第10話:帰還
「中々良い収穫だったな」
「うむ。お主から聞く限り、結構な価値になるようじゃのう」
そんな話をしながら、夕暮れの街道を歩くレオニスとプエラリフィア。
そして二人に引っ張られて歩く、数珠つなぎの盗賊たち。
街道を行き交う人々が興味深そうにそれを見たり、指を差して驚いているのを見ながら歩く二人。
「もうすぐ街に着くぞ。……見ろ」
レオニスがそう言いながら前方を指差す。
彼らの正面にはっきりと見えてきたのは、アベントゥーランの門だ。
街というにはかなり強固な外壁を持ち、ギレーナの盾ともなっているそこは、レオニスにとっては数週間ぶりに見るホームタウンの姿だった。
「やれやれ、こんなに帰るのに時間が掛かるとは思ってもみなかったな」
「確かにもうそろそろ1ヶ月になるのではないかえ?」
「ああ」
そんな話をしながら門に近付くと、流石に衛兵も彼らが引き連れる盗賊たちに気付いたのだろう、一人が応援を呼びに行き、もう一人はレオニスに近付いてくる。
「すまないが、その捕まっているのは?」
「盗賊団だ。確か……【大蛇団】とか名乗っていたな」
「なっ!? 【大蛇団】だと? そう言っていたのか?」
驚きの声を上げる衛兵に対して頷くレオニス。
どうやらレオニスが討伐した盗賊団は、それなりに有名な連中だったらしい。
そしてそうなれば当然、それを討伐したレオニスに注意が向く。
「すまないが、なにか証明書はあるか?」
「ああ」
レオニスは即座に懐からギルドカードを取り出し、衛兵に見せる。
「冒険者か……え? Eランクだと?」
衛兵が驚くのも当然だろう。
通常、盗賊討伐を受けられるのはDランク以上だ。
Eランクの冒険者が、かなりの人数を討伐、捕縛しているというのが信じられなかったようである。
「まあ、最近上がったばかりでな」
「そ、そうか……。おっと、確認した。通ってくれ。そいつらはどうする? 出来れば引き渡して欲しいが……」
驚きの状態から回復した衛兵がレオニスに聞いてくる。
こういった犯罪者というのは、基本的に街中を歩かせるわけにはいかない。彼らの仲間からの奪還を防ぐためである。
もちろん十分な戦力と、そして犯罪奴隷を売るための伝手があるならば問題ないのだが、あいにくレオニスにそういったものはない。
「ああ、警備隊に引き渡すとも。どうしたらいい?」
「分かった。ならこっちだ。……そちらの女性は?」
応援で呼ばれた数名の衛兵が盗賊たちを囲む。
そしてレオニスと話していた衛兵が先導しようとして、プエラリフィアに気付いた。
「ああ、彼女は登録していないんだ。保証金がいるんだったか」
「そうだが……あるか?」
「ああ。いくらだったか……」
「5000ディナルだ」
「だったな。頼む」
レオニスは懐から大きめの硬貨を5枚取り出して衛兵に渡す。
基本的に、市民証やギルドカードを持たない者たちはこうやって保証金を出して、街への立ち入りを許可されるようになっている。
この金額を出せるだけの仕事をしているという保証にもなるので、これは不可欠なのだ。
「フィア、いくぞ」
「うむ。すまんのう」
レオニスはプエラリフィアを呼ぶと、衛兵たちと共に門の中に入っていく。
途中で警備隊の詰め所に立ち寄り、そこで盗賊たちを引き渡す。
なお、警備隊に引き渡された盗賊たちの中には賞金が掛けられている者もいたため、奴隷としての売った価格と合わせて支払われる必要がある。
とはいえ、既に夕暮れであり人数もいるので、改めて取りに来るとレオニスは告げて詰め所から出た。
「さて……折角だからフィアの冒険者登録をしておこう……俺の生存報告かねて」
「そうじゃな」
二人は夕暮れの街を歩き、冒険者ギルドに向かうのであった。
冒険者ギルドは夕暮れになると忙しくなる。多くの冒険者が依頼完了の報告に来るからだ。
また、併設されている酒場も同様に忙しくなり、ギルド内は喧噪に満たされる。
