3章ー4:暴走機関車お姫様
『ヒノモト流竜術・渦跳び』
前足を引いて踏ん張り、溜めた力で回転しながらジャンプして尻尾で相手を飛ばす尾術。
モンハンのモンスター、ジンオウガのサマーソルト攻撃から着想を得た技。
地竜としての僕はどことなくジンオウガに似てて、また、身体つきが若竜というだけあってまだ若干小さかったから、覚えやすさと威力面を考えたら、まず覚えなきゃいけない技だった。
結果は、まずまずだな。
およそ二倍の大きさを持つボロスをよろけさせたんだ。
完全に大人になれば、並の敵だったら間違いなく吹っ飛ばせるだろう。
ジンオウガはモンハン20周年のモンスター総選挙で一位を取った奴で、僕もお気にのモンスター・・・。
アイツの大技を覚えられるんだからこんなにワクワクするこたぁ~ない!!
できることなら超帯電状態みたいに攻撃時に属性付与もしたいところだけど、僕は無属性だからできないだろ~なぁ・・・。
「『ヒノモト流』か・・・。由来はなんだ?」
頭を振ってふらつきを取りながら、ボロスが聞いてくる。
「ゆっ、由来?」
「ああ。何か意味が込められているのだろう?」
「え~っと・・・“日の下で輝けるほど優美な流派”という意味が込められておりますっ!」
ヒノモトは『日ノ本』。
つまり昔の日本の呼び名から来てる。
戦国時代テイストのこの世界に似合うだろうな~って思って、厨二病センスで行き当たりばったりで付けたんだけど・・・。
「あまり捻りがないな。それに驕っておる」
うっ・・・!!きっついダメだし・・・。
「よっ、呼び名はともかく技の方は・・・!?」
「威力は申し分ない。何せわしをふらつきさせたのだからな。伸びしろは大いにある。だが前隙と後隙が目立つようだ。あくまでトドメの一撃として考えた方がいいだろう」
僕が懸念してたポイントと同じかぁ~・・・。
だって僕もゲーム中に予備動作で避けたり技の直後で攻撃してたりしてたもん・・・。
今後は予備動作や後隙を小さくしたり、他の技に繋げられるように自主練しなきゃな。
しかしボロスの指導は飴と鞭がはっきりしてる。
褒めるトコは褒めて、指摘するトコは指摘して・・・。
よくバランスが取れた教官だと思う。
僕も前世でこういう先生や上司に教わりたかった・・・。
「では、リオルの身体も温まったようだから手合わせに入ろう。姫様」
「うしっ!来た来た!!」
脇に下がるボロスと入れ替わる形で、ティアスが首をポキポキ鳴らしながら前に出てきた。
「五本先手を取った方を勝者とする。では・・・始め!!」
なんか剣道みたいだな。
でもどうやったら一本取ったってことになんだろ?
「さっきも言うたが、叩きのめしてやるから覚悟しておけ?」
「はいはい。どうかお手柔らかに」
見合った僕とティアスは冗談っぽく笑った。
後にして思えば、この時もっと身構えておく必要があった・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「ふぅ~・・・!!」
気合いを入れるかのように深く息を吸うティアス。
おお~ずいぶんサマになってるな・・・
「ギャアアアアアアア!!!ギャギャギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
僕に向かって甲高い声で咆哮を上げたティアス。
「ちょっ・・・!!いきなり何すん・・・っ!!?」
鼓膜潰れんじゃないかってくらいの叫び声を受けて、僕は耳を塞ぎながら目を閉じていたが、次に目を開けると角を向けたティアスがこっちに突っ込んできた。
「ぶほぉ・・・!!?」
顔面にティアスの突進を受けた僕は、庭にある大岩まで吹っ飛んだ。
「『ミーノ流竜術・猛突き【咆え縛り】』」
その技名を聞いて何を食らったか分かった。
今のは・・・『咆哮キャンセル突進』!!?
大音量の咆哮で動きを封じて、その隙に突進する、いわばハメ技!!
ティアスってこんなの使えたの!?
「一本」
観覧するボロスから抑揚なく言われた。
ってか今ので一本なのぉ~!!?
こんなの武術じゃなくてただの縄張り争いやんかっ!!!
「いつまで岩にめり込んでおる?次、行くぞ?」
「ちょっ、ちょっと待って姫様!!こんなん思いっきり・・・!!こんなん思いっきりやん・・・!!」
めり込んでる大岩から抜け出して抗議しようとしたら、ティアスはジャンプしてドリルみたいに回転しながら潜っていった。
「どっ、どこ行った!?」
おっ、落ち着け!
こういうのは飛び出し系の技で、予兆として地震と砂埃が起きるはず・・・!!
そしたら案の定、足元から『ドスン!!ドスン!!』という地響きが起きた。
よし来た!!
そしたら食らわないように急いで逃げ・・・!!
そう思った瞬間、ドリル回転しながらイルカみたいに飛び出たティアスによって、僕は宙高く打ち上げられた。
「『ミーノ流竜術・地貫き上げ』」
ティアスが技名を読み上げる中、僕は勢いよく地面に叩きつけられた。
「ぐぬぅ・・・!!ああっ・・・!」
「一本」
ボロスのからまたしてもティアスに一本入ったことが無情に告げられる。
試合開始からまだ一分くらいしか経ってないのに、もう0―2になった。
「これでは戯れにもならん。さっさと打ち込んでこぬかっ!!」
全く反撃してこない・・・というかできない僕にティアスは怒ってるみたいだ。
ちょっ、ちょ待って・・・。
ティアス強すぎ・・・。
こんなん死んでまうで・・・。




