特別なプレゼント
ライザは俺の手を掴み、俺たちは密集した群衆の中を走り出した。
「お待ちください、王女様!」王室の近衛兵の一人が叫び、俺たちを追いかけようと人波をかき分けている。
「どこに行くんだ?」俺は彼女に引っ張られながら尋ねる。
何人かの人が王女に気づき、手を振ったりお辞儀をしたりしようとするが、彼女は完全に無視してスピードを緩めようとしない。
「お城に入りましょう!」彼女は肩越しに叫ぶ。
衛兵たちはついに俺たちに追いつき、広場を通って正門へ向かう道を力ずくで切り開いてくれた。
重い鉄の落とし格子をすり抜け、静かな城の敷地内に入るのに時間はかからなかった。
壮大な玄関広間に無事に入ると、ライザはようやく俺の手を放し、石の柱に寄りかかって息を整えた。
「どうしてここまで俺を引っ張ってきたんだ?」俺は少し息を切らしながら尋ねる。
「パーティーの間ずっとあなたに会えなかったから。ただ、あなたと静かな時間を過ごしたかったの」と彼女は打ち明ける。「ところで、ウィリアムはどこ?」
「全然分からない」俺は正直に答える。「兄さんのことだから、きっと厄介事でも探しに出かけてるんだろうな」
「ふふ」ライザは優しく笑う。「来て、私のバルコニーに出ましょう。あそこからの景色は本当に綺麗なのよ」
彼女はすぐに大階段の一つに向かって走り出した。
「待ってよ!」俺は彼女を追いかけて小走りで声をかける。ドレスを着た女の子にしては、驚くほど速い!
俺は彼女に続いて階段を上り、豪華な廊下に入り、右に曲がって一番奥にある装飾の施された木製のドアにたどり着く。
彼女がそれを押し開けると、信じられないほど豪華な寝室が現れた。
中央には、淡いピンクのシルクのシーツで飾られた巨大なキングサイズのベッドがある。ヘッドボードは濃いマホガニー材で彫られ、白いタフテッドレザーのクッションが張られている。そこには、いくつかのみるからに柔らかそうな枕がきちんと並べられている。
ベッドの両脇にはエレガントな木製のナイトスタンドがあり、大きく色鮮やかな鉢植えの植物が添えられている。左手にはふかふかの白いソファがあり、その横には金の縁取りが施された大きなクローゼットが立っている。厚いベージュのラグが床を覆い、部屋を暖かく居心地の良いものにしている。
右手には、薄い白いカーテンが風に優しく揺れ、プライベートバルコニーに続くガラス扉を部分的に隠している。
「で、君の誕生日プレゼントを開け始めればいいのか?」俺は部屋を見回しながら冗談を言う。
「何も盗まないなら、許可してあげるわ」彼女は微笑む。
「まあ、気に入らないものがあったら、遠慮なく俺に寄付してくれ。喜んで引き取るから」俺は親指を立てて答える。
ライザはくすくす笑い、薄いカーテンを押し分けてバルコニーに出る。
俺も彼女に続いて外に出る。冷たい夜風がすぐに顔に当たる。
ここからは、レゴリオの首都全体を一望できる、息を呑むような景色が広がっている。高さの違う屋根の海が見える――背の高い商人の屋敷、小さな農民の家、そして遠くには街を囲む巨大な石の壁がある。
眼下では、祭りが真っ盛りだ。白いパーティーテントが温かい黄色い光で輝いている。肉を焼く微かな音、陽気な音楽、そして城まで響いてくる市民の楽しそうな笑い声が聞こえる。
ライザは石の欄干に寄りかかり、自分の民を見下ろしている。彼女はまるで一枚の絵のようだ――青白い月光と街の温かい光に照らされ、金髪と青いドレスが夜風に優しく揺れている。
俺は歩み寄り、彼女の隣の欄干に寄りかかって、景色を堪能する。
「助けてくれたこと、ちゃんとお礼を言ってなかったと思うの」ライザは街に目を向けたまま、静かに言う。
「助けた?」俺は尋ねる。
「ええ。もしあなたがいなかったら、今の私の人生がどれほど惨めなものになっていたか分からないわ」彼女は打ち明ける。
「そんなに大げさになる必要はないよ。君は王女なんだから」俺は現実的に答える。「大人になったら、それがどれだけ馬鹿げたことか分かるさ」
「どうして分かるの?」彼女は俺の方を向いて尋ねる。
「本で読んだんだ」俺は平然と嘘をつく。
10代の若者や、反抗期に近づく子供たちが自由と独立を渇望するのはごく普通のことだ。ライザも例外ではない。
彼女は世界を探検し、普通の子供のように楽しみたいだけの小さな女の子だが、王族という重荷に縛られている。とはいえ正直なところ、それは重荷というより極端な特権なのだが。
まだとても幼いので、彼女は王の娘として生まれたことがどれほど信じられないほど幸運なことか、完全には理解していない。大人になって真の独立を手に入れれば、俺が実際には彼女を何からも「救って」いないことに気づくだろう。
せいぜい、フォギーニョを救ったくらいだ!
