たちの力になるなら、何だってするさ。」


「流石だな。」


ガウリアは彼の言葉に感心していた。だが、


「だが君は別だ。」


「あ???」


ガウリアはエルヒムを睨みつける。しかしエルヒムはそれを全く気に留めていないように、仮面の男に向かって話し始めた。


「君が何処の誰で、何を考えてるかは分からん。分かるのはあの子たちに執着している事くらいだ。だから先に言っておくよ。」


仮面の男は何も話さない。ガウリアは未だに怪訝な表情をエルヒムに向けている。しかし彼はやはり気にしていないようだ。


「もしあの子たちを愛しているのなら、最後まで悪者でいなさい。」


エルヒムは、仮面の男に対してそう言った。ガウリアが首を傾げていると、その男は冷たい声でこう返した。


「知ったような口を聞くな…。貴方に私の何が分かる。」


男は立ち上がり、剣を2人の方へと向ける。しかしエルヒムは怯むことなく、話し続ける。


「さっきも言っただろう、分かるのはあんたがあのお嬢さんらに執着している事だけだ。」


彼はそう言って一度大きくため息をつくと、再度口を開いた。


「年長者からのただの忠告だ、どうするかはあんたに任せるよ。」


男は彼の言葉に一瞬反応を見せたが、その後すぐにその剣には蒼炎が宿り始めた。そして男は口を開き、こう言った。


「有難い忠告だが、今は…ただ邪魔なだけだ。」


言葉の直後、男はその剣を2人に向かって振るった。たちまち蒼炎が巻き起こり、辺りを焼き尽くそうとする。


ガウリアとエルヒムは男のその動きを見た瞬間に後ろへ一歩下がり、燃え上がる炎を回避していた。


「エルヒム卿…さっきの話は…。」


ガウリアは目の前で燃え上がる蒼炎を見上げながら、隣にいるエルヒムに声をかける。


「君にも、私にも関係のない話さ。これは、()だけの問題だ。」


目の前の蒼炎が勢いを鎮めていく中、その向こう側にいる仮面の男の姿が2人の目に映る。その今にも炎の中に消え入りそうな姿を見て、エルヒムはこう言った。


「知ったとしても、私らでは助けられない。彼自身と()()()()()にしか、彼の中で燃え続ける炎を鎮める事は…出来ないだろう。」


2人は剣を構え、消え入る蒼炎の向こう側にいる仮面の男と対峙していた。





「はぁ、あ…ぐぅっ!…う…。」


グレムの剣から放たれた黒い光をもろに食らったヴォイドは、観客席まで押し飛ばされ、苦しそうに声を上げていた。


「これ、は…なん、だ…?傷、はない、のに…痛、みが…。」


あの暗黒を全身で受けたとはいえ、体に目立った外傷は見当たらない。だというのに、体中に痛みが走り続けている。まるで、内側から蝕まれているかのようだ。


戦いに明け暮れ、痛みに慣れている者であれば耐えられない事はないだろう。だが、()()()()は別だ。()()()という事に神経を注がないと、この苦しみに抗える気がしない。それ程に、全身がこの痛みを拒絶している。


「どうだ、消えない痛みは。苦しいか?」


「!」


その声に気付いた時には、既にヴォイドの傍にグレムが立っていた。ヴォイドはすぐに体を起こそうとするが、体の動きがあまりに遅く、ゆっくりとしか起き上がれない。


「安心しろ。余程の人間でない限り、敵であろうが動けない状態の奴を甚振る趣味はない。」


グレムはそう言ったが、ヴォイドは不服そうに返事をする。


「舐め、るな…。」


そう言ったものの、彼の体はまだ動きが鈍く、すぐには起き上がれそうになかった。グレムは一度ため息を吐くと、彼にこう言った。


「どうせ動けるようになったらまた殺し合いだ。だからそれまでに、幾つか話をしよう。…ああ、言いたくない事は答えなくていい。」


ヴォイドはそう言ったグレムの事を睨み付ける。グレムはそれを見て少し笑った。


「お前は確か…"副団長"とか呼ばれてたな。先代は随分前に…いや、この話はいい。それより、お前はどうして影の騎士団なんかにいるんだ。その実力なら、何処へだって行けるだろう?」


