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黙々・恋姫†無双  作者: TAPEt
黙々
37/54

十一黙

「今回来てくれた、司馬仲達だわ」

「司馬懿ともうします。真名は紗江。これからよろしくお願い致します」


華琳さまの側に立ってペコッて魏の将たちが集まってる前で挨拶をします。


「知らない人も多いだろうから言っておくけれど、この子は一応司馬懿ではあるけれど本人とは少し違うわ」

「?どういうことですか?」


あの、春蘭さんは先に言われてますよね。まあ、理解しているとは思っていませんでした。


「この場でまた説明すると長くなりますので……簡単に言うと、僕は元々一刀ちゃんの守り神みたいな存在なのですが、突然身体が必要になりましたので、司馬懿さんの許可


を得て彼女の身体と記憶を受け継いでいるのです」

「えっと、じゃあ、司馬懿さんは…一刀君のことは前から知っているのですか?」


典韋さんが聞いてくれましたので、僕はできるだけ笑顔で答えました。


「はい、それはもう一刀ちゃんがここに来る前からずっと……」

「まあ、一刀の昔のことなんて知ってる人は何人もいるわ。それは大したことじゃないでしょう」

「…(ぴきっ)


…華琳さまがまた喧嘩を売ってますね。


「その睡眠学習っぽいに夢の中での知識というのも僕は流し込んでいました。もちろん、選別はしていますので、お見せにできない一刀ちゃんのあんなことやこんなことも全


部知っていますわよ」

「過去のことよりはこれからここで一刀との出来事が大事だといっているのよ。あなたもそのつもりでここにいるのではなくて」

「ええ、それはもちろんそうですね。華琳さまはお忙しいことが多いと思いますので、そこんところどうなるかはよく分かりませんけれども……」

「あら、ちゃんと相手してあげてるわよ。一緒に寝ることも多いし」

「最近一ヶ月一刀ちゃんが寝た部屋を調査してみたところ、荀彧さんが十三回、秋蘭さんが十回、一人で寝た日が五日、許緒さんと昼寝したことが一回、華琳さまと一緒に寝


たのは、月の最初の二日だけでしたね」

「……(にらっ)」

「……(にこっ)」


あはは、そう簡単に負けるつもりはありませんわよ。


「けふん、華琳さま、紗江のことはどうなさるつもりですか?」

「……そうね…前桂花がやっていた兵糧や補給事でも任せようかしら」

「…いいですよ?」



「「「え?」」」



「…それでいいの?」

「別に華琳さまがそう仰るのでしたら僕はそれで……重役任されて一刀ちゃんの見守りができないのも困りますし」

「っ…」

「何よりもまさか華琳さまでもあるお方が、私的な感情で人の役割を任せたとは思いませんからね」

「っ!」



…勝った(※実際負けてる)