「はいはい! あなたはまず素材換金にいってください! そこ、押さないで! 次! 状態確認が必要ですから、素材受付に!」
受付カウンターはまさに戦場だ。
受付嬢たちも、普段の穏やかな様子とは打って変わって多数の業務を並列で処理していく。
素材の状態を確認するカウンターは別にあるので、依頼内容を確認し、即座に誘導する判断はまさにプロだ。
「おいっ! 何でここで見てくれないんだよ!」
「状況分かっていますか!? 良いから向こう!」
「てめっ……!」
基本的にアベントゥーランに長く住んでいる者ほどこの忙しさを知っているため素直に受付嬢の言葉に従うのだが、時折分かっていない者がこうやって抗議する場合もある。
だが……
「おい新人! リズちゃんに逆らうんじゃねぇ!」
こうやって、他の冒険者たちがそういう者を弾き飛ばすのだ。
受付嬢に抗議していた新人は、周囲のベテランたちにど突かれ、あっさりと列から弾き飛ばされる。
そしてこういうことをした者は、指示されたカウンターの列でも後ろの方に回されてしまうのだ。
こうやって洗礼を受け、アベントゥーランの流儀を身体に叩き込まれていくのである。
さて、そんな冒険者ギルドに現れた二人組。
二人ともこの辺りでは珍しい服を着ており、目を惹くような端整な顔立ちと相まってまさに“異質”だった。
一瞬にしてギルドが静まり、二人に視線が向けられる。
「……視線の暴力じゃのう」
「文句言うな」
そんな軽口を叩きながら中に入ってくるのは、レオニスとプエラリフィアだ。
だが二人が醸し出す、どこか強者の雰囲気が、ギルドにいた全員の注意を引いたのだろう。
「レ、レオニス……君……?」
だが、そんな静かなギルドの中で一つの声が上がる。
それは一人の受付嬢が上げた声だった。
「やあ、エリスさん。数週間ぶりだ」
そう言って軽く手を上げるレオニスに対し、エリスと呼ばれた受付嬢はカウンターを飛び出して駆け寄ってくる。
「レオニス君!」
「おっと」
勢いよくレオニスに抱きつくエリスは、感極まったように目に涙を溜めている。
彼女はレオニスの依頼受付をよく対応していたので、しばらく姿を見せなかったレオニスが心配だったようだ。
「心配したんですよ……いきなりいなくなった、ってジムさんとかスヴェンさんが探していましたし……」
「あー……そうだよなぁ……」
一緒にミノタウロスグラディエーター討伐後の飲み会をした、気の良い連中を思い出すレオニス。
彼らにも帰還報告をしなければと思いつつ、エリスの身体を離す。
「ま、まぁ、詳しくは後で話そう。今は仕事をしてくれ……皆待っているぞ」
「あっ……、そ、そうですね。私ったら……」
そう言って頬を染めるエリス。
同時に、レオニスに向かって殺気の篭もった視線がビシビシと向けられ、なんとなくレオニスは針のムシロな気分を味わう羽目になったのだった。
◆ ◆ ◆
「そうだったんですか……」
ギルドが落ち着いた頃、レオニスはエリスに対して事情を話していた。
といっても、誰が実行してどこに飛ばされたかは明言せず、あくまで“不審者による犯行”という事にしている。
同時に、そこで出会い、助けてくれたのがプエラリフィアであり、彼女は隠遁生活をしていたために今の常識が少々不安である事などを説明する。
「プエラリフィアさん……でしたね。まずはギルドとして、将来有望な冒険者を助けてくれたことに感謝いたします」
「ふむ、妾としては己の利になったが故助けたのじゃ。感謝されることではなかろう」
「いえ、それでも助けられたのは事実ですから。……それに、個人的にもレオニス君が心配だったので、それも含めて本当にありがとうございました」
純粋に感謝の気持ちを口にするエリスに対し、プエラリフィアは軽く目を見開いている。
そして、少し顔を逸らすと口を開いた。
「ま、それで気が済むなら構わんよ。妾は特に気にしておらんからのう」
「何照れているんだ」
「う、煩い」
レオニスが揶揄うが、プエラリフィアは頬に手を当てつつそう呟くだけだった。
