日常2
ああ、眠い。
眠くてたまらない。
起こしてくれるな。
頼むから寝かせてくれ。
夢と現実の狭間、とでもいうべきこの空間で、俺は薄れ始めた眠りにしがみつく。
まだ眠っていたいんだ。
頼む。もう少し、もう少し。
あと僅かで構わない。
だから………。
この世界に生きる全ての種族の中で、この空間を認知できている者はどれくらいいるのか。
眠りの中にありながら、決して夢の中ではなく、はたまた覚醒でもないのだ。
「夢」の飛沫を感じ、その内容までおぼろげに追うことが出来るにも関わらず、はたまた「現実」で何が起きているかもおぼろげに認知できる、この空間を。
矛盾していると笑えばいい。
確かにその通りだ。
だかそれでもそれが「現実」なのだから笑止。
笑うやつは勝手に笑っておけばいい。
そんなことを思いながら、それでもゆるゆると「眠り」にまとわりついていると、ふっと意識が跳ねた。
一瞬期待したが、とたんに失望する。
あぁ、まずい。
この感じは、自分が望む跳ね方じゃないぞ。
あぁ……。
また、このパターンか。
嫌々安らかな眠りに絡めていた手を外し、深い失望と浅い諦めを抱えながら、俺の意識はいつものように
「覚醒」へと浮上していった。