<pf>




というわけで、いきなりですが、現在一刀ちゃんは補給部隊を率いている警備隊の三人さんと一緒にいます。

何の補給部隊なのかというのはもちろん、反董卓連合に向っている軍のものですよ。

補給物資集めるの僕や担当しました。結構大変な仕事でした。地味に手がかかります。難しくはないのに手はかかります。


「わはー♡一刀ちゃんがまたおべんとう持ってきてくれたの」

「ちょっ、沙和、自分だけおいしいもん取るなって」

「……」『たくさんあるから喧嘩しないで』


沙和君と真桜君は一刀ちゃんが持ってきた「弁当」を食べようと争っています。

あれ、僕が作ったんですけどね…まあいっか。


「申し訳ありません、隊長」

「?」


そう言ってくれたのは凪君です。

あ、僕警備隊長も任されちゃいました。というか僕がやりたいっていいました。補給物資担当兼警備隊長です。


「どうして謝るのですか?一刀ちゃんと遊んでくれるのは、寧ろ僕としてはありがたいものですよ」

「ですが、軍事の途中たというのに…」

「凪君もそういわずに一緒に付き合ったらどうですか?」

「いいえ、そういうわけには…」

「一刀ちゃんはなんだかんだ言って凪君のことを三人の中で一番気に入ってるのですからね」

「……え?」

「ほら、今こっち見てますよ」


実際に、沙和君と真桜君の相手をしていながらも、時々こっちをちらちらと見ています。


「行ってあげてください。あ、でももうちょっと待たせるのも乙なものが見れそうですけどね」

「はい?」

「あ、そういえば凪君。後で少し暇が出来たら僕の対錬相手になってまらえないでしょうか」

「え?」


凪が驚くことも無理はないですね。

今の僕の身体は手足も細いし、とても戦いに向いているとは思えられない、寧ろ歩くだけでも精一杯な虚弱キャラに見えるでしょうから。


「こう見えても体術には結構心得があります故、良ければ相手になってもらえるでしょうか。凪君ぐらいしか頼める人がないのです」

「いえ、しかし……うん?」


ぐいぐい


「……」

「なっ!」

「まぁ」


いつの間にか一刀ちゃんがこっちに来たかと思ったら手には楊枝に刺したタコウインナーを凪に出していました。


「い、いや、あの……」

「あら、凪君は食べたくないみたいですね。じゃあ、僕が戴きましょうか?」

「<<ぽいっ>>」

「ガーン!」


食べようと思ったら避けられました!


「……」

「…ぅぅ…あー」


パクッ


「あー、凪ちゃんだけずるいのー!」

「…」『おいしい?』

「……<<モグモグ>>(こくっ)//////」

「……(にこっ)」


僕なんて…僕なんて……


「一刀ちゃん、ウチもやってーな」

「沙和もあーんってさせられたいの」


<pf>


「……」【そんなに怒らなくても】

「怒ってません…」


と言いつつも完全に体育座りに座って「拗ねてます」って顔に書かれていますけれど…


【自分が作ったものなのにそこまでしなくてもいいじゃない】

「…言ってならないことを…」

「?」

「…もういいです」

「……」


暫くそうそっぽ向いて返事もしないまま黙っていたら、


「……<<うるうる>>」

「ぅぅ…」


っ…卑怯です。


「もう…泣きたいのはこっちですからね」

「ぁ」


一刀ちゃんを抱き上げて膝に座らせて見ます。


「<<ぎゅー>>」


逃げれないように上半身を抱いたまま、


「せっかくあなたを触れるような身体を得たのですから、僕の他の皆さんみたいにあなたに構ってもらいたいのですよ」

「……」

「といっても、そうですね…魏の皆さんとの関係構築に優先すべき、というか、そういう観点からするとできるだけ僕のことは出来るだけ無視する方がいいと思いますが…」


なんというか、やっぱり手段を得ると欲張っちゃいますね。


「…」【さっちゃん】

「さあ、そろそろ休憩も終わります。また移動しますので、一刀ちゃんは凪君たちののところに行って下さい」

「…………………………(こくっ)」


釈然としないながらも、一刀ちゃんは頷いて凪君たちのところへ向うのでした。


――あらぁ、嫌われちゃったようですね?


