第135話 開幕
皆さんは誰VS誰が見たいですか? 高巻はセレナVSレアルが見たいです。
それでは開幕をどうぞ!
今年のレイリア魔法大会の開催地であるセナビア魔法学園の中にあるメインスタジアムは、多くの人で埋まっていた。
レイリア魔法大会を一目見ようとする観客、自分たちの学園の代表たちを応援するために駆けつけた各学園の応援団など、その種類は様々だ。
そんな観客たちの目に映るのは、スタジアムに設置された超大型スクリーン。今はまだ何も映っていないが、大会が始まれば反射魔法によって、試合の中継が映し出される予定だ。
「いよいよね」
「はい」
アルセニア魔法学園の応援団などが座るエリアでは、オレンジ色の髪の少女と赤い髪の少女が座りながら、スクリーンを見つめていた。
アルナとナーリの二人は短い間だったが、アルセニア魔法学園の代表たちを支えたサポートメンバーであり、アルセニア魔法学園の代表と言っても過言ではない。
しかし大会が始まってしまえば、出来る事はないため、スクリーンを見ながら応援するしかなかった。
レイリア魔法大会は、優勝が決まるまで無休で行われる過酷な大会であり、優勝者が決まらない限り永遠に続く。
といっても、今まで一番長くて一か月、通常は十日前後で終わる大会なので、そんなに過酷ではない。
よって基本的に、観客たちは約半日周期で入れ替わり、試合を楽しんでいる。レストランや酒飲み場などでも反射魔法によって中継はされるが、やはり大画面で見たいというのが人間の性。
中には十日間ぶっ通しでスタジアムに居座る猛者もいる。
もちろんその間は風呂に入れないため、大会が終わる頃には匂っていたりするが、そこまでしてまでレイリア魔法大会は見たいものなのである。
ちなみに、昨年のレイリア魔法大会は現十三使徒レアル=ファイブの大活躍によって三日で終わっていた。
なので、観客たちは昨年あまり楽しめなかった分、今年の大会には期待していたのだ。
観客たちが開幕を今か今かと待っている中、実況の放送が入る。
「皆さんお待たせしました。これより、レイリア魔法大会開会式を始ます」
「ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ」
実況の知らせに、スタジアム中が湧き上がる。その歓声はスタジアムを揺らすほど大きく、観客たちの期待度がうかがえた。
その後、開会の言葉やら各学園の学園長たちの紹介、七賢人たちからの言葉などが行われていき、いよいよ観客たちが待ちわびていたものが始まる。
「それでは、これより大会に出場する学園の紹介に移りたいと思います」
学園の紹介。それこそが観客たちが待ちわびていたものだ。
レイリア魔法大会に出場する各学園の代表たちは発表されない。
それは学生たちの初対面の相手に対する対応などを養うためだ。しかし代表たちはそれでいいかもしれないが、見ているほうはつまらない。
なので、試合が始まる直前、観客たちに向けて選手たちの紹介が毎年行われていたのだ。
今年は一体どんな魔法師たちが出ているのか。そんなワクワク感を胸にした観客たちに紹介が始まる。
「まず最初の学園はここだ! ウィンディスタン南部エルネルニタの街にあり、潮風に当たりながら鍛えられたそのタフさはレイリアでもトップクラス! フージロングス魔法学園!!」
「ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ」
スタジアムのスクリーンに映し出された屈強な男たち。本当に学生かと疑いたくなるほど鍛えられた肉体は、そのタフさを物語っている。
スクリーンに映し出されたフージロングス魔法学園の代表たちだが、彼らは今スクリーンに映っていることを知らない。
なぜなら代表選手たちは各学園のごとに分かれて待機しているため、スクリーンを見ることができないから。
だからたまたまスクリーンに映し出されたときに鼻をほじっていたり、変な顔をしていたりしても、それに気づくのは大会が終わった後になる。ここら辺は残酷なレイリア魔法大会である。
実況はそんな感じで学園紹介を進めていき、残る学園が三つになったとき、さらに声のトーンを上げた。
観客たちもそんな実況の変化に気づき、さらなる期待を寄せる。おいしいものは後にとっておく、それが実況のコツだ。
