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ドジな女神ディアナの神級試験 神身事故発生で大ピンチ!  作者: 清明
第9章 アーレンハイト家の女帝たち

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第22話 ある日の海辺の街アーレンとフロイデン伯爵領4

◇◇フロイデン伯爵領4

漁師の朝は早い フロイデン伯爵領の漁師たちも夜明けと共に漁に出かけるのだが、その日は様子が違った。


刻で云えば王都で新春の会議が四日目を迎える早朝 フロイデン伯爵領の沖合を無数とも云える程の船舶が埋め尽くした。


漁師たちは沖合の異様な様子に驚き、領主館に報告に行った。 その報告に領主代行を務めていたフロイデン伯爵の嫡男でマティルダの兄であるヒューベルト・フォン・フロイデン次期伯爵は驚きと云うか、事前に齎されていた事が現実に起こり唖然としていた。


フロイデン伯爵領の沖合からひと際 大きな船が近付き宣戦布告の口上を告げる為に浜辺近くまで寄せてきた。


「我はコーラル連邦 筆頭であるケーラン王国の王子  ユーリス・フォン・ケーランである ハイランド王国は照明やワイングラスにゴーレム馬 更にその専用馬車などを不当に独占し国際世界の秩序を乱す騒乱の基である。 そこで我がケーラン王国とシーラ王国は全世界に秩序を回復せんがため、狂乱の基であるハイランド王国を誅する為に立ち上がった。 既に王都にて宣戦布告の宣しは済ませてあるが、改めてここに騎士の礼として宣戦布告を申し渡す」海上からの口上は残念な事に海風に晒され途切れ途切れにしか伝わらなかったのだが。



ケーラン王国やシーラ王国からすれば、宣戦布告など様式美でしかない 既に戦の幕は切って下ろされているのだ。


フロイデン伯爵領の沖合に(ひし)めいていた大小の船舶は我さきを争うようにフロイデン伯爵領の浜に群がってきた。


真っ先に浜辺に着いたのは口上をするために近付いていた旗艦と思われる船を主体にした数隻の船舶だった。 彼らは事前に調査を行っていたのだろう、フロイデン伯爵領の領主館ではなく船舶を造るための造船所を目指していた。 


ケーラン王国やシーラ王国が国内からかき集めた船舶は全て小さな漁船と云えるものだった。 その数は二万隻余りの小舟と云える物だった。 その為に外洋に出る事は出来ず海岸線に沿ってフロイデン伯爵領まで来ていた。


その小舟の遥か後方、外洋と云われる場所からフロイデン伯爵領を目指す船団が有った。 その船団はこの世界の基準から云えば巨大とも云えた。 その巨大とも云える船団の中でもひと際大きな船舶を先頭に方錐の陣でケーラン王国やシーラ王国の船舶に迫っていった。



刻は少し戻り、今年も終わりを告げる頃 カトリーヌとロックは新婚旅行の最終目的地であるフロイデン伯爵領を訪れていた。


このフロイデン伯爵領にはシュワルツ・フォン・アーレンハイトの長男であるデイビット・フォン・アーレンハイトが長期の研修を行っていた その研修もそろそろ終わりを告げようとしていた。


「カトリーヌお嬢様にロック君 ご成婚 おめでとう 結婚式に出れなくって 本当に申し訳ない 私も丁度、その頃 卒業航海に出ていたんだ」浅黒く日焼けしたデイビットの顔はかつて王都で出会った頃の脆弱(ひよわ)さは無く海の男が居た。


「デイビットさん 暫く見ないうちに見違えてしまいました」ロックとすれば、その言葉が一番しっくりくる言葉だった。 そして殆ど別人と云えるものだった。


フロイデン伯爵家の嫡男でありマティルダの兄であるヒューベルト・フォン・フロイデン次期伯爵の案内で領主館に入るなりデイビット・フォン・アーレンハイトから挨拶をされ驚きに包まれていた。


その後、ヒューベルトの促され応接室に入るとカトリーヌとロックはマティルダ義母様から託された書簡をヒューベルト・フォン・フロイデン次期伯爵へ手渡した。


ヒューベルトはカトリーヌとロックから手渡された妹であるマティルダからの書簡に目を通した。 その内容たるや目を見開くものなのだが、既に父であるルックナー・フォン・フロイデン伯爵にもマルガレータや妹のマティルダから伝えられていた。 そして当然の事であるが嫡男であるヒューベルトも知って居た。


それでも驚かずにはいられない内容だった。 


『ヒューベルト兄様へ

 事前にマルガレータからも知らせが入っていると思いますが、ケーラン王国やシーラ王国が新年あけにフロイデン伯爵領を侵略する恐れが有ります その為にハンス・フォン・ハイランド国王陛下の許可の許、アーレンハイト家当主であるフィリップ・フォン・アーレンハイトは配下であるミケーネ騎士団を救援に向かわせる事に成りました。 陣容は海上からの支援として海兵師団から第二艦隊を向かわせます そして陸戦として五名の指揮官に率いられた一万二千名を派遣いたします』妹のマティルダから齎された書簡には信じられない内容が記されていた。


ハイランド国王に於いてアーレンハイト家が誇るミケーネ騎士団は王国最強の騎士団と云われている。 過去に五千名の兵士で十倍とも云える五万名の侵略軍を防いだ実績がある。 その最強とも云えるミケーネ騎士団から一万二千名もの派遣である、更に海兵師団から第二艦隊が派遣されるとなればヒューベルトでなくても感謝をした事だろう


更にマルガレータの書簡の中にはハイランド国王から三つの方面軍が派遣される事に成ったと記されていた。 ハイランド国王としてもフロイデン伯爵家の事を大事に考えている事が伺えた。