グレムの問いを聞くと、ヴォイドは数秒黙っていたが、少しずつ話し始めた。


「…俺、には、親、がいない…。」


グレムは黙ったまま、彼が話すのを聞いていた。


「意識、がはっきり、して、きた、時、には…もう傍に、誰も、いな、かった。だから、魔物、と一緒、に、生きて、きた。でも、それも…長くは、続かな、かった…。」


ヴォイドは歯ぎしりをし、拳を握り締めた。


「ボウケンシャ、だとか、名乗る奴ら、に、仲が、良かった、魔物を…カゾクを、全員、全員…!殺された!…その時、俺には、力が、無かった。だから、何も、守れ、なかった…。」


地面に涙が落ち始める。感情的になった彼の姿を見て、グレムは少し驚いていた。


「危うく、俺も、殺されかけた。だが、よく分からない、奴が、助けてくれた。」


グレムはそれを聞いて、質問をしようとしたが、ヴォイドは気付いていたのか間髪入れずに言葉を続けた。


「だが、そいつは、何者なのか、分から、ない。そもそも、人間、なのかすら、怪しい。今でも、何者なのか、分からない。」


ヴォイドはそこまで話すと一呼吸置いた。段々と、体の動きも戻ってきているようだ。だが、彼はまだ話を続ける。


「…その後、だ。イエも、カゾクも…なにも、無くなった俺を、兄さんが、拾って、くれた。他の、奴らが、何と言おうと、俺に、良くして、くれた。力を、付けさせて、くれた。」