「ライトは、いつか王様になりたい?」彼女は興味深そうに尋ねる。
「分からないな。政治に関わるのはすごく疲れそうだし」俺は肩をすくめる。「でも、君の父さんは大規模なパーティーをたくさん開くから、その特典で相殺されるかもしれないな」
「ハハハ。そうでしょう?」
「でも、ないな。俺は至高の魔術師になりたいんだ。それ以降のことは単なるおまけさ」俺は自信満々に言う。声に出して言うと、安っぽい少年漫画の主人公みたいな気分になるが、それが真実だ。
「それって…永遠にレゴリオにいるわけじゃない、ってことよね?」彼女は微かな落胆を込めたトーンで尋ねる。
「ああ…」 静かで、少し重い沈黙が空中に漂う。「自由に行き来できるわけじゃないが…でも、だからといって君に会いに来られないわけじゃない」俺はすぐに付け加える。
「本当!?」彼女の顔がぱっと明るくなる。
「もちろん」俺は頷く。
「それなら、月に最低四回は私に会いに来なきゃダメよ!」彼女は腰に手を当てて宣言する。
どうやら、絶対王政の血は彼女の血管にも深く流れているらしい。
「おっと、落ち着いて」俺は降参するように両手を挙げて笑う。「いつも近くにいるとは約束できないからな」
「あなたなら方法を見つけるわ。だって、あなたはライトだもの」彼女は愛情を込めて微笑む。
それはどういう意味だ?
俺は彼女にとって、本当にそんなに特別なのだろうか?
冷たいそよ風がバルコニーを吹き抜ける。俺たちはしばらく心地よい沈黙の中に立ち、眼下で王国が祝うのをただ見守っていた。
そろそろ、俺の本当のプレゼントを渡す時間だと思う。
「ところで、君にプレゼントを持ってきたんだ」俺は彼女の方を向きながら言う。
ライザは俺の方を向き、青い目を純粋な驚きで見開く。
「あ、ありがとう」彼女は口ごもり、突然とても恥ずかしそうにする。
「ありがとう?」俺は言う。「でも、君はまだ自分のプレゼントが何か知らないじゃないか」と俺は付け加える。
ライザは黙って、床を見つめながら頬を赤く染めている。
「とにかく、これだよ」俺はポケットからプレゼントを取り出し、ライザに差し出す。
犬を撫でている女の子のミニチュア彫刻だ。作品全体が硬くなった土から形作られており、シンプルでほぼ幾何学的な形に従っている。
以前、父さんが何もないところから壺を出現させる魔法を見せてくれた時、俺はその技術を徹底的に研究し、最終的にそれを再現することに成功した。
しかし、俺はその概念をさらに推し進めたかったので、より複雑な形で実験を始め、ついにこの結果にたどり着いたのだ。
完全なミニチュアを一度で作るのは不可能なくらい難しかったので、結局、積み木のように各部品を別々に彫刻し、それらを融合させることになった。
一番難しかったのは、形を保つのに十分な密度の土を作ることだったので、型のベースとなる材料として粘土を使用した。
「これって…私とフォギーニョ!?」ライザは純粋な喜びで目を輝かせて尋ねる。
「その通り」俺はそれを彼女に手渡しながら言う。「これでちゃんと俺に感謝できるだろ」
ライザは両手でミニチュアを包み込むように持ち、小さな細部まで感嘆して見つめている。
そして、突然、彼女は自分の部屋へと駆け戻っていった。何をしてるんだ?
俺はカーテンを通り抜けて彼女を追いかけ、彼女が俺のプレゼントをナイトテーブルの上に慎重に置いているのを見つける。
「本当に、どうもありがとう…」彼女は優しく言う。
俺はただ、穏やかで満足げな笑みを彼女に返す。
バルコニーに戻り、俺たちは再び些細なことについての会話を再開した。
「それで、八歳になるってどんな感じ?」俺は尋ねる。
「分からないわ。結構…普通だと思う」
「十八歳になるまでちょうどあと十年だぞ、知ってるか。考えたことあるか?」
「あ、本当だ!」
「君の十八歳の誕生日が来たら、酒場に忍び込んで、徹底的に酔っ払おうぜ!」俺は提案する。
「でも、あなたは私より二歳年下じゃない?」と彼女は指摘する。「あなたが十八歳になるまで待つべきだわ」
しまった、それに気づかないでほしかったのに…
夜空を見上げると、おびただしい数の星が、俺がいかにちっぽけな存在であるかを何故か思い出させる。
俺が別の世界から来たことは関係ない。宇宙の広大なスケールの前では、俺はまだ一粒の砂よりも小さい。
この世界の人々は、地球外生命体についての理論を持っているのだろうか?