「……そんなわけないでしょ?いつ沸いて来たのよ」


――野暮なことを聞きますこと。わたくしめはいつでもあなたのお側にいますわ。


「やめてくれない?最近寝不足なのあなたのせいでしょう?『管路』」


――新しく得た身体にまだ慣れていないようですわね。いつものあなたなら、わたくしめに気付くのがこんなに遅いはずがありませんのに…


「用件は何?」


――…相変わらず冷たい人…でもそれがいいですわ。それこそあなたの真の姿なのだから。


「……」


――うふっ、怖い顔。……言ってあげようと思いましてね。干吉が死にました。


「……あなたが殺したの?」


――ええ、もう用済みですので。


「そう、裁判の時に彼を逃がそうとしたあなたとは思えないわね」


――すべてはあなたとのお戯れを楽しむための道具。彼もその大いなる策の駒に過ぎませんわ。そしてあの子も……


「一刀ちゃんはあなたなんかに揺さぶられるような子じゃない。余計な真似はしないで欲しいわ」


――本当にそうでしょうか。楽しみですわ。あの子は本当にあなたがしている評価ほどの子なのか…


「一刀ちゃんには指一本も触れさせないわ」


――ふふっ、そんな低俗な真似はいたしませんわ。わたくしは管路、過去を覗き、未来へ導くのが仕事ですから。


スッ


……


管理者の規則第一、各々の役割を妨げないこと。


分かっています。あなたが何をするつもりなのかは。

そして、一刀ちゃんがどう反応するかも…ね。


「ふぅ……日差しが強いですね」


やっぱり長く日を浴びているのはキツいです。この体…


<pf>



「一刀ちゃん、隊長は?」

「……(ふるふる)」

「まあ、心配ないやろ。そんな小さいことに一々凹んどったら大人じゃあらへんで」

「……」『そうなの?』

「せや。ああいう時どんだけ傷ついても、表では馴れ馴れしく対応するのが大人の対応ってやつやで」

「!」『じゃあ、内じゃもっと傷ついてるの!?』


あれがあの時の子供の北郷一刀……ですか

左慈のことを心配してあげている辺りは、性格が分かるというもの。

子供といってもその素に変わりはありませんこと。


「?」


あら、こっちを向きましたわね。

左慈よりは勘が優れているみたいですけれど、姿は見えないでしょう。


「一刀、どうしたのだ?」

「……(ふるふる)」『なんでもない』


楽進に言われて、そのままそっちを向きました。


「ねえ、一刀ちゃん、紗江さんってどんな人なの?」

『どんな人って?』

「ほら、年とか、好きな食べ物とか、服は、どんなのが好きなのかとか」

「そんなものは知ってどうするつもりだ?」


わくわくしながら左慈(……いえ、わたくしめもこれから愛をこめて、さっちゃんって言って見ましょうか)の個人情報を一刀から引き出そうとしている于禁。

その反対に、そんなのに興味がないのか、それとも聞いたら失礼だと思っているのかよく分からない楽進が于禁に呆れた顔をしながら言いました。


「だって、これから一緒に働くのでしょう?紗江さんかわいいから、きっとどんな綺麗な服着ても似合うと思うの」

『さっちゃんの好み……?』

「うん、って、何でさっちゃんなん?」

「?」『さっちゃんはさっちゃんだよ?』

「え?」

『え?』


・・・


『昔からさっちゃんと呼んだから』

「そっかー。じゃあ、沙和もこれからさっちゃんって呼ぶのー」


この人はいつものことながら突発的ですね。自分が馴れ馴れしくできそうな人だったら果てしなく同類に置くのが魅力です。


「こら、隊長のことをそんなに馴れ馴れしく呼んだらダメだろ」

「ええやんか。まだ来て日も浅いってのに、部下になったウチらまで気まずくしとるよりはええやろ」

「そうなの。それに、紗江さんっていうより、さっちゃんと言うのが可愛らしいの」

「そういう問題じゃないと思うのだが」


このまとまりのない人たちは少し置いておくとしましょう。


「……」


にしてもこの子、真剣な顔で何を悩んでいるのでしょうか。

ちょっと覗いてみましょうかね。


「……」【そういえばボクって、さっちゃんのことってあまり知らなくない?というか何も知らない】


人間が管理者の身上情報なんか知ってどうしますの。そういうの本人も知りませんし。

後、管理者が己のことを人に教えることは規則で禁じられています。

ましてやそれが北郷一刀…とんでもないことになりますね。彼を見守るというのはそういう危険性も抱いているのです。

彼女には分からないかも知れませんがね。


「今回の戦争が終わったら、皆で歓迎のお祝いしてあげるの」


といってるうちに、あっちはあっちで話進んでますね。