ヴォイドは話すのが早くなり、痛みを堪えていたような声も、元に戻りつつあった。


「兄さんは、オンジン、だ。兄さんの、ためなら、何だって、やり遂げる。…本当、は、あまり、俺は、人を殺す、のが、得意じゃ、ない。でも……!」


最後の言葉を言いかけた瞬間、ヴォイドは素早く立ち上がり、剣を握った。まだ全身に痛みはある。だが彼は自身の感情に突き動かされ、その瞬間、痛みを忘れていた。


「兄さんの、ため、なら…!必ず、やり遂げる!」


グレムは目の前で剣を振りにくるヴォイドを見て、驚いたように目を見開いた…が、その後すぐに残念そうにこう言った。


「そうか。」


金属音が響き渡る。ヴォイドの切っ先はグレムではなく、地面に当たっていた。グレムはあの一瞬で、その剣を見切っていた。


ヴォイドは悔しそうな表情をしながらも、すぐさま腕で虚空を掻き、別空間へと続く"穴"を作り出した。そして、すぐさまその中へと逃げ込み、距離を取ろうとする。


だが、グレムの判断の方が幾らか早かった。その別空間に入り込む前に、彼はヴォイドの顔面を掴み、そのまま跳躍して観客席から中心の舞台へと向かっていく。


「お前にはまだまだ聞きたいことがある。だから命までは取らない。だが───────」


グレムはそう話しながら、恐ろしい速度で舞台の中心にヴォイドの頭部を叩きつけた。


「───────弟子たちを傷付けた代償は支払ってもらう。」


「かっはっ…!」


鈍い音と共に、舞台上の地面に亀裂が走る。グレムは叩きつけた彼の頭から手を離すと、数歩後ろに下がり、ヴォイドが立ち上がるのを待ちながらこう言った。


「さあ、再戦だ。代償を払い終わるまで、倒れるなよ。」


ヴォイドは彼の言葉を聞いた後、ゆっくりと起き上がり、グレムの顔を見ると、今度は笑みを浮かべた。






「ぐっうっ!」


ガウリアは蒼炎に押され、大きく後ろに仰け反った。隣にいるエルヒムは肘から手首にかけて右腕を焼かれ、痛みを堪えながらも剣を構える。


2人とも攻撃を食らわないようにはしているものの、剣戟と同時に巻き起こる蒼炎の勢いまでは消せず、至るところに火傷を負っていた。


「チッ…あまり弱音を吐きたくは無いが、勝てる気はしないな。」


ガウリアは眉間に皺を寄せてそう言った。エルヒムは頷きながらこう答える。


「ああ、2人がかりでこの状況はかなりまずい。私が合わせるのが遅いとかはあるかい?」


彼の言葉にガウリアは首を大きく横に振ってから答えた。


「いいや、寧ろ完璧なくらい連携は取れてる。相手の対多数への対応力がおかしいだけだ。剣聖2人を相手取って、あそこまで動けるのは…些か化け物染みてる。」


彼らの正面から、仮面の男が自身の放った蒼炎をその剣で斬り払いながら、ゆっくりと近付いてくる。


「それより…彼女は、ディアンヌ卿は大丈夫か。あれからかなり時間が経ったとは思うが…。」


ガウリアはそう言って背後に振り返る。同時にエルヒムも心配になったのか、後ろへと目を向けた。


すると次の瞬間、その視線の先で煌びやかな炎が舞い上がった。突然として巻き起こった炎に、2人は驚きながらも、声を上げる。


「これは、一体…何が…。」


エルヒムがそう言った後、ガウリアが空中を舞ってきた火の粉を掌に乗せ、見つめた後にこう言った。


「この炎は…まさか、あやつらが言ってた…。」


その炎は煌びやかに、()()()を放っている。濁りのない、純白の光を。そして、その白い炎と光の中から、見覚えのある姿が現れた。その光景を見て、仮面の男は声を上げる。


