↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/15

セルフフォトブースで――一人で撮った恥ずかしい私を、受付の彼に見てもらいました

写真を撮りに来ました。


カメラマンはいません。


セルフ写真館です。


個室に入って、自分でシャッターを押します。


写真はその場で確認できて、スマホやUSBに保存できます。


受付にいたのは、若い男性でした。


二十代後半くらいだと思います。


「ご予約のお名前、お願いします」


名前を伝えると、男性は画面を確認しました。


「撮影した写真は、こちらからスマホに保存できます」


「あ、すみません」


バッグからUSBを出しました。


「今、スマホを修理に出してて。これでも大丈夫ですか?」


「はい。USBでも大丈夫ですよ」


男性は普通に答えました。


「撮影が終わったら、こちらで保存できます」


「分かりました」


挿絵(By みてみん)


撮影ブースへ案内されました。


思っていたより、広い部屋でした。


白い背景とカメラ、照明があります。


私は持ってきたヨガマットを床に広げました。


「何かあったら、受付に声をかけてください」


「はい」


男性が出ていきました。


ドアを閉めました。


これで、一人です。


黒い半袖のトップスと、短いランニングショーツに着替えました。


最初は、ヨガのポーズを撮りました。


四つん這いになったり、脚を伸ばしたり、身体をひねったり。本格的なものではないです。


同じポーズでも、身体の向きを変えて何枚か撮りました。


挿絵(By みてみん)


一通り撮り終えると、画像を確認しました。


それから、服を全部脱ぎ、裸になりました。


今度は、乳首が写る写真。


あそこが写る写真。


お尻の穴が写る写真。


姿勢や角度を変えながら、何枚も撮りました。


撮影が終わると、服を着ました。


胸元の開いたトップスと、短いスカートです。


鏡の前で一度、後ろを向きました。


それから、バッグを持って受付へ戻りました。


受付へ戻ると、さっきの男性がいました。


「終わりましたか?」


「はい」


「では、こちらで保存できます」


男性に案内されて、作業用のパソコンの前に行きました。


私はUSBを渡しました。


男性がパソコンに挿します。


画面にUSBの名前が表示されました。


「認識してますね」


「よかった」


「これを全部コピーしますね」


「お願いします」


男性が操作しました。


少し待ちました。


エラーが出ました。


「あれ?」


もう一度やりました。


また、同じ表示です。


男性はUSBを抜いて、挿し直しました。


「すみません。もう一回やってみます」


「はい」


でも、やっぱり駄目でした。


挿絵(By みてみん)


「USBは認識してるんですけどね……」


男性が少し困った顔をしました。


私は画面を見ました。


「写真、なくなったりしませんか?」


「撮影データは残ってます。それは大丈夫です」


「よかった」


私は、ほっとした顔をしました。


男性は少し考えてから言いました。


「スマホも今ないんですよね?」


「はい。修理中で」


「そうですよね……」


もう一度USBを挿してみましたが、やっぱり駄目でした。


「すみません。今日はUSBには保存できそうにないです」


「そうですか……」


私は少し残念そうな顔をしました。


USBに保存できない場合、三枚まで無料でプリントしてもらえることは、最初から知っていました。


でも、知らないふりをしました。


男性がどうするのか、素知らぬ顔で待ちました。


男性は画面を見ながら考えていました。


「全部は無理なんですけど、こういう場合、三枚まででしたら無料でプリントできます」


「プリント?」


「はい。よければ、好きな写真を選んでください」


「いいんですか?」


「はい」


「じゃあ、お願いします」


「どれにします?」


男性が撮影データのフォルダを開き直しました。


小さな写真が、画面に並びました。


最初に撮ったヨガの写真です。


「この中から三枚ですね」


「はい」


私は男性の横に立って、画面を見ました。


「……ちょっと見えにくい」


「小さいですか?」


「私、目があんまり良くなくて」


画面を見るために、男性の方へ一歩寄りました。


思ったより近くなって、私の肩が男性の肩に触れました。


男性が少しだけ身体を引きました。


「すみません」


「いえ」


私は離れず、そのまま画面を覗き込みました。


胸元の開いたトップスが、前屈みになったぶん、さらに開いています。


男性の視線が、一度だけそこへ落ちました。


本当に一瞬でした。


すぐに画面へ戻りました。


(見た)