「ええんちゃう?その時色々聞いてみたらええし」

「うーむ……まあ、そういうことなら、悪くないかもしれないな」

「一刀ちゃんも賛成だよね」

「……(こくっ)」

「よーし全員意見一致でお祝い会決定ー!」


まだ戦争は始まってもいませんのに、気が早いのですね。

ほんと、「気が早い」ですわ

うふふ……



<pf>



……


夜、今日も寝られそうにないですね。

一刀ちゃんの部屋にでも行ってみようかなぁと思って服を着て外に出てみました。


「うん?あら、一刀ちゃん」


そしたら、外で夜の風を浴びている一刀ちゃんが居ました。

夜寒いのに関心しませんね。


「どうしたのですか?こんな夜遅くまで起きていて。子供は早く寝たほうがいいですよ」

「……」【さっちゃん】


心の中から伝わる一刀ちゃんの声は、どこか寂しげな何かが感じられました。


「…どうしたのですか?」

「……」【昼にね、沙和お姉ちゃんたちと一緒に話していたらね。沙和お姉ちゃんがさっちゃんのこと聞いたんだ】

「はい」


まあ、本人に聞くのは色々失礼なこと聞こうとしたのでしょうね。お年とか体重とか。


【そしたら、ボクさっちゃんのことって何も知らないなって思ったの】

「僕のことですか?そんなの知っても何も面白くないですよ」

【面白いとかそういう問題じゃなくて、今まで沢山助けてもらったのに…さっちゃんはボクのこと知ってるのに、ボクはさっちゃんのことあまり知らないみたい】

「……」


管理者は己の存在を固定できるような情報を外史の存在に与えない、というのは慣習というか、約束です。


理由は簡単、管理者本人が一つの外史にとらわれていることを防ぐためです。

一つの外史に永遠と居られる存在ではないのですから、管理者は。


…まあ、僕の場合は結構例外的な状況もありますし、何より今の管理者たちの間の慣習なんて守って何の得もありません。

とはいっても…そうですね。僕もまだ僕のことあまり知りませんしね。


白い髪に黒い瞳、細い身体に口調は少し優しげ。

好きな食べ物まだなし。

好きな服のスタイルまだなし。


大体、僕は前回の左慈から転生して初めて会った北郷一刀が一刀ちゃんなわけですしー?

僕自身のことなんてあまり考えたことなんてありませんね。


「んじゃあ、後また誰かそんなこと聞いたらこう答えてくださいな」

「?」




「さっちゃんは脳内に一刀ちゃんのことしか入ってないって」




「!?」

「あ、そう、そう。一刀ちゃん、良かったら今日僕といっしょに寝てもらえないですか?やっぱり一刀ちゃんと一緒にじゃないと眠りが」

【ぼ、ボク今日は華琳お姉ちゃんと一緒に寝る。じゃ、じゃあ】

「あ、一刀ちゃん?」


てってってってって


……行っちゃいましたね。

どうやら今日も一人で枕を濡らしそうです。


「隊長、どうしたのですか?こんな夜遅くに」

「うん?」


一刀ちゃんが居なくなったところに凪君は来ました。

見張り番を変わって戻ってきたみたいです。


「ちょっと……凪君はこれからお休みに?」

「はい、眠られないのですか?」

「ええ………」


……


「ど、どうしたのですか?そんなにじっと見て」

「……この際凪君でもいい気がしてきました」

「はい?」

「凪君、ちょっと付き合ってください?」

「え?ああ、ちょっと、隊長?!」




「ふふっ、やっぱええな。さいっこうや。全力で戦える相手がいるっちゅうことは。血が滾るわ」

「うむ!貴様ほどの使い手を制したとあらば、きっと華琳さまも喜んで下さるだろ」

「そうはいうがな、お前、これからどんぐらい戦えそうなん?」

「ふん!貴様の倍は合数を重ねてみせるわ!そんなこと気にせず、かかってこい!」

「ふっ……ええ、ええなん、あんた、良い。良すぎるわ。なら遠慮せずにいくでー!」

「応ッ!」




「姉者!」


サシュッ!


「ぐ……っ!」

「夏侯惇!」

「姉者!」

「ぐぅっ……ぐああああああああああああ!!!!!!!!!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「!!<<ハァ……ハァ……>>」


「…ぅ…ん?一刀?どうしたの?」

「……(ふるふる)<<ぎゅう>>」

「ん……悪夢でも見たの?」

「……」

「大丈夫よ、私が一緒にいるから」

「……(こくっ)」


・・・


・・



そして一週間後、


曹操軍は無事に反董卓連合が集まりつつある陣に到着したのでした。


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