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私たちは相思相愛?  作者: ayaペンギン


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5/5

5話(アリサ視点)

今日は待ちに待った婚姻式の日。


祖国から父や母、兄夫婦も参列予定だ。

この半年で語学も作法も合格点をもらっていた。

講師からはどこへ出しても恥ずかしくないと太鼓判を押されている。

家族たちに立派に務めを果たしている姿を見てもらえることを素直に嬉しく思う。


それに今日からはベルンハルト様の妻になる。

半年という短い期間だったが、積極的に交流を持ち、言葉を尽くして誠実に向き合ってきた。これまで意思疎通を重ねてきた中で、ベルンハルト様からの信頼を勝ち得ることができたと自負している。いまだに私の気持ちがきちんと伝わっているか不安になるときもあるが、きっと愛のある夫婦となれるだろう。


そんなことを考えている間にすっかり身支度が整ってしまった。

今日の式は儀礼的なものだけで、披露目の夜会は後日開かれるそうだ。

この国には式当日に夜会を開くと初夜を失敗してしまうという言い伝えが残されているかららしい。

言い伝えの意味は分からないが、式が終われば当然のように初夜が待っていると意識させられる。

祖国では貧相な体だとか、抱く気になれないだとか散々な言われようであったが、ベルンハルト様はどうだろうか…?少なくとも心無い言葉を掛けられることはないだろう。けれど、不満に思われるかもしれない。

それがどうしても怖かった。


婚姻式がもうすぐ始まるというとき、父と母が控室へ訪ねてきた。

「お父様、お母様…」

私は自然と立ち上がり二人に近寄る。

「あなたの花嫁姿が見られて嬉しいわ。とても綺麗よ。大切にされているのね…」

母の言葉に鼻の奥がツンと痛む。

「嫁に出すつもりなんてなかったのに。私の掌中の珠のままでいてほしかったよ。」

父の言葉に胸が温かくなる。

二人は私を優しく抱きしめると、控室から去って行ってしまう。

これが最後の会話になるかもしれない。

私の立場を考えれば、きっと祖国への里帰りなど認められないだろう。

一瞬でも話せたことは奇跡に近いように思った。


父と母が去った後、ベルンハルト様が迎えに来てくださった。

騎士団総長の正装である軍服に身を包んだ彼はいつまでも見ていたいほど美しく、神々しくすらある。

ベルンハルト様は私の姿を一度見てすぐに目線を逸らしてしまったが、その耳が少し赤く見えるのは気のせいだろうか?気のせいでなければいいのに…私はそう願わずにはいられなかった。


その後式は恙無く終わった。

誓いのキスで唇のすぐ横に口づけされたときは私と口づけしたくなかったのかと少し落ちこんだが、誓いの言葉を述べるベルンハルト様の声には迷いがなく、疑いの余地はなかった。皇帝陛下や皇国の貴族、そして家族に見守られ私たちは晴れて本物の夫婦となったのだ。

式の最後にキラキラとした花吹雪が私たちに降り注いだのには驚きを隠せなかった。

これは精霊のいたずらなのだそうだ。

精霊に愛されし国と名高いガイスト皇国では時々こういった精霊のいたずらが見られるという。

きっと私たちの結婚を祝ってくれているのだろう。


式が終わると少しだけ家族と話す時間をベルンハルト様が用意してくださった。

こんな私のために心を尽くしてくれるベルンハルト様には、これから時間を掛けて恩返しをしていこう。

私はそう心の中で誓った。


―――――


その日の夜、私は風呂場で侍女に全身を磨かれていた。

花の芳醇な香りがする香油を塗り、初夜のための服に着替える。

私の貧相な体を隠すため、できるだけ肌を隠すデザインにしてもらった。

これでは色気がないかもしれないが、しょせん私が何を着ようと色気など一ミリもないことは知っている。

だからこれでいいのだ。


意を決して臨んだ初夜。

ベルンハルト様は服をほとんど脱ぐことはなく、あっさりと終わってしまった。

それに、一緒に朝を迎えるものと思っていたのに、行為が終わるとベルンハルト様はさっさと部屋を出て行ってしまった。

終始優しい声掛けがあり、私を気遣っているようにも感じられた。

でも、それは義務的なものだったのかもしれない。


この国で初夜は重要な意味を持っていると学んだ。

初夜を果たせない人間は、邸で正式に女主人として認められないのだそうだ。

それに、夫人としての社交界での立ち位置も危うくなるとか…

きっとベルンハルト様は最低限の礼儀を尽くしてくださったのだろう。


この結婚に少し夢を見すぎていたのだろう。

ただ、一人残された寝室で私は涙を流すしかなかった。

いままで感じていた暖かな気持ちは勘違いだったのかしら…

その日私はなかなか眠ることができなかった。

最後までお読みいただきありがとうございます。

もしよろしければ評価いただけますと幸いです。


この話はムーン版で長編作品として投稿し直す予定です。

そのときは絶対にハッピーエンドにします。

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9/21追記

長編版『あまりにも高い文化の壁に阻まれて私の気持ちが届きません!』をムーンライトノベルズにて投稿開始しました。

本作を土台に、設定やエピソードを追加・変更した長編版です。

ご興味がありましたら、ムーンライトノベルズにて作品タイトルを検索していただけると嬉しいです。



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