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2章ー18:ウェイクボードでランナウェイ!!

「うっわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!?」


 手下を率いて僕の首を獲ろうとしたゲレドを前に、スラギア君はなんと僕が乗ってるボートを、『全速力』なんて表現生ぬるいほどの爆速で引いて撤退し始めた。


「何じゃあの《《伝令役》》は!?泳ぐ速さが桁外れじゃ!!」


 だんだん遠くなってくるゲレドの声から、やっぱこのボートを引いてるのがスラギア君だと気づいてないらしい。


 っていうか・・・めっちゃ速いっ!!!


「スラギア君待って待って!!セーブセーブ・・・ごぼっ!?がぼぼっ!?」


 しかも時々潜るから水めっちゃ入ってくるっ!!!


「訳の分からんことを言うでないっ!!ちゃんと言わんかっ!!」


「たんまたんまたんまっ!!!もうちょい遅くしてっ!!!」


「悠長なことをっ!!後ろの奴らに言うてくれんかっ!?」


「ふええ!!?」


 水がかかってしょぼしょぼした目で振り返ると、ゲレド達が大挙して追っかけてくるやないか!!


「伝令諸共ミーノの回し者をかすめ取れぇ!!」


 ゲレドから指示が飛んできて、手下たちは猛禽類みたいな足を向けて襲い掛かってきた。


「飛ばすとするかのぅ~!!」


「えっ!?それどういうことおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!?」


 スラギア君がジャンプしたかと思ったら、彼が引いてるボート・・・つまり僕が乗ってるのまで宙を舞った。


 それからもスラギア君は、追手をかく乱するというよりおちょくるかのように縦横無尽にジャンプを繰り返す。


 そのたんびにボートが水面に叩きつけられ、僕はふちに必死になって掴まった。


 だってちょっとでも気ぃ抜いたら絶対落っこちて溺れるからっ!!!


「かかかっ!!!やはり水面みなもでの鬼事おにごと(鬼ごっこ)は楽しいのぅ~!!!」


 叫び疲れて「うぇぇ・・・」とか「え~ええ・・・」としか言えなくなった僕とは対照的に、スラギア君は完全にハイになっていた。


 中3の修学旅行で行った沖縄で、ジェットスキーに引かれてバナナボートに乗って中々に怖かった記憶があるけど、今のはそれと段違いだ。


 水面にボートが叩きつけられて、衝撃で落っこちないように必死に踏ん張ってる今のこの有様は、まさしくウェイクボードだっ!!!


 子どもの頃実家で『Wiiスポーツリゾート』で結構やり込んだけど、まさかこんなに怖いなんてっ!!!


 ってかこれリアルより怖ぇ~んじゃねぇか!!?


 ボートは木製、引っ張るのはクルーザーじゃなく水竜リバイアサンの子ども、しかも上から飛竜ワイバーンが爪やらブレスやらで襲ってくるしっ!!!


 おおおおお願い~ももももう終わりにしてぇやぁ~・・・。


「ちっ!敵の本陣が・・・!!退けぇ~!!!」


 カワミ軍の陣地がある島が見えてきて、ゲレド達はUターンしていった。


 よっ、良かった~・・・!!


 もうこれで一安し・・・


「よぅし!!仕上げじゃっ!!」


「はぁ~?」なんて思ってたら、スラギア君は螺旋ブリーチング突進で勢いよく上陸した。


 僕が覚えてるのは、ボートがくるくる宙を舞う感覚と、砂浜にダイブした衝撃。


 ビビりまくった結果、記憶ぶっ飛んだ・・・。


「リオル様!?大事ないですかリオル様っ!?」


「レムア・・・」


 仰向けになってボ~っとしてたら、レムアが慌てた様子で覗き込んできた。


「はぅ~・・・!!良かったぁ~・・・」


 ゆっくり立ち上がった僕に安心してレムアはへたり込んでしまった。


「どうじゃリオル!?楽しい撤退だったじゃろう!?」


「ボートどうなりました・・・?」


「ぼーと?ああ小舟のことか。あの有様じゃ!」


 スラギア君の後ろには、砂浜に思いっきし乗り上げて粉々になったボートがあった。


 あっ、あんなんアカンでしょ~・・・。


「大丈夫ですかリオル様?お顔が優れませんが・・・」


「大丈夫・・・。ちょっとあっちの木陰で横になってくる・・・」


「はっ、はぁ・・・」


「う~む。ちぃとばかし酔うてしもうたかのう?」


「スラギア様、何かされましたか?」


「そっ、そんなに凄むな!追手が迫った故、全速力で逃げただけじゃ!」


 わちゃわちゃするレムアとスラギア君をよそに、僕は木陰に横向けになった。


 ちなみにこれは酔ったせいじゃない。


 恐怖のあとに安心が一気に押し寄せて、身体が急にだるくなったからだ。


 中1の頃だったかな?


 家族で海水浴に来た時に、ゴムボートで沖に出るのを防止するブイのすぐそばまで来てしまい、何を血迷ったのか僕はボートから飛び降りた。


 そのまま付かない足をパタパタさせ、ゴムボート引きながら陸まで何とか着くと、僕は家族のパラソルで横になった。


 ちょうど、今みたいに。


 人間って不思議やな。


 めっちゃ怖いことなった後にドッと安心するとだるなったり眠くなったりすんねんもん。


 ちなみに、それがあって以来家族で海水浴場には行ってない。


 スラギア君のも、多分今回限りになると思う・・・。


 ってか、そうなって?

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