そんなことについて読んだことは一度もない。
いや、もし神々が本当に存在するなら、俺はそれほど小さくはないのかもしれない。
実際、もし神々が存在するなら、この世界とここに住むすべての人は、どんな無作為な惑星や遠くの星よりもはるかに重要だ。
少なくとも、俺はそう見ている。だが、神々がここでしか命を創造していないという保証はない。
もしそうでないなら、この世界の神話が記述しているよりも数え切れないほど多くの神々が存在するはずだ。
「始まるわ」ライザが前方を見つめながら言う。
「ん?」彼女の声で、俺は哲学的な思考の螺旋から引き戻される。
突然、王国のあらゆる隅々から花火が打ち上がり、夜空を燃えるような鮮やかな赤に染め上げる。
バルコニーの下に群衆が集まり始め、一緒に王女へハッピーバースデーを歌い始める。
「お誕生日おめでとう!
あなたは世界で一番。
黄金の心と、
明るく大胆な笑顔を持っている。
お誕生日おめでとう。
あなたは空の星。
優雅な才能と、
瞳に輝きを持っている。
お誕生日おめでとう。
あなたは叶った夢。
たくさんの愛と、
たくさんの友達も持っている。
お誕生日おめでとう。
私たちはあなたを敬愛してる。
喜びの精神と、
これからもっとたくさんのものを持っている」
これが皆が歌う歌――この世界の公式なハッピーバースデーの歌だ。
ライザは群衆に手を振り、純粋な幸福で満面の笑みを浮かべている。
歌が終わると、群衆は拍手喝采する。王室のパン職人たちのチームが城から現れ、巨大なケーキが乗った巨大なテーブルを運んでくる。
そのテーブルを外に引き出すだけで、四人のパティシエが必要だ。彼らは出席している全員にスライスを配るつもりだが、これほど大勢の人に行き渡るだけのケーキがあるとは到底思えない…
ケーキには、ふわふわのホイップクリームが分厚くトッピングされている。
「あのケーキ、何味?」俺は尋ねる。
「イチゴと練乳だと思うわ」
それを聞いただけで、口の中によだれが出始める。
「俺が一番乗りだ!」俺はそう宣言し、すでにドアに向かって駆け出している。
「ちょっと!」俺が全力で走り去るのを見て、ライザが叫ぶ。
階段を駆け下り、城から飛び出し、ケーキのテーブルに向かって進むと、すぐにスライスを待つ人々の巨大な列に出くわした。
パン職人たちは一つずつ丁寧に切り分けているが、列はとてつもなく巨大で、角を曲がって続いているほどだ…
列が少し空くまで待った方がいいかもしれない…
「ライト!」背後からウィリアムが呼ぶ声が聞こえる。
「やっと見つけた――というか、兄さんが俺を見つけたのか…」俺は振り返りながら言う。
「お前が王女様と一緒にバルコニーにいるのに気づいたよ。あそこで二人で何をしていたんだ?」と彼は質問する。
「ただプレゼントを渡していただけだよ。そしたら偶然、皆が歌い始めたんだ」俺は答える。
「ああ、なるほどな」ウィリアムは果てしなく続く列に目をやり、それから敗北したような表情で俺の方を見直す。「本気であの列に並ぶつもりか?」と彼は尋ねる。
「正直並びたいけど、ケーキ一切れのために永遠に突っ立ってる気分じゃないな」と俺は言う。「後でライザに俺の分を取っておいてくれるように頼むよ」
「俺の分も取っておいてくれるように頼んでくれ!」ウィリアムが叫ぶ。
「考えておくよ」
パーティーが終わりに向かい、城のスタッフがテントを解体し始めた頃、ライザが現れ、ケーキを二切れ持ってきた――俺に一つ、兄さんに一つだ。
「本当にありがとう…」俺は少し恥ずかしそうに言う。
俺はウィリアムの方をちらりと見る。彼はすでにケーキを口に詰め込んでいる。せめて王女が歩き去るまで待てばいいのに…
俺たちは王女に別れを告げ、家路についた。