本当はもう少し揶揄いたいレオニスだったが、無駄な時間を取るつもりはないので話を進める。
「それで、だ。俺としては彼女を俺と同ランクにしておきたい。今後恐らく二人で行動することが増えるからな」
「分かりますが……基本的に冒険者のランクは依頼達成数と実力が物を言います。そのため、簡単にランクを揃えるわけには……」
そう言って首を振るエリス。
彼女の言う通り、冒険者は実力だけでなく実際に依頼を果たしたという実績、信頼が必要なのだ。
そうなれば、突然現れた実力者であろうとも簡単にランクを上げることはできないのである。
「……それもそうか。まあいい、とにかく彼女の登録を頼む」
「分かりました。お力になれずすみません」
そう言って頭を下げるエリスに「気にするな」と言いつつ、レオニスたちは階下に降りた。
その後のプエラリフィアの登録はスムーズに終わり、レオニスたちは宿をとって休むことに。
「いい宿だな」
「うむ……というか、値段からしてかなり上のランクじゃろ?」
現在二人がいるのは、【黄金の鹿亭】という高級宿だ。
アベントゥーランでも有数の宿であり、1泊するにも7000ディナルは最低でも必要な宿だ。
とはいえ、レオニス自身は先日の討伐により250万という莫大な金額を稼いでいたが。
「まあ、先立つものはあるからな。心配するな」
「意外と金持ちなんじゃな……」
微妙に呆れを含んだプエラリフィアの声に苦笑するレオニスだったが、今からは今後の話をするために膝を叩いて空気を変える。
「さて、明日からなんだが……その前に冒険者としての基本を伝えておく」
「うむ」
「まず、ギルドではランクごとの依頼ボードがあるから、そこから依頼書を取って受付で依頼受領をする。依頼には、討伐・採取・護衛といった依頼があるが……今のところは討伐と採取だろうな。護衛はDランク以上になる」
冒険者の基本だが、一つずつ説明するレオニス。
なお、Dランク以上にならない限り護衛依頼を受けられないのには理由がある。
「本音、俺たちには何の問題もないんだが、護衛依頼には人を“殺す”という可能性が出てくる。そこで躊躇うことがない人物……つまりは経験者が行うのが当然だ」
「確かにのう。妾は躊躇うことはないが、確かに躊躇う者もおろうな」
それはつまり、プエラリフィアが殺人に対し割り切っている事を意味する。
プエラリフィアが平然としていることに笑みを浮かべるレオニスは、さらに言葉を続けた。
「とはいえ、Dランクに上がるには実績が必要だ。で、だ……」
そこでレオニスがニヤリと笑う。
「稼ぎがいいのはダンジョンだが、ここは評価の高くなるであろう、通常の依頼を処理していこうと思う。特に、他が目に留めないような依頼をな」
「ふむ……確かにそれは良いのう。冒険者ギルドに対し、貢献度を見せる事にもなるし、依頼主からの評価も高かろう」
「なら、決まりだな」
今後の動きを決定した二人は、お互い納得の表情で頷いた。
だが、彼らは忘れている……
自分たちが今日、助けた相手のことを――
◆ ◆ ◆
――翌日・冒険者ギルド
「……早いのう」
「これでもゆっくり出てきたんだ、文句を言うな」
現在、午前7時を少し過ぎた頃。
レオニスとプエラリフィアの姿は冒険者ギルドにあった。
とはいえ、既に冒険者は活動を開始しており、依頼ボードの依頼枚数はかなり少なくなっている。
「基本的に皆日の出と共に動き出して、日の入りと同時に一日を終えるからな。既に門は開いているから、結構冒険者たちは出ていっているぞ」
「むぅ……これが弊害か」
旧世界は地球のように、結構夜まで活動していたらしい。
プエラリフィアはその感覚があるせいか、明らかに眠そうである。
「レオニス君、プエラリフィアさん。おはようございます」
そんな二人に声を掛けてきたのは、受付嬢のエリスだ。
(わざわざカウンターから出ているということは……何か用事があるな?)
