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後編
「だって、許せないじゃないですか」
取調室で看護士は語る。
「折角産まれてくる筈の生命を簡単に捨てるなんて。向こうこそ人殺しですよ。
赤ちゃんがいらないなら、子宮なんていらないですよね?」
そう言って、看護士は笑った。
駿介は白田に事件が解決したことを報告しに行った。
「そう。良かったね。駿介」
いつものように笑っている白田。
しかし、駿介は気付いていた。
「白田。お前寝てないだろ?」
「……ああ、そう言えば」
白田は放っておくと、何日も食事を取らなかったり眠らなかったりする。
それに気付けるようになったのは、ごく最近のことだ。
「そう言えば。じゃない。寝ろ」
「……じゃあ、駿介も一緒に寝よう?」
「は?」
あれよあれよという間にベッドに移動させられる。
男二人が入るには少し狭い。
「おい、白田……」
「捜査協力のご褒美。いいでしょう?」
「…………」
そう言われてしまえば駿介は何も言えない。
白田は駿介の唇に自分のを軽く触れさせて、『おやすみ』と駿介を抱き締めて眠った。
分からない。
本当にこの男は、分からない。
困惑しながらも、諦めたように駿介は目をつぶったのだった。
終