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死界のネクロマンサー  作者: のんびり小僧
第3章「死者を率いる者」
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第37話「黒紋のゼルク」

ゼルクは、レオたちの前に立っていた。


「ゼルク……」


レオが警戒する。


カイも剣を構えた。


「こいつが、魔物を操っていた奴か」


「そうだ」


ゼルクは淡々と答える。


「俺があの魔物たちを動かしていた」


ミナが一歩前へ出る。


「どうして、こんなことをするんですか?」


ゼルクはミナを見る。


「理由を知りたいか?」


「はい」


「ならば、お前たちがもっと強くなってからだ」


カイが苛立つ。


「ふざけるな!」


剣を抜き、ゼルクへ斬りかかる。


ガキンッ!


ゼルクは黒い魔力で剣を受け止めた。


「速いな」


カイが力を込める。


「だったら!」


横からレオが黒い鎖を放つ。


「《死縛》!」


鎖がゼルクへ伸びる。


しかし――


パキンッ。


黒い魔力が弾け、鎖が砕け散った。


「……!」


レオが驚く。


ゼルクはカイを押し返す。


「まだその程度か」


カイが着地する。


「くそっ……!」


ガイアが前へ出る。


『ならば、私が相手をする!』


拳を振り抜く。


ゼルクは身体を横へずらし、攻撃をかわした。


そのままガイアの腕を掴む。


「死者か」


『……!』


ゼルクの黒い魔力がガイアへ流れ込む。


「ガイア!」


レオが叫ぶ。


ガイアがゼルクを振り払い、距離を取った。


『問題ない!』


レオはゼルクを睨む。


「お前……死者を知ってるのか?」


「当然だ」


ゼルクは笑う。


「俺たちは長い間、死者と生者の境界を研究してきた」


「俺たち?」


「そうだ」


ゼルクが胸元の黒い紋章に触れる。


「お前が追っている連中のことだ」


レオの表情が変わる。


「やっぱり……組織なのか」


「そうだ」


ミナが息を呑む。


「私の村を襲ったのも……」


「それについては、俺からは答えられない」


「どうして!」


ミナが声を上げる。


ゼルクは静かに答える。


「俺には俺の役割がある」


そしてレオを見る。


「お前を殺すことも、今は俺の役割じゃない」


「じゃあ、何のために来た?」


「確かめるためだ」


「何を?」


ゼルクの目が細くなる。


「お前が、本当に『死者を率いる者』なのかをな」


レオは拳を握る。


「その言葉……どういう意味なんだ?」


「いずれ分かる」


ゼルクは背を向ける。


「お前が北へ進めば、もっと多くの死者を見ることになる」


「待て!」


レオが呼び止める。


ゼルクは振り返らない。


「そこで、お前自身の答えを見つけろ」


黒い霧がゼルクの身体を包む。


「次に会う時は――」


霧の向こうから声が響く。


「敵として戦うかもしれないな」


ゼルクの姿が消えた。


静寂が戻る。


カイが剣を収める。


「……強かったな」


『ああ。今の我々では、まだ勝てない』


ミナがレオを見る。


「レオ……」


レオは北の道を見つめていた。


「俺は、もっと強くなる」


そして拳を握る。


「死者を率いる者って何なのか――絶対に確かめる」


五人は再び北へ向かって歩き始めた。


――第37話・完――

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