7章ー54:不思議の国の龍皇子・漆
天立率いる『日本太平党』の集団らは、議会が行われている議場になだれ込み、参加していた議員らに銃を突きつけた。
『なっ、なんだね君達は?今は議会の最中・・・が!?』
席を立ち抗議した議員を、連中の中の一人が何の躊躇いもなく散弾銃で撃ち殺した。
その光景に、議場に悲鳴がこだました。
『静かにせぇや!!!』
天立が天井に向かって銃を撃ち、恐怖で騒ぐ議員や議場内の一般人を黙らせた。
『それでええねん。さて・・・じゃあ始めよか?』
天立は議長の席へと歩いていき、その場にいた議長を懐から取り出した拳銃で殺し、仕切り始めた。
『このライブを見ている日本人へ。君らには、今の日本はどう映っとる?』
その問いかけの後、天立は暫し沈黙し、カッと目を見開いた。
『上がり続ける物価、我が物顔でのさばる移民、偏向報道ばかりするマスゴミ、既得権益に溺れるリベラル派、なぁなぁな対応ばかりする政府、口先だらけのエセ保守・・・。ボクは、胸が苦しいわ・・・。外人犯罪で文化を踏みにじられ、国際結婚で血を穢され、重科で生活苦に喘ぐ自国民を見てると・・・。ボクも初めの内は、選挙に勝てば、政治を変えられると思うとったわ。それが民主主義の美点やからね?・・・・・・でも、結局は、なぁ~んにも変わらんかったわ』
議長の卓をバン!!と叩き、天立の演説が熱を帯びる。
『政府は移民たちを叩き出した!?マスゴミは偏向報道を止めた!?リベラル派は国民に寄り添った!?地方選に勝ったエセ保守達は行動を起こした!?NOだよ!!NO!!!こうしている間にも日本の神社仏閣は燃やされ、移民の殺人や窃盗が横行して、頭お花畑のパヨク達が大学や公道でギャーギャー喚いて、技能実習生で生きさらばえるゾンビ企業が蔓延ってて、国はサブカル文化の促進や万博、オリンピックとかの誘致で無駄金をジャンジャン使ってるっ!!!これのどこが平和と言うんじゃ!!ボク達は・・・日本人は・・・立ち上がらなくちゃいけないんや!!!もう立法も、行政も、司法も必要ない!!国民一人一人が団結して、法を作り、治安を取り締まり、犯罪を裁く・・・真の平等で平和な民主主義国家を、ボク達・・・太平日本党は創る。だからボクは・・・』
天立がスッと手を挙げると、太平日本党の集団が一斉に銃を構えた。
『もう右も左も関係あらへん。この国の、議会制民主主義をぶっ壊す。グレートリセットや』
決意に満ちた表情をしながら、天立は勢いを付けて腕をバッ!!と下ろした。
それを合図に、連中は議員らに向かって銃を乱射し始めた。
与党も、野党も、大臣も・・・見境なしに。
『あっ、あなた・・・!!!』
『沙織っ!!来るなっ!!!』
銃弾が飛び交う中、夫である総理の元まで走って向かおうとする総理夫人・坂本沙織。
制止のために差し伸べられた夫の腕を、一発の銃弾が撃ち抜く。
妻が呆然としていると、続いて二発目が彼のこめかみを撃ち、首相は議席にもたれる形で息絶えた。
撃ったのは・・・天立だった。
『いっ、いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!』
狂乱して叫びながら、沙織は目を開けて倒れる夫の亡骸にすがった。
『あなたっ!!!あなたっ!!!あなたっ!!!』
事切れた夫の身体を泣きながら揺する沙織の元へ、銃を持った天立が行き、彼女に突き付ける。
『下んないことに政治動かしやがって。アンタ等夫婦はボクが直接殺らなアカンわ』
『・・・・・・さない』
『なんて?』
『天立 光・・・!!!お前だけは・・・!!お前だけは絶対・・・許さないっ!!!』
『あっそ』
パン!!と、乾いた銃声がし、眉間を撃たれた沙織が夫の横に、寄り添う形で息絶えた。
銃声が収まった頃には、議場は死体で溢れかえる地獄絵図と化していた。
『大体片付いたけど、コメント欄はどう?』
『“ひどすぎる”との意見もありますが、“よくやった”、“これこそ真の革命だ”という声が多く占めています。“尊師”』
『そっか・・・。みんな分かってくれたんやね・・・』
『総理大臣と防衛大臣を殺したので、自衛隊に治安出動が出されることはないでしょう。このまま行けば、いずれ全国に波及が』
『喜ばしいことやんか。ついに始まるんやね。本当の平和が・・・』
『ふざけないでよっ!!!』
議場のドアが開け放たれ、中に飛び込んできたのは・・・。
『のっ、希未・・・』
涙を滲ませた怒りの形相で天立に詰め寄ろうとする希未を、奴の仲間達が捕らえた。
『議会の観覧に来てた子?JDかな?』
『何が真の平和だよ!!この人達が殺されなきゃいけないことした!?立場も思想も人種も関係なく、ここにいる人達だって・・・この国に生きてる人全員が、退屈だけど平和な毎日を過ごしてきたはずでしょ?なのになんで・・・なんでこんなひどいことすんのよっ!!!あんたがやった事は、先人たちが努力の末に作ってきた、退屈で平和な世の中にツバを吐いたことなんだよっ!!!あんたは政治家でも、革命家でもない!!ただの汚い人殺しだよっ!!!』
・・・・・・・。
・・・・・・・。
『はいはい。くるくるパーは引っ込んでようね?』
“パンッ!!”
額に開いた穴から血を噴く希未に、天立は何発も銃弾を撃ち込んだ。
ドチャ!!と倒れる希未の亡骸を、天立はドン!!と、その頭を踏みつけた。
『なにが平和は退屈や。平和は力じゃ。女さん』
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「天立・・・殺すっ!!!」
煮えたぎる怒りを胸に、朕は議事堂に向けて飛び立った。




