第43話「妖怪の包囲」
社の周囲。
赤い目がいくつも闇の中に浮かんでいた。
蓮は天照を構える。
「……多いな」
隼人が周囲を見渡す。
「少なくとも十体以上いる」
黒川が札を手にする。
「全員が天照を狙っているとは限らない」
その瞬間、森から一体の妖怪が飛び出した。
蓮が斬り払う。
ザンッ!
妖怪が地面へ転がる。
「まだ来るぞ!」
別の妖怪が横から襲いかかる。
隼人が受け止めた。
ガキィン!
「蓮、右!」
「分かった!」
蓮が振り向く。
天照を横薙ぎに振る。
ザンッ!
さらに一体を倒す。
だが、妖怪たちは次々と社へ迫ってくる。
黒川が札を投げた。
「封!」
札が地面に張り付き、妖怪の足元を封じる。
「今のうちに下がれ!」
湊が封印石を抱えて社の奥へ移動する。
しかし――
一体の妖怪が、戦いを避けるように横をすり抜けた。
「!」
蓮が気づく。
「そいつを止めろ!」
隼人が追う。
だが妖怪は社の中へ飛び込んだ。
「封印石か!」
湊が振り返る。
妖怪が封印石へ手を伸ばす。
「もらうぞ!」
湊は咄嗟に石を抱えて逃げる。
「渡すもんか!」
妖怪が追いかける。
その前に蓮が立ちはだかった。
「させない!」
妖怪が爪を振る。
蓮はかわして斬り込む。
ザンッ!
妖怪が倒れる。
その直後――
外から大きな咆哮が響いた。
「グオオオオッ!」
社の壁が揺れる。
隼人が外を見る。
「まだいる」
森の奥から、一回り大きな妖怪が現れた。
周囲の妖怪たちが一斉に道を開ける。
「……こいつが指揮してるのか」
黒川が構える。
大妖怪は蓮を見た。
「天照を持つ者……」
蓮が刀を握る。
「お前たちの目的は何だ?」
大妖怪は笑う。
「我らの目的は、天照ではない」
蓮の表情が変わる。
「じゃあ何だ?」
大妖怪は湊の持つ封印石を見る。
「三つの封印石だ」
「……!」
黒川が気づく。
「天照を囮にして、石を奪うつもりだったのか」
「その通り」
大妖怪が手を伸ばす。
「三つの石を集めれば、王への道がさらに開く」
蓮が前へ出る。
「絶対に渡さない」
大妖怪が地面を蹴った。
蓮も同時に踏み込む。
ガキィン!
激しい衝撃が社全体に響く。
「ぐっ……!」
蓮の足が後ろへ滑る。
隼人が加勢する。
「一人じゃ無理だ!」
二人で大妖怪へ攻撃を仕掛ける。
しかし大妖怪は二人の攻撃を受け止めた。
「弱い」
妖気が膨れ上がる。
二人が吹き飛ばされる。
「蓮!」
湊が叫ぶ。
その時、三つの封印石が同時に光り始めた。
大妖怪が驚く。
「何だ……?」
石の光が社全体を包む。
そして――
森の奥に、巨大な門のような光が浮かび上がった。
黒川が息を呑む。
「封印石が……反応している」
蓮は立ち上がる。
「また門が……」
大妖怪が光を見つめる。
「これが……王への道」
妖怪たちが一斉に門へ向かい始めた。
蓮が天照を構える。
「行かせるか!」
ここから先は、妖怪たちとの戦いだけでは終わらない。
玄冥へ繋がる道が、再び開こうとしていた。
第43話 完