「ほう…。」


その影は、遥か遠くの炎の中に見えたかと思うと、次の瞬間には既に2人の目前にまで迫っていた。そして、()()はこう言った。


「お二人とも、申し訳ない。待たせてしまった。」


彼女の声を聞くと、ガウリアとエルヒムは一度顔を合わせた後、嬉しそうに笑った。そして、ガウリアは彼女にこう言った。


「いいや、そんなに待ってないさ。それより、妹さんと、あやつ(グレム)が言っていた通りだな。」


彼女は少し首を傾げる。その様子を見て、ガウリアは言葉を続けた。


「お前さんは()()()()()のが一番だ、ディアンヌ卿。」


その彼の言葉に、彼女はもう一度笑った。そして、2人より前に出ると自身の剣を抜く。


その剣には、白い光だけではなく、煌々と燃える純白の炎が宿っていた。そして彼女は仮面の男の前に立ち、剣を向ける。


「…立ち直ってくれたか、大切なものを奪われる経験から。それでこそ…」


仮面の男がそう話し始めた言葉の途中で、ディアンヌはこう言った。


()()()()()…か…ふふ。」


仮面の男は、その言葉に反応してディアンヌの顔を見つめる。彼女は笑みを隠すように口元に手を当てながら、更にこう言った。


「…そんな事は無いさ。私は、そんなに強くない。」


彼女はそう言って、どこか寂しそうな表情を浮かべる。仮面の男は、そんな彼女の様子に疑問を抱いていた。





悲しい。寂しい。苦しい。痛い。辛い。


心が張り裂けそうだ。いや、もう張り裂けているのかもしれない。自分でも、もう耐えられているようには感じない。ただただ、襲い来る感情の波が苦しい。


『ううっ…あっ…っはぁっ…!』


呼吸が上手く出来ない。心臓の鼓動が鳴り止まない。脈音が全身に響く。


頭の中で大切な妹が、マリが、笑顔で私を呼んでいる。私が何よりも好きだったもの。そして、何よりも守りたかったもの。なのに…それなのに…


『私は…結局っ…結局!何も守れていないじゃないかっ…!』


マリと2人でこの国に来て、陛下に拾われて、私たちのために、ジル家のために、今日まで頑張ってきた。


あの日から数年経つ頃には、大陸中から、ジル家の血を継ぎながらも親を無くした子たちが、私の元へと集まってきた。


私が感情を出せなくなっていたにも関わらず、皆が私を頼ってくれていた。話をしに来てくれた。教えを乞いに来てくれた。


皆が皆、笑っていた。こんな私の周りで、笑顔になってくれていた。そんな皆を、守りたかった。実際、守れていた。だが、今はどうだ。


私が守りたいものを守ってくれていたのは、私ではない。赤の他人だ。私だけでは、絶対に守り切れなかった。


守るために強くあろうと、強くなろうとしていたのに、結果がこれだ。結局、目の前にあった何よりも大切なもの1つすら、守れやしない。


『弱いな…私は…。』


この騒動で、一人ではどうにもならない場面に何度も遭遇した。その度に、自身の弱さを何度も悔いた。


───────もう、諦めてしまおうか。何もかも。


その考えが、頭の中を過ぎる。そして何もかもが、どうでもよくなっていく。


何故戦っていたのだろうか。何故強くなろうとしたのだろうか。…何故、守りたいと思っていたのだろうか。


『これが…絶望か…。』


そう呟いて、自覚する。私は、何も、何も成すことが出来なかったのだと。


このまま消えてしまいたいと、そう思った。……でも…その時だ、


『"ディアンヌ君、今自分の周りにあるものを忘れないようにね。"』


その言葉が、頭の中で鳴り響いた。私は気付かされる。


『そうだ…そうだった。』


私は何を考えていたんだ。そう思いながら、地面に付いていた膝を上げる。


『"でも、もう今の貴女にはそれをも一緒に背負ってくれる仲間がいるんじゃないですか?"』


彼が言ってくれた言葉が、彼が気付かせてくれた事が、私の背中を押す。


『そうだ。私はもう(まだ)、一人じゃない。』


マリは涙でぐしゃぐしゃになった顔で、私に言ってくれた。


『"けど、心配はかけていいんだよ?悩みがあるなら、一緒に悩んだっていい。それでお姉ちゃんが笑顔を取り戻すのなら、全然いいの…それが()()ってものでしょ?"』


胸に手を当て、その鼓動を、その熱を、確かめて。


『そうだ、私には───────』





『父上、どうして父上はこんなに強いのですか?』


ディアンヌは稽古で足に負った擦り傷を治療してもらいながら、目の前にいる父親に問う。


『はは、そりゃあ大人だからな。歳の分だけディアンヌと鍛錬の差が生まれるのは当然だろう。』


父親は笑いながら娘の擦り傷を消毒し、包帯を巻いていく。すると、ディアンヌは言った。


『そうではなく、何か違うのです!違うものを感じるのです!』


彼女の言葉に反応し、父親は手を止めて彼女と目を合わせる。


『違うもの…?』


父親の言葉に間髪入れず、ディアンヌはこう話した。


『そうです!何か父上と稽古してる時、父上の剣から何かは分かりませんが、熱いものが伝わる感じがするのです!なんと言えばいいか…炎?のような…。』


彼女の言葉に父親は心底驚いた表情をする。そしてその後、笑顔を浮かべると、こう話した。


『ディアンヌ、剣聖の家系には()()()()があるって話はしたよな。』


ディアンヌはそれを聞くと静かに頷いた。父親はそれを確認すると、すぐに言葉を続けた。


『多くの者はそれを"剣聖の加護"と呼んでいる。それはお前もマリも知っているだろう。だが実は、それ以外にもあるんだ。剣聖の家系に生まれた者が引き出せる、秘められた力が。』


父親の話に、ディアンヌは思わず声を出す。


『秘められた力…?』


彼女の声に頷き、父親は話を続ける。


『他の家系の事はそこまで知らないから話せないが、このジル家の血には正にディアンヌが言った通り、()の力が込められているんだ。恐らくディアンヌは、それを俺の剣から感じ取ったのだろう。』