ヒューベルト・フォン・フロイデン次期伯爵はカトリーヌとロックの二人を迎えた当日 歓迎の為に宴を設けた。 


カトリーヌとロックの二人がヒューベルト・フォン・フロイデン次期伯爵から歓迎を受けた翌日、第二艦隊の旗艦である海神(リバイアサン)でも小さな事件が起きていた。 まぁ 実際には事件と云うより、血気盛んな指揮官が小さな幼女にお叱りを受けただけなのだが。



「よ~し 野郎ども 事前の準備は良いか 気合を入れろ」第二艦隊の旗艦である海神(リバイアサン)では指揮官であるバルガン・フォン・アーレンハイトが気炎を上げていた。


「では、上陸して橋頭保を築くぞ」バルガンの掛け声に指揮下に在る海兵たちが動き出そうとした時 小さな影が動いてバルガンの頭を小枝で叩いていた。


「バルガン 貴方はおバカなの おバカよね 絶対、おバカだわ 本当よ」ヨウコは容赦のない声と共にバルガンの頭を小枝でポカポカと叩いていた。


「うぁ~ ヨウコ様 おやめください おねがいします」バルガンは高揚していた気分が一気に醒め涙目に成りながらヨウコに許しを乞うていた。


「ヨウコ様 私は何かミスを犯したでしょうか」第二艦隊の旗艦である海神(リバイアサン)の艦橋の中はお祭り気分から一気にお通夜の様な静寂に包まれていた。


「バルガン 本当に気が付かないの やっぱり おバカさんだわ バルガン 貴方は第二艦隊の総指揮官だわ その貴方が第二艦隊の指揮権を持ったまま 海兵隊と共にどこに行く心算なの」バルガンはヨウコからの指摘で自分が犯したミスに気が付いた。


艦隊司令が何らかの事情で艦隊を離れる場合には、次席に指揮権を預けなければならないのだ そうしなければ艦隊は誰からも命令を受ける事が出来ず何も出来なくなってしまう。 そんな事態に陥らないように事前に指揮権の委譲をしなければならない決まりに成って居た。


「総旗艦ビンセントの第一航海士 ブルース 貴官に私が職務に復帰するまで第二艦隊の総指揮を任せる 更に総旗艦ビンセントの第二航海士であるリック 貴官には海兵隊の指揮を任せる」バルガン・フォン・アーレンハイトは今までの浮ついた表情を改め背筋を伸ばし、自身の腰に差していた総指揮官の証である指揮杖を総旗艦ビンセントの第一航海士であるブルースへ渡した。


「第二艦隊 総指揮官 バルガン・フォン・アーレンハイト様 お戻りに成るまで艦隊指揮権をお預かり致します」ブルースもバルガンからの指揮権委譲に緊張を見せながら総指揮官の証である指揮杖を受け取った。


既に総旗艦ビンセントの第一航海士であるブルースは現在、造船中の第三艦隊総指揮官に内定している。 そして総旗艦ビンセントの第二航海士であるリックは第一航海士となる そのリックの仕事は総旗艦ビンセントだけではなく第一艦隊の運行を管理しなくてはならない、更に自分の後継者の育成は必須とも云えた。


ヨウコの指摘で多少のゴタゴタが有ったもののバルガンは海兵隊の指揮官であるリックを引き連れ、これから始まる侵略軍を迎え撃つ準備の為にフロイデン伯爵領に向かった。


そして、フロイデン伯爵領の防衛を任された五名の指揮官に率いられたミケーネ騎士団も到着した。 海兵師団に所属するバルガンがカトリーヌやロックと共に上陸し挨拶をしなかったののには訳が有った。


それはカトリーヌとロックがこのタイミングでシーラ王国とケーラン王国の二国が共闘して侵略して来る事を知らされていなかった事とミケーネ騎士団の本体と共にヒューベルト・フォン・フロイデン次期伯爵に挨拶をしようと思ったからだった。


ヒューベルト・フォン・フロイデン次期伯爵は妹であるマティルダからの書簡でアーレンハイト家が誇るミケーネ騎士団が派遣された事を既に把握しておりバルガンとブルースの両名と共に五名の騎士爵を領主館に招き入れた。 その領主館ではバルガンの兄であるデイビット・フォン・アーレンハイトが待ち受けていた。


ここからヒューベルトを含めた九人で今後の話し合いと云うか確認が行われた。 既に基本的な作戦案は事前にフロイデン伯爵家には伝えられている。 その作戦についての確認作業だった。


今回の作戦にはハイランド王国から派遣された三つの方面軍については戦力として計算されていなかった。 何故ならカールから指示をされ二年もの間に練られ、訓練された中に不確定要素であるハイランド王国の方面軍を当てにするなど考えられなかったからだ。


「ヒューベルト・フォン・フロイデン次期伯爵殿 事前に確認されている事ですが、フロイデン伯爵家の造船施設が敵の主目標と考えられます、その為にその周辺が戦場になります。 関係各所への連絡は既に終えていると我々は考えて宜しいですね」元百人隊隊長であり武闘派に属すのだが、周りを纏める力を持ち、突発的事象にも良く対応していたイレーヌ・フォン・ノーツ女騎士爵が皆を代表してフロイデン次期伯爵であるヒューベルトへ確認を行った。


「勿論です ノーツ女騎士爵殿 妹のマティルダやマルガレータ殿からの書簡で事前に準備をしておりました。  でも驚きました マルガレータ殿からの書簡では侵略により破壊された造船施設はアーレンハイト家が全額負担し再建をすると云うのですからね それも大型船舶を複数、同時に造船が出来る施設を考えていると云われれば、我がフロイデン伯爵家としても嫌とは言えませんよ」ヒューベルトとしても妹のマティルダやマルガレータからの申し入れには満足していた。




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