レオニスは挨拶を返しながらもそんな事を考える。
確かに受付嬢がカウンターから出るというのは、何らか仕事での理由……例えば職員のみ立ち入れる場所へ案内するなど、仕事に関係した事情以外では考えられない。
「おはようなのじゃ。しかし、お主たちは早起きじゃのう」
「そうでもないですよ? 慣れるものですし」
そんな他愛もない話をしている女性陣だが、エリスが手を叩いて「そう言えば」と話を切り替えた。
「そうです、お二人に一つ依頼を受けていただきたくてですね……」
「依頼?」
レオニスが聞き返すと、エリスは頷き上を指差す。
「詳細は、会議室でお話しします。良いですか?」
「……分かった」
わざわざここではなく会議室で話すということに、普通ではない依頼の可能性がレオニスの頭を過る。
とはいえ、余程変なものでない限りは受けておいた方が評価は高くなるので、渋々ながらレオニスは頷くのであった。
――会議室
「では、依頼内容についてですが……」
「待った」
そう言って話し始める職員に待ったを掛けるレオニス。
というのも、本来であれば受付嬢が内容を説明するのが通常の依頼では普通だ。
だが、明らかに上役である職員がその場にいて説明を始めるのだ。レオニスでなくとも待ったを掛けるだろう。
「どうされましたか?」
「まず、上役である人物が何故説明を? それに、まだ我々は受けるとは言っていませんが」
「……」
レオニスの言葉に目を眇める職員に対し、レオニスは笑顔のまま言葉を続ける。
「その依頼内容を聞いても、受けるかどうかはこちらが決定させていただきます。我々は高ランクの冒険者ではないので、下手なものに巻き込まれるわけにはいかないのです」
そう言い切ったレオニスに対し、職員は深く溜息を吐いた。
そして眉間に手を当てながら緩く首を振る。
「……正当な言い分ですね。しかし、本当に平民ですか? えらく慣れているように見えますが」
「おや、こちらとしては“冒険者として当然”の事を口にしたまでですが」
「それにしても慣れていますよね? これはますます受けていただかなくては」
「おや、ギルドは依頼を受けるかどうかを冒険者に強制する権限は、有事の際の防衛戦を除いてないはずですが」
「ぐっ……」
思わず言葉に詰まる職員に、レオニスは更なる追い撃ちを掛ける。
「それとも、“相手が相手だから断られるはずはない”とでも認識されていたのでしょうか。これは冒険者側だけでなく依頼主の立場を指しますが。もしそう考えておられるのであれば、ギルドは冒険者を守るのではなく、“利用する”つもりだと、そう我らは認識すべきなのでしょうかね? ああ、ギルドが皆そうだとは断定はしません、しかし、同業者としては、“可能性”としての情報共有は当たり前ですから……」
「わ、分かりました! 分かりましたから! そんな事するはずないでしょう!? そんな物騒な事を言わないでいただきたい!」
職員が叫ぶようにそう言うのを聞いて、レオニスはさらに笑みを深める。
「おや……物騒と感じるのは何故? 私は感じたままを“同業者”に共有するまでですが。問題がないのであれば、あくまで私が口にしたのは可能性の話ですし、それにあくまで主観的なものですから問題ありますまい」
「うっ……! と、とにかく、この依頼の内容についてお知らせしますが、だからといって強制でないことは保証しますので!」
「分かりました。その言葉を信じます」
そう言って頷くレオニスは良い笑顔だ。対して、職員は頭が痛そうである。
だが職員は気持ちを切り替えたのか、顔を上げると一つの依頼書をレオニスとプエラリフィアに見せてきた。