私は気づかないふりをしました。


ヨガの写真を何枚か大きくしてもらいました。


どれでもよかったです。


私が見てほしい写真は、その先にありました。


何枚か見比べました。


「これも悪くないかな」


「そうですね」


「でも、三枚しか選べないんですよね」


「はい」


私は画面を見ながら、少し考えました。


「ほかのも見ていいですか?」


「もちろんです」


男性が一覧に戻しました。


画面を下へスクロールします。


ヨガの写真が続きました。


その下に、裸で撮った写真が並んでいました。


男性の手が止まりました。


「あ……」


小さく声が出ました。


私は男性の顔を見ました。


「どうしました?」


「いえ」


男性はすぐに画面へ目を戻しました。


「この辺も、見てもいいですか?」


「……はい」


私は画面に顔を近づけました。


そのまま、もう半歩だけ男性の方へ寄りました。


肩だけではなく、腕から身体の横まで男性に触れました。


男性の身体が、一瞬固くなったのが分かりました。


私は気づかないふりをして、離れませんでした。


裸の写真を見せながら、身体も触れさせています。


(私の裸、ちゃんと見て)


腕に、男性の身体の感触がありました。


(写真だけじゃないよ)


私は離れませんでした。


(今、ここにいる私も感じて)


そう思いながら、何でもないように画面を指しました。


挿絵(By みてみん)


「これ、お願いします」


男性がクリックしました。


写真が大きく表示されました。


顔から腰のあたりまでを、正面から撮った写真です。


乳首もはっきり写っています。


私は画面を見ながら、少し首を傾げました。


「右と左で、乳首の色が少し違って見えません?」


男性も画面を見ました。


「……照明のせいだと思います」


「そうですか」


私は少し納得していない顔をしました。


「もう一枚、似たのがあったと思うんですけど」


「……これですか?」


「それです」


男性が次の写真を開きました。


こちらもほとんど同じ構図でした。


私は二枚を見比べました。


「こっちの方がいいかな」


「はい」


「じゃあ、これにします」


男性がその写真を選びました。


「次は、二枚目ですよね」


「はい」


私は一覧に戻してもらいました。


「もう少し下も見ていいですか?」


「はい」


男性がスクロールしました。


私はその中の一枚を指しました。


「これ、大きくしてください」


男性が写真を開きました。


床に座って、カメラの正面でM字に脚を開いた写真です。


顔から脚まで身体全体が入り、脚の間のあそこが正面からはっきり写っています。


男性は黙って画面を見ていました。


「もう少しアップにできます?」


「はい」


男性が拡大しました。


私は身体を触れさせたまま、画面を覗き込みました。


「んー、形は大丈夫かな」


私は男性を見ました。


「何か気になるところあります?」


「え?」


「左右のビラビラのバランスとか、色とか」


男性は一度私を見て、それから画面に目を戻しました。


「え……綺麗だと思います」


「そうですか! 嬉しい」


私は笑って、男性の腕にもう少し身体を寄せました。


おっぱいが、男性の腕に軽く押しつけられました。


私は離れませんでした。


(私のおっぱいの感触も感じながら、写真見てね)


「じゃあ、これにします」


「はい」


二枚目が決まりました。


私は一覧に戻してもらいました。


「あと一枚ですね」


「はい」


男性がさらに下へスクロールしました。


私はその中の二枚を指しました。


「これと、こっち。両方大きくしてもらっていいですか?」


「はい」


男性が一枚目を開きました。


「はい」


私はようやく男性から身体を離しました。


腕に押しつけていたおっぱいも離れました。


少し距離を取ったところで、もう一度男性のズボンに目をやりました。


前は、まだ膨らんだままでした。


私は何も気づいていない顔をしました。


「なんか、すみません。変な写真ばっかりで」


「いえ……」


男性は少し困ったように笑いました。


「付き合わせちゃいましたね」


「大丈夫です」


「ありがとうございます」


私も笑いました。


男性が印刷の操作をしました。


プリンターが動き始めました。


私はバッグのところへ戻りました。


そこで、耳に手をやりました。


「あれ?」


もう一度、耳を触りました。


バッグの中も見ました。


「ない……」


男性がこちらを見ました。


「どうしました?」


「イヤリングがないんです。片方」


挿絵(By みてみん)


私は少し慌てて、もう一度バッグの中を探しました。


「さっきまであったのに」


「どこかで落としました?」


「分からないです。これ、大事なイヤリングなんです」


私はすぐに床を見ました。


「この辺に落ちてないですか?」


男性も床を見ました。


「探しますよ」


「すみません」


挿絵(By みてみん)


バッグを床に置きました。


黒い革のバッグです。


銀色のバックルがついています。


この位置なら、床にしゃがんだとき、銀色のバックルに後ろが映ります。


イヤリングは、最初から私の右手の中にありました。


それだけではありません。


撮影を終えて着替えたときから、スカートの下には何もつけていませんでした。


こうして床を探すことになったときのためです。


私は慌てたまま床に膝をつきました。


挿絵(By みてみん)