『父上の中の…炎を…。』


ディアンヌはそう言って、自身の両手を見つめる。父親は彼女の足に包帯を巻き終え、立ち上がると、自分の娘に声を掛けた。


『ディアンヌ。』


名前を呼ばれて、彼女はすぐに返事をする。


『何ですか?父上。』


父親は何処までも広がる青空を見上げ、彼女にこう言った。


『お前はきっと、誰よりも強い剣士になれる。母さんよりも、私よりも、ずっとずっと強い剣士に。』


彼が見上げている何処までも澄んだ青空を、ディアンヌも目を輝かせて見上げた。太陽の光の眩しさに、空はキラキラと輝いているように見える。


『あの、父上。』


『ん?どうした?』


ディアンヌは空を見上げながら、父親に聞いた。


『父上の炎は、何のために燃えているのですか?』


父親はその無垢な質問に少し笑ってから、こう返答した。


『決まっている。大切なものを、守るためだ。』





『───────家族(仲間)がいる。』


ここに来るまでに出会った全ての人々の顔を思い出し、顔を上げて立ち上がった。


その瞬間、彼女の足元から何処までも、何処までも白い炎が巻き起こった。


温かいと、自分で感じる。だが、手を当てた胸の奥には、まだ冷たい想いを感じる。でも、これでいい。


私の中で燃え上がる炎で消せないなら、残しておけ。それはきっと、大切な気持ちだ。大事にしたいものだ。決して忘れたくないものだ。


"失った"という事実は変わらない。だからこそ、立ち直るために忘れたくはない。消したくはない。だからいつまでも、いつまでも、私の中で燻っていてくれ。


…それがきっと、私の背中を押してくれる。





「さてお二人とも、少し下がっていてくれ。」


ディアンヌはガウリアとエルヒムにそう言った。その言葉に、ガウリアは異を唱えようとする。


「しかしお前さ…」


ガウリアが声を上げようとしたところで、エルヒムは彼の肩に手を置いて止めた。すると、ディアンヌはこう続けた。


「巻き込みたくないんだ。」


そう言った彼女は、覚悟を決めたような真っ直ぐな瞳をしていた。ガウリアはその表情を見て、ある事を悟った。


「…手を借りたくない訳ではないんだな。」


ガウリアのその言葉を聞くと、彼女は「ふっ」と笑ってから頷いた。そんな彼女の様子に、ガウリアも笑みを浮かべた。


ガウリアとエルヒムがその場から距離を取ると、ディアンヌの足元から純白の炎が光を放ちながら現れた。


「さあ、始めよう。今日ここで、あの日から始まったこの物語を、終わらせる。」


仮面の男は一度溜め息を吐くと、対抗するように足元から何処までも深い蒼色の炎を燃え上がらせる。


「…お前に何があったかは知らないが、手加減はしない。」


男はそう言うと、持っている剣を数回回してから再び剣を構え直した。





ディアンヌと仮面の男が睨み合っている中、遥か上空に人を抱えた何とも見覚えのある影が浮かんでいた。


「ハハハ!面白くなってきたね!君のお姉さんは本当に流石と言ったところだよ!」


高らかに笑う彼女に対して、脇に抱えられた者はこう言った。


「あの、僭越ながら…お、下ろして頂けませんか…?あんまり高いところは好きじゃなくて…うっ。」


少し嘔吐くその者の様子を見て、また彼女は高らかに笑う。


「ハハハハハ!ごめんね!それは出来ないかな。今出ていくのは些かタイミングが悪い!この戦いが終わるまで耐えてくれ!なに、そんなにはかからないと思うからね!」


彼女の言葉を聞いて、その者は抱えられながらも悲鳴を上げた。その叫びは、誰が聞いても心底嫌というのが伝わるような声だった。

"如何でしたか?"とか言えません。正直1つの章の終わりまでこないと面白いかどうかあまり分かりませんからね。

さて、書いてて思った事が幾つかあるのでそこらを少しお話します。


まず一つ目に、中々2万文字以上にはいかないなと。

連載なので、一話ずつなるべく定期的に更新しないと読者様が離れてしまうのも考慮の上、出来る限り書き込んではいますが、毎回1万ちょいでギブになっております。まだ語彙力や刺し込む言葉が足りないのかな〜と、もう少し勉強が必要そうです。


二つ目です。自分で書いておいてなんですが、ミルエルクなんなんだ。

彼女に関しては戦闘描写がほぼ出来ないので、書くのが楽な分、皆様からすると面白くないのかなとか思ったり…。まあ温かい目で見守って頂ければと思います…。


最後に3つ目、今回ルリの活躍が多すぎる。

今回の物語上、前衛職の活躍が多くなるのはしょうがないです。でもこの先で他の2人の活躍も見れると思いますので、今回はお許し下さい。寧ろその2人はこれからかもですね。


という訳で長々と申し訳ありません。

次回は恐らく少しばかり遅くなるかと思われますが、出来る限り早く投稿出来ればとは思っております。

それでは、また次回お会いしましょう。

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