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処刑予定の邪神の生まれ変わりを逃がした少年、彼女から重い愛を受ける  作者: 有原優


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第11話 戦い

 そして、シドとアナは穴の外に出た。

 残されたロリエスたちはそれを止めることが出来なかった。



 ロリエスは数日前、ゾルティアにレームが滅ぼされた時の事を思い出す。

 あの時は何もできなかった。あまりもの魔物の大群に軍はすぐに瓦解し、残されたロリエスたち隊長格もゾルティアの圧倒的な魔力に翻弄された。


 仮に一対一ならロリエスが勝っていたかもしれない。

 だが、魔物のせいでゾルティアには近づけなかったのだ。

 それはシドたちも同様であろう。

 すぐさま追いかけようとしたが、恐怖がそれを許さなかった。


 その頃シドたちは魔物の大群に苦戦しながらも、レームを目指していた。ピーク時、あの時ほどは魔物も多くない。

 だが、それでも一体一体丁寧に倒していくのはじり貧だ。

 竜も最終手段としてとっておいた方がいい。


 そんな中、シドが取ったのは、隠れるという行為だ。


 実のところアナの魔法に便利な魔法があることに気づいた。そう、隠密魔法だ。


 流石に全員を欺けるわけではないが、ゴブリンなどの雑魚魔物は欺ける。


 これを使って、何とかしようという事だ。


 実際、上手くいった。強い魔物からは隠れながら、っ弱い魔物の都内は突っ切って、先頭回数を大幅に減らすことが出来た。

 だが、やはり強い魔物と連戦しなくてはならないという事で、体力は減っていっている。

 レームに着くまでに持つか、それが問題だ。


 そのまま進むこと二日、ようやくロームに着いた。


(これはひどいな)


 そう、シドは呟く。町は完全に魔物に支配されており、もう手が付けられない状態だ。

 何万も何十万もいる魔物達。これは中々入れないな、とシドは思った。


「アナ、どうする?」

「そうですね、これを直接突破するのは難しいと思います」

「だよな……」

「じゃあ、こうしませんか?」


 そのアナが提案した作戦とは、魔法で魔物に化けることだ。

 先程の気配を消す魔法は町の中では効果が薄い。

 シドはそれは良案に見えた。


 そのまま、アナへの力を使い、侵入していく。


 町の中では魔物がはびこっていて、無法地帯になっている。

 だが不思議なことに、魔物が互いに争ったりはしていない。こいつらは普段何を食べているのだろうか。

 そして案外あっさりとゾルティアのもとに着く……ことはなかった。

 気が付けばシドたちの周りに魔物達が密集している。


(これはまさか)


 ばれている。そう、シドは気づいた。


「アナ!」


 シドはそう叫び、


「変形、シドノツルギ」


 剣で周りの魔物を変幻自在にザックザックと斬っていく。


「流石、気づきましたか。シド クラウニィ」

「当たり前だろ。こんな分かりやすく囲まれてたらな!!」


 シドはそのまま敵を切り裂いていく。


「ですが、この状況分かっていますか? 私を相手にしながら、この魔物を倒す。到底無理な話だと思いますが」

「私もいることを忘れないでください!!」


 アナは、ゾルティアに向けて火の玉をぶつける。


「忘れてませんよ。狙いはあなたですから」


 そしてゾルティアは数発の炎の球をぶつけに行く。

 それをシドは斬るが、その隙に後ろから魔物に斬られる。


 警戒しなければならないのは、ゾルティアだけではなく、他の魔物達もなのだ。


「ぐはあ」


シドは一瞬よろけるも、すぐに立ち上がる。


「無駄だったのですよ。ここまで来た労力は」

「無駄じゃない!」


 アナはすぐさま周囲を闇で吹き飛ばす。


「何ですかこれは」


ゾルティアは怯んだまま、中々立ち上がれない。

 その間にアナはシドをすぐさま回復させる。


「アナ、そんなことできたのか?」

「やればできました」


 そう、元気に言うアナ、それを見て恐ろしく思うシド。

 だが、まだ戦いは続いている。ゾルティアは完全に体勢を取り直し、周りの魔物達もシドたちに襲い掛かってくる。

 シドはすぐに自分の目的を思い出し、地面を駆ける。


 そしてそれとほぼ同時のタイミングにアナが魔法を放つ。

 その攻撃によってシドの周囲の敵が吹き飛ぶ。

 シドはその空いたスペースを利用し、地面を強く蹴り、そのままゾルティアに斬りかかる。


「わお、勇気ありますねえ」

「うるさい」


そのままシドは空中で斬りかかっていく。だが、ゾルティアはそれを華麗にいなす。


(これじゃあいけない)


 そうとっさに思ったアナはすぐさま援護射撃とばかりに空に巨大な炎の球をぶつける。

 ゾルティアはその球をうっとおしいと言ってそれをはねのける。


 だが、その瞬間に、シドはゾルティアを真上から切り殺そうとする。

 だが、ゾルティアはすぐさまシドの剣を白羽取り、そのままシドを地面に叩き落す。


「シドさん!」

「まさか……その程度で私が倒せると思っているとは。愚か極まりない!!」


 そしてシドが落ちた先に大量の魔物が襲い掛かってくる。アナが必死に抑えていた魔物達が戻ってきたのだ。


「ちくしょう、てめえらにかまってる暇はないのに」

「はははは、もうこちらにはこさせませんよ。あなた達みたいな愚か者が私には向かうなんて、無駄なんですよ」


 そしてゾルティアは上から大量の闇の魔弾を投げてくる。その数は恐ろしく、アナの攻撃をもってしても、受けきれない。


「きゃあ!」


 アナはそのうちの一発を喰らい、地面に倒れる。


「アナ!」


 シドはアナの元に駆け寄る。その間にも手を休めることなく、魔物達は襲い掛かってくる。


 シドはそんなアナを守るように、魔物を切り殺していく。

 しかしその間にもゾルティアが連弾を放ってくる。

 その攻撃をシドは何とか切り裂いていくが、それにも限度があり、シドの体にどんどんと攻撃が飛んでくる。シドも段々とダメージを負っていく。


「っくそ!」


 このままでは、このままではじり貧だ。やはり、ここに来なかったほうがいいのか……。


「いや、そんなはずがない!」


 シドは、再び剣を赤に染めた。


「だめです、その力を使ったら」

「いや、これしかないだろ」

「だめです!!」


 アナがシドに抱き着き、シドの剣は赤から銀色に戻った。


「これじゃあ、どうしたら……」

「私がアマスターに力を貸し与えます」

「それこそは無理だろ」

「でも、シドさんの命が縮むのは嫌です!!」

「ぐちゃぐちゃと、話をする時間はあるのですか?」


 そして、上からさらなる魔法が振ってくる。


「アナ、時間がない。行くぞ!」


 そしてシドは再び剣を赤くしようとする。だが、それは出来なかった。


「なぜだ」

「私がもうシドさんにはその力を使えなくしました」

「ふざけるな! これが無かったら、僕はどうやってゾルティアに勝てばいいんだ」

「分かってます。その代わりに別の力に変えました」

「変えた……?」

「ええ、その地方を使ってください」


 そしてアナが背中を押すと、シドの体に力があふれてきた。


「不完全な力よりも、今の力の方がいいと思います」

「そうだな」


 そしてシドは周りの敵を皆切り伏せ、勢いそのままにゾルティアに斬りかかりにいく。


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