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前編
路地裏で女性の遺体が発見された。
「うっ……」
大神が口元を押さえ、胃の中のものをぶちまける。
今までいくつもの死体を見てきた刑事でさえ、思わず目を背けたくなるような光景だ。
死体は下腹部を執拗に切り刻まれ、内蔵が飛び出していた。内蔵の一部は地面へとばら撒かれている。
調査の結果、遺体は近くに住むホステス相川亜希24歳であることが判明した。
重要参考人として相川の恋人が呼ばれたが、彼にはアリバイがあったーー。
「まるで、ジャックザリッパーだね」
白い部屋。
資料を見ながらクスリと白田は笑ってそんなことを言った。
ジャックザリッパーとは、1888年にイギリスのロンドンで起こった連続殺人犯のことである。
その犯行は死体をバラバラにしたり、子宮を持ち去ったりと様々であるがーー。
「……確かに、死体は子宮をグチャグチャにされてはいたが」
「ピンポイントでそこだけ狙ったんだ。犯人は医学の知識があるんだろうね」