観客たちもそれが分かっているからこそ、この後に紹介される学園は一味違うことを瞬間的に理解する。
「さーて、ここからは注目! かつてないほどタレントが揃った今年のレイリア魔法大会! まず、最初の注目はここだ! あの特級魔法師、炎竜ことイフリール=ネフラの息子、ヂル=ネフラ率いるサラディティウス魔法学園だぁぁぁぁ」
「ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ」
スクリーンに映し出されたのは茶色い髪の鋭い眼をした少年。その少年の纏う雰囲気はどこかセイヤに似ており、勝者の風格が漂っていた。
ヂルの登場には観客たちのボルテージも一段と上がる。
この国に十二人しかいない特級魔法師、そんな特級魔法師の息子の登場だ。盛り上がらないわけがない。
そんな観客たちの様子を見て、ニヤリと笑みを浮かべた実況の少女。彼女は知っている。まだ驚くには早いと。
「そして次は、これまた特級魔法師一族。特級魔法師、雷神ことライガー=アルーニャの娘、ユア=アルーニャを加えた美少女チーム。アルセニア魔法学園だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「ウォォォォォォォ…………ハァァァァァァ!?」
最初こそ、スクリーンにアップで映し出されたユアの美貌に歓声を上げた観客たち、それも特に男が盛り上がった。しかし次第にズームアウトされていき、ユアの全体像が見えてくると、観客たちの歓声は怒声に変わっていった。
現在スクリーンに映し出されているのはユア一人ではない。そこにはユアの愛する少年も一緒に映っていた。
椅子に座りながら、レイリア魔法大会が始まるのを待っているセイヤ。そしてそんなセイヤの右腕に抱き着くユア。その顔はとても幸せそうで、ユアの姿を見た者全員が、セイヤのことを思うユアの気持ちを一瞬で理解させられた。
さらに観客たちの驚きはこれで終わりではなかった。
どんどんとズームアウトされていくユアとセイヤ。するとセイヤの全身もスクリーンに映し出され、セイヤの左腕に抱き着いていた幼女の姿までもが、スクリーンに映し出される。
ユアとはまた別の美しさを持つ青い髪の幼女。そんな青い髪の美幼女、リリィの表情を見れば、観客たちはリリィがセイヤのことをどう思っているかを、ユアの時同様、一瞬で理解できた。
スクリーンに映し出された絶世の美少女と絶世の美幼女。そしてそんな二人の美少女と美幼女が嬉しそうに腕を抱きしめている金髪碧眼の少年。
観客たちは、スクリーンに映し出されていることを気にせず(本人たちは映っていることを知りません)、イチャイチャしているセイヤたちに、困った視線を向ける。
中でも男性陣は嫉妬の眼差しや怨念の困った眼差しでセイヤのことを見ていた。
実況までもがそんなラブラブに固まっている。
(レイリア魔法大会直前に何やっているのよ!)
実況のそんな心の声は誰も聞こえなかったが、ほとんどの人が実況と同じようなことを思っていた。
しかしそんなスタジアムだったが、一部だけは全く違った反応を見せていた。
その視線は困っても、嫉妬などでもない。一言で表すなら、それは驚愕。
そんな視線をスクリーンに映し出された少年に向けていたのは、今年のレイリア魔法大会の開催地であるセナビア魔法学園の生徒たちが座るエリアであった。
いつも読んでいただきありがとうございます。今回ついにレイリア魔法大会初日を迎えました!
えっ? 始まらなかったじゃん?
いつから初日が開幕だと錯覚していた。
はい、冗談はここまでにして、いよいよレイリア魔法大会です! しかし誰と誰がぶつかるか決まっていません。というか、他の学園の登場キャラさえ決まっていません。
こうなったら丁度1チーム六人なので全員兄弟とかにしたり、もしくは鍵を探す超鈍感主人公と五人の女子高生たちにしたり、はたまた、心がぴょ……
もう、イミワカンナイ! こうなったらパワーオブスマ……
すいません、ノリがおかしいです。
最近よくわからないノリで暴走している高巻ですが、これからもよろしくお願いします。(あとがきがいらねぇーと思っていても、温かく見守ってくださいorz)
それでは次も開会式からです。




