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3章ー6:真剣勝負の楽しさ

 起き上がった勢いでティアスに引っ掻いて、そのおかげで一本入ったものの、勝負は未だに僕が1点でティアスが3点・・・。


 どうやって巻き返そうか・・・。


 さっきの反撃もホントにラッキーで、あと一瞬タイミングがズレてたら僕にポイントは入んなかった。


 さっきも言ったように、ティアスは僕とは比較になんないほどトレーニングをしてる。


 そんな彼女とどうやって渡り合えるっていうんだ?


 ・・・・・・・。


 ・・・・・・ん?


 待てよ。


 なんでさっき僕は、ティアスから一点もぎ取ることが出来たんだ?


 ただ角の先を削っただけなのに。


 っ!!


 そうかっ!!


 僕はこの試合を、ただの大型獣のケンカだと勘違いしてた。


 だけど違う。


 これは剣道の試合と一緒で、相手の身体に自分の攻撃が当たったら一本入ったと見なされるんだ!!


 竜が支配する国だが、結局は武家社会だった頃の日本と変わらない世界だ。


 ()()()()と言っちゃあ・・・()()()か・・・。


 おかげで光明が見えた。


 何も相手を再起不能になるまで追い込む必要はない。


 ただ攻撃を当てればいいんだから・・・。


 いやでも、それでもやはり、自分より武芸に秀でたティアスに攻撃をブチ込むのには難易度がある。


 ・・・・・・ネガティブになるな。


 自分を信じろ、僕。


 僕にはモンハンで培った、モンスターの攻撃パターンがあるやないか。


 テクニックじゃこっちも負けてないってことをティアスに見せつけたれ!!


「さて、耽るのにもそろそろ飽きた。続きを始めようじゃないか?」


「そうですね。では、尋常に・・・」


「勝負!!」

「勝負!!!」


 お互いの闘志を確認し合うと、ティアスはノーモーションで突進してきた。


 さっきの『ミーノ流竜術』のたけ突きだ。


 咆哮キャンセルじゃない分、さっきより対処しやすか!?


 僕は地竜ドレイク特有のフットワークの軽さを活かして回避した。


 するとティアスは、Uターンして回避した先に向かってきた。


 何ちゅうコントロールの良さだよ!?


 逃げるのも読まれてるんなら仕方ない。こうなったら・・・。


「迎え撃つまでっ!!!」


 僕は意を決して、猛スピードで突っ込んでくるティアスを受け止めた。


「んぐお~!!?」


 止めることはできたけど、スンゴイ衝撃が全身を駆け巡る。


 なんつ~馬力してんだコイツ・・・!!


 抑えとくだけで精一杯やんか・・・!!


 こっ、こんの~!!


「止まれオラあああああああああああああああああああああああ!!!」


 僕はティアスの顔に思いっきり頭突きして、彼女がひるんだ隙にバックステップで下がった。


「リオル、一本!!」


 これで2―3・・・。


 逆転が見えてきたぞ・・・!


つうぅ~!女子おなごに頭突きするとは、無作法なヤツじゃなのぉ~」


「止めたこと褒めてもらいたいですね!嫌味言うんじゃなくって!!」


 僕がツッコむと、ティアスはケラケラと笑った。


「そうじゃの!!そうじゃの!!声が枯れた分、さっきより勢い付けたんじゃが、よく抑えてみせたっ!!見事じゃ!」


「そうそう!それが聞きたかったんです・・・」


「ほんの褒美じゃ!!」


 ティアスはその、飛行に適してない翼を広げると、足を向けてダイブしてきた。


「ちょっ・・・!!?」


 急いで避けると、ティアスが着地したトコにはクレーターが出来上がっていた。


「殺す気ですかバッキャロ~!!って、うおっ!!?」


「『ミーノ流竜術・昇りかく薙ぎ【連綿】』!!」


 ビックリする間もなく、ティアスは連続で角によるかち上げをかましてくる。


 僕はそれらを、瞬きする暇もなく爪で捌いていく。


 まるで刀どうしの鍔迫り合いだ・・・!!


「リオルよ!!」


「何すか!!?」


「わらわは今、楽しくて仕方ないっ!!本気のお前と本気で打ち合えてっ!」


 ・・・・・・・。


 ・・・・・・・。


「奇遇っすね!!僕も同じこと思ってましたよっ!!!」


 バトルアニメで主人公がヒロインと手合わせするシーンをいくつか見てきた。


 僕は今、その只中にいる。


 ・・・・・・・。


 楽しくわけないないでしょ~が!!!


 僕は上に突き上がろうとしてるティアスの頭を抑え、そのままジンオウガの『ダイナミックお手』をマネしたのを二発叩き込んだ。


「かはぁ・・・!!」


「『ヒノモト流竜術・剛手打ち【二連】』!!」


 これで3―4!!


 こっちがリード!!


「これで・・・シメ~ですっ!!!」


 ティアスが頭をもたげてる隙に、僕は前身を少し引いて、パワーを溜める。


 そして回転しながらのジャンプをして、ティアスに尻尾を叩き込んだ。


「『ヒノモト流竜術・渦跳び』っ!!!」


 僕は華麗に着地して、ティアスは地面をゴロゴロ転がった。


「リオルに一本・・・勝負あり!」


 未だ冷めない高揚の中、僕は逆転勝利の喜びを噛み締めるのだった。

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