ああ永遠の婚約破棄
それからのことには、それほど大した事件といえるようなことはなかった。
そもそも最初から大したことではなかったという説もある。
国王夫妻は強制的に隠居させられて離宮に引っ越し、第一王子が新国王として即位した。彼はそこまで悪い王ではなかったはずだが、どうしてこうなってしまったのか。
新国王は新国王で、即位してすぐ開口一発、「侯爵令嬢マルシェナには第二夫人として予に尽くす栄誉を与える。」などとふざけたことをぬかして、速攻でシバかれ諸侯の前で土下座姿を晒すことになったのを見ると、前国王夫妻の沙汰は仕方がないことだったのかもしれない。
新国王即位後すぐに結婚式となる予定だったのだが、この事態を受けて新国王の婚約者だった令嬢は激怒して実家に帰ってしまい、新たなる婚約破棄騒動が勃発してしまった。正直、もうどうとでも好きにしてほしい。
第二王子は王族としての籍を剥奪され、北の国境の砦へ一兵卒として連行されていった。この先の頑張り次第では騎士になれる可能性が少しはあるかもしれない。ぶっちゃけ無いに等しいが。
彼はいまだに侯爵令嬢が自分の婚約者だと思いこんでいる様子で、気づいたように時々、
「我にこのような仕打ちを行うとはマルシェナめ、婚約を破棄してくれるわ!」
などと喚いているらしいが、誰もそれを気に掛ける者はいない。当然ながら婚約などとっくの昔に無効である。
キシージは学園をやめて、侯爵軍に士官候補生として入隊した。この国の王家の人間の命令など今後一切聞く気はないとして、最初は国を出て傭兵にでもなるつもりだったらしいが、侯爵令嬢から「お試しでやってみない?」と誘われてその気になったようだ。侯爵軍が気に入らなければ出て行って問題なし、という契約になっているそうだが、本当のところはわからない。
イモダーは相変わらず魔導芋を植えて掘ってを繰り返している。例の鎧が水中で燃えたことから、水をかけても燃え続ける燃焼材として軍に売り込んでいるのだとか。他には、大爆発する芋を食べればオナラで空を飛べる~など、彼の研究は相変わらず幅が広い。
いま力をいれているのは筋力が大幅に向上する魔導芋。機能は単純だが効果は非常に高い。遠い南の国にいるという伝説の怪物の名前をとって『剛膂羅芋』と名付け、侯爵家の援助を受けて研究を続けているようだ。
サイショーサは復学して、また元気に学園に通っているそうだ。彼のことは誰も気にしてはいないし、事件に関与していたとも思われていない。しっかり逃げ切れたようで微笑ましい限り。忘れ去られただけともいう。
マルシェナは学園を去った。新国王のふざけた求婚で、現王家に完全に見切りをつけたらしい。まったく現王家は阿呆の巣窟としか言えない、根切りにすべし。今の王国から離反して新しい国を興すべく、同じく見切りをつけただろう貴族各家への働きかけを精力的に行っている。
これは近い将来、大きな動きになるに違いない。
かなり迷走気味で、あまりうまく書けませんでしたが、なんとか当初予定の結末に辿り着けました。
10点満点だと、1-√2iぐらいでしょうか。
# もうちょっとちゃんとやれればいいなぁ。