「これが依頼書です。内容としては……演武、というべきでしょうか。実力ある冒険者に、その戦いを見せて欲しいという依頼です」
依頼内容は簡単……というわけではないが、いわゆる依頼主の前で自分の力を見せるというものだ。
そしてこういう依頼をする相手というのは、まず金持ちである。
なにせ、別に討伐や護衛をさせるわけではないのだ。そこにお金を出せるという時点で、金がある人物でなくてはならない。
「そして、その依頼主の護衛たちとの手合わせ。これは先程の演武にプラスされる形で報酬があります。演武で終わる場合、8000ディナル。手合わせをされた場合は、その時間と人数に応じて……となりますね」
その内容を聞いて、笑みを浮かべつつ片眉を上げるレオニス……なお、プエラリフィアはレオニスの隣で静かにしている。
さて、レオニスが片眉を上げるのは、何か気になった、あるいは引っ掛かった場合である。
(……明らかに相手は貴族だな。そして、人数に応じてとなる以上、それなりの人数の私兵がいるということ)
頭の中で情報を纏めながら考える。
レオニスが、依頼主を貴族として断定する理由。それは、金持ちというのは総じて貴族階級に該当するからだ。
もちろん、マーシャントブルグを拠点にする大商人という可能性も否定できないが、十中八九貴族だとレオニスは認識している。
さらに決定的なのは、“依頼主の護衛たち”という言葉。
商人たちも確かに護衛戦力を子飼いとしている場合はあるのだが、少なくともレオニスはここアベントゥーランでそのような大商人を知らない。
さらに、商人たちの子飼いはそこまで人数が多くないのだ。必要であれば、子飼いの護衛たちが冒険者であったり、何らかの伝手を使って戦力を集める。
それに対して今回の依頼は、大人数の護衛の存在が見える。つまりは私兵となり、それを持つのは貴族階級に限られるのだ。
(しかも、大人数であればその階級はかなり上になるだろうな)
嫌な話だが、貴族といえどもピンキリである。
村が2、3個の領地を治める貧乏男爵もいれば、小国と同等の領地を治める公爵もいる。
そして、常に動かせる私兵を持つ――つまり職業軍人を持つというのは、かなり経済的に余裕のある、上級貴族の可能性が高いのだ。
(あまり貴族との接点は作りたくなかったんだが……)
面倒が嫌い、貴族に仕えるのも嫌なレオニスは、出来るだけ目に付かないように冒険者をするつもりだった。
もちろん、自分の魔法適性の問題もあったのだが、そういった面倒が嫌いというのが一番の理由である。
(しかし……)
考えながらレオニスは隣をちらと見る。
隣に座るプエラリフィアによって、魔法についての憂いは晴れた。
ならば面倒を減らすために次に必要なのは、信頼や実績……そして立場だ。
(面倒が嫌いと言いつつ、面倒を避けるにはそこそこの立場が必要とはこれ如何に……)
そんな事をしばらく考え、レオニスはプエラリフィアに声を掛ける。
「フィア、お前はこれを受けたいか?」
「そうじゃな……折角の依頼じゃ、実績を積むにも良いのではないか?」
「分かった。――その依頼、受けましょう」
レオニスのその言葉に、ホッと息を吐く職員。
どうやら職員側も、何らかの圧力が掛かっていたのかもしれない。
明らかにホッとした様子の職員に対し、だがレオニスは手を緩めない。
「まあ、依頼を受けたからといって……ギルドは冒険者の権益のためにしっかり働いていただかなければなりませんが」
「!?」
念のため釘を刺したレオニスであった。




