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3章ー16:オリワの竜揃え

「あっ!リオル様だ!!」


「あんなに可愛らしかった子竜が立派になられたわぁ~」


「なんでもミーノで領民に沿った改革をしたらしいそうだなっ!」


「じゃあアタシらの生活も良くしてくれるのかね~!」


 粛々とした祭り囃子ばやし鳴る屋台が並んだ城下町を、僕はルータスの後ろを歩く形で行進している。


 頭には昔の武将や平安貴族が、行事の際に被っていた冠帽に似たデザインの帽子を被っている。


 僕がオリワ領に帰ってきてから次の朝、ミーノ領から帰ってきた僕のご帰還パレードが行われていた。


 オリワ領の住民たちは、朝から飲めや食べやのどんちゃん騒ぎ。


 町の人達が賑やかにしてくれるのはいいことだ。


 だけど僕がそのド真ん中を歩かされ、ましてや周りからキラキラした目で見られるのはすごく恥ずかしい・・・。


 こんなん全然僕のガラじゃないし・・・。


 う~ん・・・確か戦国時代にも武将が町を練り歩いてパレードする行事があったっけ。


 あれ、何ていうんだっけか?


 ・・・・・・あっ、そうだ!!『馬揃え』だ!!


 でも確かあれって、武将が自分の権力を誇示するための行事やったよな?


 趣旨は完全に違ってるけど、僕の後ろにはブルゴさん達をはじめ、オリワ領の主要な家臣たちがぞろぞろ付いてきてるから、形的には全く一緒か・・・。


 これじゃ~まんま馬揃え・・・いや、竜だから《《竜揃え》》か。


「どうしたリオル?固くなりおって」


 ルータスが振り向かずに聞いてきた。


「いや~父上・・・。僕、こういうのあんま慣れてなくて・・・」


「今日の主役はお前だぞ?もっとビシっとしなければ。でなければ民にも立つ瀬がないぞ?」


 そう言われてもなぁ・・・。


 でも僕の前を歩くルータスは、常にビシッとしてて、エールを送る領民にキリッとした顔で頷く。


 それに引き換え僕は、パレード中ずっと縮こまって、「リオル様~!!」と大きな声で声援を送られても『ペコリ・・・』と会釈するだけ・・・。


 ちょけてる感じの性格だけど、やはり一国の領主。


 威厳と場慣れはしっかりしてるってことか・・・。


「・・・・・・あっ、あの父上!!」


「なんだ?」


「たっ、民にご拝謁(はいえつ)をお送りしたいのですが、よろしいですか!?」


 隣の芝生にうじうじなんかしたくない。


 僕だって、オリワ領の若様で、ミーノ領で旗本までやったんだ。


 だったら自信を持って、威厳を見せなくちゃ!!


 僕のお願いに、ルータスは嬉しそうに「フッ・・・」と微笑み、後ろの家臣らに停止するよう指示した。


 僕たちが突然止まったことに、領民たちはちょっとざわついている。


「みっ、皆の衆・・・!!」


 僕の第一声で、領民たちは一斉に僕に注目しだした。


「きょ、今日は僕のためにこんなにも豪勢な催しを開いてくれて、誠にありがとうっ!!ぼっ、僕が領民に愛されていることを、改めて知ることができ、大変嬉しく思うっ!!そっ、そのお返しとして・・・皆には戦乱とは程遠い平和で、食うものに困らない豊かな暮らしをあげることを、約束しようっ!!!」


 ・・・・・・・。


 ・・・・・・・。


 誰かがした拍手がきっかけとなって、領民たちは僕に熱い拍手を送ってくれた。


「如何せん固くなりすぎておったが、言葉選びはよかったぞ?」


 ルータスが満更でもない笑顔で僕を評価した。


 心がちょっとむず痒くなりながらも、僕は父であるルータスが褒めてくれて嬉しかった。


 次こそは、もっと堂々とスピーチができるようにならなくちゃ~な。


()()()()()()()・・・な?呆れすぎてあくびが出そうになるほどな絵空事だな?」


 さっきの僕のスピーチを馬鹿にしながら、一頭の地竜ドレイクがこっちに近づいてきた。


 紺色の体色で、楔状の鱗を持った若い地竜ドレイク


 そいつの顔を見た瞬間、ルータスの表情が険しくなった。


「ギレス・・・!」


 ギレス?


 こいつの名か?


「何しに来た?」


「おやおや。つれないことを仰ってくれますな~父上。人質に差し出された()()()()のお勤め帰りの祝いにわざわざ馳せ参じたというのに」


 ・・・・・・は?

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