普通くらいの話・スクールカーストと薄い本
つい先日まで仲良かった奴がたくさんいるところで一人だと、ついつい自分と他人を比べてしまう。
俺は、少し言い辛いことだけど、あいつらが憎かったり羨ましかったりする。
あいつらは俺のことをどう思っているのだろうか。なんとなくわかるけどね。どうせ変態のホモ野郎だよ、けっ。
こんな考え方は卑屈かもしれない、でも、一人になった俺はそれくらいの考えばかりしてしまう。
なんにせよ、変態と罵られようが寂しい奴と同情されようが気分はよくないな。辛い。
でも、俺はもう大人数でわーきゃーすることだけが楽しいとは思わない。あの大きなグループに入ってきゃはきゃは笑うだけが高校生活ではないのだ。あの真庭蝙蝠どもめ……。
「飯野くん、ところでこいつを見てどう思う?」
ところでの使い方間違っているよと注意することもできない。なぜなら藤がいきなり会話してきてへんなものを出したから。
で、そのこいつ、と言って出したへんなものは、薄い本で、ななななんと、あからさまにアールジュウハチなのだ! アイエエ……。
今回は忍者ネタでも押すか……でもクラスのことを真庭の里って言う感じ、かなり好きかも。
強烈な現実に思わず現実逃避してしまった。十八禁っすか。
無論、後ろを見たり横を見たり俺の動きはせわしなかったが、藤は平然としている。
「どう思う?」
「流石にやばくない?」
「い、ま、は、そういう感情抜きにしてぬいていいのよ?」
あれだよね、抜きに抜くってね。ほら重ねる奴。あるよね? 走りに走るとかね。カプーショも言ってた。ああ、周りの目とか見たくない、逃げに逃げたい。
まあ一応確認ぐらいしないと、これをもってきた藤に申し訳ない。べっ別に知的好奇心とか働いてないんだからねっ! ただの欲望だからねっ! ……これで皆は単純な知的好奇心だと思ってくれるはず。ちょろいっ!
表紙はカラー、ランドセルを背負った少年は雨にぬれ、どこか頬が赤らんでいる。
風邪でも引いているのかな、ぐふふ。
いやいや、藤さん、これ本当に大丈夫ですか?
でも、めくる。ごく普通のシーン、そしておっさんが小学生に声をかけて……アウトー!
どうしておっさんなんですか! お姉さんじゃないんですか!?
どこかに連れて行った。ツーアウト!
次のページをめくった、内容を見た、藤を通報した。スリーアウト! チェンジ!
いや、まあ色々と思うところはあるけれどね。
残念ながら、今の俺にストライクとかいう余地がない。これストライクって言っちゃったら、本当に変態でホモだから。
あくまで俺×ショタ、綺麗なものと綺麗なものでね。こんなにも正直な俺は心が澄み切って、健全な魂は健全な肉体に宿る論を持って俺はイケメンになる。はい弾丸ロンパ!
言ってる場合じゃない。
「藤、こういうのは出来れば後で……」
「いつ見るの!? 今でしょ!」
「いやもう休み時間終わるし……」
「終わらないよ……終わりが無いのが終わり、それがスクールライフエクスペリエンス、レクイエム……じゅ、授業時間に近づくなァー!」
そんな藤も先生らしき足音を聴くと即座に物品をしまい席に戻った。
さっきスクールカーストってやつの話をしたけど、俺が一番気になるのは藤のカーストである。
今まで一人でカーストの外にいた藤は、奇異の視線より憧憬の視線で見られることが多かった。
だが現在、俺に奇妙なテンションで話しかける藤は、俺がされるような軽蔑の視線を受けるようにもなった。
俺はいやいや今の身分になってしまった、だけど藤は自らその道に入ってしまった。
藤は俺のような一般的ではなく、秀才で美人だからその風当たりが強くなることは無い風に見えるが、それでも気分が良いものじゃないだろう。
自ら修羅の道に進む藤は大和撫子というより女武士のようであるが、果たしてそれでよかったのか。
そして藤は、俺の事をどう思っているのか、後ろで真庭蝙蝠のように笑う奴らをどう思っているのか、そして、今まで一人でいた奴らのことをどう思っているのか。
俺には憐憫の情を、まにわにには軽蔑を、俺と喋ることで藤は、一人でいるやつにまで軽蔑をしているのではないか。
藤は可愛いけど何を考えているから怖いんだよなぁ。
言ってることはわりと通じるし、面白いし、美人だし、悪いことは無い。
でもだからこそ、言いようのない不気味さがある。
俺のことを好きなのかなぁ、それならもう万事解決なんだけどなぁ……。
いやもう好きだろ! さもないと壷買わせにきてるだろ!
……わからないけど、今は満喫するに限る。
いつ孤独になるかわからないのだから。
学校=真庭の里 リア充グループ=真庭忍軍 リア充=真庭蝙蝠
そんな方程式がこの回で完成してしまった。
作者はにわか刀語ファンでした。