両手を床について、四つん這いになりました。


「どこだろ……」


私は床を覗き込みました。


さっき男性に言ったように、目が悪いふりをして、顔を床すれすれまで近づけました。


挿絵(By みてみん)


顔を下げたぶん、腰は反対に高く上がりました。


その姿勢のまま、少しずつ前へ進みました。


短いスカートが、腰の動きにつれて後ろへ上がっていきました。


私は直しませんでした。


「どの辺で落としたと思います?」


「分からなくて。ここに来たときは、あったと思うんですけど」


「じゃあ、この辺ですかね」


男性も床に膝をつきました。


「僕も探します」


「すみません」


挿絵(By みてみん)


男性は私の後ろへ回りました。


そのまま両手を床について、私と同じように四つん這いになりました。


他の客はいません。


ほかのスタッフもいませんでした。


ここにいるのは、私と、この男性だけです。


私は顔を床へ近づけたまま、銀色のバックルへ目をやりました。


小さな鏡みたいな金具に、後ろの男性が映っていました。


男性も四つん這いです。


でも、床を見ていませんでした。


その視線は、私の上がったスカートの奥に向いていました。


心臓が速くなりました。


(見てる)


さっきまで、この人は画面の中の私を見ていました。


あそこも、お尻の穴も。


今は写真ではありません。


上がったスカートの奥にある、本物のあそことお尻の穴が、男性の顔のすぐ目の前にあります。


さっきまで画面で見ていたものを、今はこんなに近くから見られています。


そう思うと、急に恥ずかしくなりました。


でも、隠したいとは思いませんでした。


(もっと見て)


そのまま、少しだけ膝の位置を変えました。


さっきより、脚を広げました。


それから、ほんの少しだけ腰を男性に近づけました。


(もっと近くで見ていいよ)


私はもう一度、銀色のバックルを見ました。


男性はまだ、こちらを見ていました。


(まだ見てる)


私が脚を広げたことにも、少し腰を近づけたことにも、気づいているかもしれません。


そう思うと、また恥ずかしくなりました。


それでも、元の位置には戻りませんでした。


もしかしたら、この人は気づいているのかもしれません。


私が、本当は見られたくてやっていることに。


さっきの写真も、USBも、イヤリングも。


偶然が重なりすぎています。


(おかしい女だと思ってる)


見られていることより、見られたくてやっていることまで見透かされているかもしれない。


そのことの方が、ずっと恥ずかしい。


でも……


(分かっててもいい)


(それでも、見てて)


私は腰を戻しませんでした。


さらに、ほんの少し、男性の方へ近づけました。


バックルの中で、男性の顔との距離が縮まりました。


(もっと近くで)


写真じゃなくて、私を。


(もっと見て)


(触って……もっと私を気持ちよくさせて)


(もっと……)


(お願い……)


(このまま、私を――)


ドアが開くとともに、チャイムの音がしました。


身体が止まりました。


「あ」


私はすぐに右手を床へ近づけました。


「ありました」


手の中のイヤリングを男性に見せました。


私はさっと身体を起こしました。


スカートを直しました。


新しいお客さんが入ってきました。


私は男性の顔を見ませんでした。


プリントされた三枚の写真を受け取り、バッグに入れました。


挿絵(By みてみん)


「ありがとうございました」


それだけ言って、店を出ました。


挿絵(By みてみん)


PS


店を出てから、ずっと考えていました。


今までの私は、見られるためにいろいろ考えてきました。


でも、わざとだとは思われたくありませんでした。


偶然そうなったように見せる。


私が望んでいることだけは、絶対に知られないようにする。


そのために、いつもかなり細かく考えていました。


今日は違いました。


スマホが修理中。


USBに保存できない。


裸の写真を何枚も見せる。


イヤリングまでなくす。


今考えると、ちょっとやりすぎです。


あの人も、途中で気づいていたかもしれません。


私が、本当は見られたがっていることに。


いつもの私なら、それは失敗です。


でも今日は、そう思いませんでした。


むしろ、見破られているかもしれないと思ったときの方が、興奮しました。


(この人、分かってるかもしれない)


そう思いながら、それでも私は脚を閉じませんでした。


もっと見てほしいと思いました。


もっと近くで見てほしいと思いました。


最後には、触って欲しいと思っていました。


そのあと、どうなってもいい。


あのときは、本当にそこまで思っていました。


チャイムが鳴らなかったら。


あの人が、もう少し近づいてきたら。


私はどうしていたんだろう。


分かりません。


でも、一つだけ分かったことがあります。


今回、今まで私が守っていたものを、自分から少し壊してしまったのですが、


それが全く嫌では無かったことに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。