19、なんたらマーチ
だからって第三王子と結婚させられるとは思わなかった。
もちろん相手の成人を待ってのことだけど。
彼、王妃の子だけど、第二王子のさらに五つ下だよ?
いや、見た目も中身もとても素直で可愛い人です。
なんだか申し訳なくて地べたに這いつくばりたいくらい。
次期国王としてはもう少し捻くれててもいいと思うんだけど、それは私にお任せなんだって。
う~ん、私は単に押しが強いだけで根回しとかは得意じゃないんだけど、まあがんばってみましょう。
すでに二児の母になってるユリアは、私の懐妊にタイミングを合わせて乳母役を務めると息巻いてる。
そんな上手くいくかね?
あのお相手なら大丈夫か。
ちなみに第一王子はすんなり臣籍降下して大公に。
第二王子は側近たちも交えてすったもんだしてたけど、結局のところ件の男爵家に婿に行ったよ。
学院の卒業記念パーティーで側近たちが婚約破棄する原因になったり、相手の男爵令嬢ともども周りに迷惑掛けすぎたからね。
なにがしかのパーティーに出る度に何の用かは知らないけどこちらに近付いてこようとして、周りにさりげなくしかし断固として阻止される二人。
過去の栄光が忘れられないのか高位貴族に不躾に声を掛けたり、手紙を送り付けたり。
そのくせろくに領政を見るつもりもないようで、どんどん貧乏になっていってる。
逃げ出す領民たち。まったく頭痛いわぁ。
比べるのもなんだけどデザイヤノート公爵領は発展し続けてる。
親戚筋から迎えた若夫婦が大変優秀だからね。
同じ敷地内に居候してる義理の叔父一家も上手にこき使って、うかうかしてるとこっちまで足元すくわれそうになるくらい。
ふんがっ!
相変わらずやりたい放題してるように見られる私だけど、思い通りにならないことも多いしストレスだって溜まる。
はぁ~でも、旦那様の顔を見るとホッとするんだ。
寝顔とか特に。
「尊い」ってこういうことを言うのかね? 前世の娘よ。
プロポーズの言葉は「形から入った二人だけど、できたら私と恋愛してほしいな」って、ぎゃぁぁぁ~無理無理無理無理、恥ずかしくって!
でも、賢明にも私は否定の言葉は口にしなかった。
とりあえず頷いとけ!
ほっぺたが熱くてしようがないのは自覚してたしなっ。
〈おわり〉
ここまでお付き合いくださりありがとうございました(*^▽^*)
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