表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/210

2章ー28:バケットガップ海峡の戦い(参)

 クルラさんの尋常じゃない演技力に、僕は『ぽか~ん・・・』ってなって口を大きく開けた。


 いやあるんだな、リアルにアゴが外れるくらいにビックリすること!!


「っ!!!まっ、まさか・・・!!スラギアの死霊が母の身体を借りて黄泉から舞い戻ってきたというのか・・・!!?」


 バナデウスはぶったまげて、腰が抜けたみたいに後退りする。


 よしよし、イイ感じだ。


 そりゃこんなバケモンみたいな演技見せられたら誰でもそう思うわなっ!


「ふっ、ふんっ!!バカバカしいっ!!」


 およ?


「どうせ時間稼ぎのための演技に決まっておろうっ!!わしは騙されんぞっ!!」


 なになにゲレド?


 ちょっと強がっちゃってんじゃん。


「わしの申すことが信じられぬというのか?シノナのゲレドよ」


 クルラさんが少年っぽい声色を出しながらゲレドを威圧する。


 マジでどっからそんな声出してんだ?


「冥土から戻ってきたわしには全てお見通しよ。貴様の恥ずべき罪をな」


「ならば申してみるがよい。わしが何をしたのか」


「・・・・・・・。」


 沈黙するクルラさん。


 あれ?


 なんで言わないの?


「ほぅれ見ろ!言えぬではないかっ。なぜか教えてやろうか!?知らぬに決まっておろうがっ!!」


「貴様はシノナの武将・ガラルガがミーノに攻め入った際に、我が身可愛さにミーノの主君ディブロの娘・ティアスを手土産にシノナに寝返り、あまつさえ主君とその妻たるスディアに穿心せんしんを言い渡した。「娘を返してほしくば」という文句を添えてな」


「っ!!?」


 くっくっくっ・・・!!


 ゲレドの奴めっちゃくちゃ焦ってるぅ~!!


 やはりクルラさんにゲレドが何やらしたか教えといて正解だったな。


「そっ、それは誠かゲレド!?」


 焦ったゲレドがバナデウスの方へと振り返る。


 そりゃ~確かめたくもなるわな。


 主君への謀反は武家社会にとっては重罪も重罪。


 のっぴきならない事情があれば情状酌量の余地はあるが、自らの保身のためとあらば聞き捨てならないわな。


「どうやらバナデウスには話しておらなんだようじゃの?」


「だっ、黙れっ!!でたらめを申すなっ!!」


「そりゃ~言えぬはずもなかろう。主君を裏切ってシノナの将の地位を得たとはなぁ。言えぬのであれば、得意の舌先三寸で誤魔化してみたらどうだ?んんっ?」


「このあまぁ!!!」


 頭に血が上ったゲレドが、翼を大きく広げてクルラさんに突進する。


 クルラさんは陸上を滑りながら横に避け、ゲレドの後ろに回ると回転尻尾攻撃を見舞った。


「あっ、あれは・・・!!殿の『居合尾いあいおいなしっ!!!』」


 ロアードルが驚愕しながら叫んだ。


 ってクルラさん、スラギア君の技まで完コピしやがったのか!!?


「ふぅぅ・・・!!ぬぅん!!」


 クルラさんの尾で弾き飛ばされたゲレドは、苦々しい表情をしながら顔を振って付いた砂を払いながら立った。


「自尊心だけは無駄に高い貴様のことじゃから、煽ればすぐに向かってくると思っておったわい」


 クルラさん・・・。


 この短時間でゲレドがどういう奴なのか会話から分析して、敢えて煽ったってこと?


 どうやら僕は、あらゆる面でとんでもない人に協力をお願いしちまったようだ・・・。


「きっ、貴様ぁ・・・!!ひっ!?」


 スラギア君のフリをしたクルラさんの立像を見て、ゲレドは引きつった声を上げた。


「わしはリオルを・・・友を殺したくなくて命を絶った。それは悔いても悔やみきれぬ・・・。家臣を、母上を、伴侶を遺してしまったからな・・・。全ては、非情になりきれなかった、わしの弱さが故じゃ・・・。じゃが・・・貴様のような奴腹の策で!!遺してきた者の命と誇りを踏みにじられることは断じてまかりならぬっ!!来るがよいゲレド!卑しきカラスよ!どれだけ逃げようが貴様の行く先は地獄だと、思い知るがよいっ!!」


 ・・・・・・・。


 ・・・・・・・。


「がっ、ガキが・・・。偉そうに説教を垂れおって。母の御霊みたまごと黄泉に送り返してくれるっ!!」


 ゲレドはビビりモードだが、クルラさんとサシで勝負する気満々だな。


 最初の計画と若干違った流れになってきたがどうするか・・・。


 ・・・・・・・。


 ・・・・・・・。


 僕は幕の隙間から見るクルラさんに、まるで本当にスラギア君がこの場にいるかのように思えて、なんとも言えない昂ぶりを感じた。


 ・・・・・・・。


 ・・・・・・・。


 しゃ~ない!


 ちょっと趣向を凝らしてみよう。


 僕もこの場の空気に飲まれてみるか。


 今ならできる気がする。


 最高の演技ってヤツが・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