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3章ー15:お守りの思い出

「父上、母上。大変お久しゅうございます!」


 城巣にやってきた僕は、目の前の父・ルータスと母・ハーリアに深々と頭を下げた。


「出戻った形ではござりまするが、このオリワ領を将来しょって立つ器になるよう勤しむ所存ですので、どうかよろしくお願いいたしまするっ!!」


「まぁまぁ、そう堅苦しくするな。こっちが勝手に戻したんだし、悪かったな。もっと学びたいこともあっただろうに・・・」


 神妙に挨拶する僕に対しルータスは、あっけらかんと笑って、ちょっと申し訳なさそうに僕をオリワ領に戻したことを謝った。


「いえいえそんなっ!ミーノ領では、国を豊かにするための知見をたくさん学んできました!今後それを、このオリワ領でも活かせるよう、精一杯努力しますっ!!」


「知見、ねぇ~?どうやら持って帰ってきたのはそれだけじゃないみたいだが・・・?」


 ルータスは笑顔なジト目で、横にいるレムアに視線を移した。


「『バケットガップ海峡の戦い』以来だな。ミーノの地竜ドレイクの嬢ちゃん」


「はい。その節は、誠にお世話になりました」


 そっか。


 この二人は、前に一度会ったことがあるんだったな・・・。


「家内のハーリアだ。ハーリア、この娘が前に話したリオルの・・・」


 ルータスが言うと、ハーリアは「あ~・・・」といった仕草を見せてくすくす笑った。


 え、なに?


 どんなこと話したんや?


「お初にお目にかかります、ハーリアの方様。わたくし、御子息様の世話役をミーノでしておりましたレムアと申します。御子息のお招きで、このオリワ領に赴くことができ、大変喜ばしゅう思います」


「あなたの方からここに呼んだのですか?リオル」


「えっ、ええ、まぁ・・・」


「へぇ~。こりゃ~カワミ領の若い殿様が言ってたように、そう遠くない内に初孫の顔が拝めそうだっ」


「なっ・・・///」


 なぁ~に言ってんのじゃ~ルータスぅ!!!


 ハーリアとレムアの前でぇ!!!


 レムアは顔を紅葉みたいに真っ赤にさせて、ハーリアはふくれっ面になってる。


 ほら~余計な茶々を入れるからぁ~!!!


「お前様、リオル。わたくし、レムア殿と女同士でもっと話してみたくなりました。なので少し、席をお立ちになられて下さいまし」


「ええ?何故だ?せめて俺は居てもいいだろう?向こうでのリオルの生活を聞きたいし・・・」


「いけませんっ」


 ハーリアに『ぴしゃり!』と言われて、ルータスは『しゅん・・・』として奥へと引っ込んだ。


 僕もここにいるのは忍びないので、夜風に当たることにした。


 ハーリアとレムア、仲良くなればいいのだけれど・・・。





 ◇◇◇





 城巣を出て町の脇に出た僕は、草原が一望できる丘で、夜風に当たりながらまったりしていた。


 城下町では、明日行われる僕の歓迎会の前夜祭でどんちゃん騒ぎしてたからだ。


 明日はパレードみたいに僕があそこを練り歩く予定になってるそうだ。


 オリンピック日本代表の凱旋イベントじゃないんだから、そんな豪勢にお出迎えしなくていいのに・・・。


 ハーリアとレムアの件もそうだが、明日のことを考えて、気が重くなる。


「いい景色ですよね、ここ」


 声がしたので振り返ると、そこにはルビィがいた。


「ルビィ・・・」


「お隣、いいですか?」


「うっ、うん・・・」


 三日月灯る下で、幼馴染の女の子と二人っきり。


 男にとっては最高のシチュだが、さっきのことがあったから、やっぱ気まずい・・・。


「その・・・さっきはごめんなさいっ」


「何がですか?」


「えっと、その・・・」


「若様がこっちの心配をよそにミーノで女子おなごを口説き落として連れ帰ったことですか?」


 やっぱ気にしてたや~ん・・・!!


「れっ、レムアとはまだ別にそんなんじゃないから・・・!!」


()()?ということは、これから()()()()()になる予定があると?」


 もう~シンドイ・・・!!


 ゲンナリする僕を見て、ルビィはクスっと笑った。


「なっ、なんよ?」


「いや~別に!ただ若様、ずいぶん表情豊かになったな~と思って!初めて会った時は、あんなにも沈んでいらしたのに」


 確かに。


 ルビィと初めて会った時は、未だに前世でうつだった時のことを引きずって、一年も外に出てない有様だった。


 それがこの四年でこんなにも元気になって、チャレンジ精神豊富になるんだから、自分でも驚くほどのいい変化だ。


「・・・・・・まだ、付けていらしたんですね。守り爪(それ)・・・」


 ルビィは僕の右手に付けた守り爪を見て、嬉しそうに聞いてきた。


 ルビィのお父さんの形見で、ミーノ領に人質として送り出される時にお守りとしてくれた鋭いかぎ状の付け爪・・・。


 こっちの世界における、守り刀。


「ずいぶんと傷が目立つようになりましたが、どうでしたか?」


「・・・・・・これね、むっちゃくちゃ効いたっ!!!」


 なんだか嬉しくなった僕は、守り爪(これ)のおかげで助かった話をルビィにし始める。


「あのね、これのおかげでミーノ領で初手柄を上げて、向こうの奥方様を助けたんだよっ!!」


「そうなんですか!?」


「そうそう!しかもこれ、僕だけじゃなくてレムアのことも守ってくれてさぁ!」


「ふぅ~ん・・・」


「あっ、いや・・・。別に彼女だけじゃないよ!?スラギア様のことも守ってくれたんだから!!」


「スラギア様?」


「ほら一回ここに帰ってきた時に一緒だった水竜リバイアサンの男の子。あれ実はカワミ領の殿様でさぁ~」


「そうだったんですか!!?」


「そうそう!見かけによらないよね~?実はあの後さ・・・」


 それから僕は、時間を忘れてルビィに守り爪に関わる思い出をいっぱい話した。


 ルビィは僕の話に、驚いたり、むくれたり、ちょっと泣いたり、微笑んだり・・・。


 色々なリアクションを取りながら聞いてくれた。

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