side 相沢圭①
葵と圭が付き合ってから二人乗りの帰り道をする間の話です♪
「圭と葵が付き合ってるとか、今でも信じられない!」
「はあ、まだ健介そんな事言ってるの?」
葵ちゃんと付き合ってからも健介とは相変わらず付き合いは続いている。
最近はサッカー部のマネージャーといい感じらしいから、葵ちゃんの事は吹っ切れたみたいで安心した。
「って言うか、よく葵の頭撫でられるよな。アレは衝撃映像だったわ。天使過ぎて、隣の席に居るだけで俺は無理だったな」
また健介の葵ちゃんトークが始まる。
いや、お前さっきマネージャーといい感じとか言わなかったか、と思うけど、葵ちゃん情報は役に立つから聞いておくけどさ。
天使、天使、と連呼する幼馴染に呆れた目を向ける。
「健介さ、葵ちゃんは普通に人間の女の子だよ」
「天使じゃないなら、あの可愛さは、何なの?」
はあ? と健介に驚いたように目を向けられる。
いやいや、天使だったら種族違うから付き合えないだろ、と呆れて黙っていたら健介が慌て出す。
「えっ、……お前、まさか、もう手出してるわけ……?」
俺の天使が……! と泣くふりしながら、こっちをチラチラ見てくんな。しかも、こっちの顔色を見た途端、ニヤニヤ顔に変えたのがムカついて、サッカーボールを思いっきり健介の顔に向かって蹴ってやった。軽く手で受け止め、ボールからニヤニヤ顔を出した。
「それで、葵と何があったんだよ?」
「言わねーよ!」
健介がボールを蹴って来る。
付き合いが長いと表情だけで読み取れるのが、楽だけど面倒くさい。
葵ちゃんは、ちょっと抜けてて、おっちょこちょいだ。
きちんと付き合う事になった日、周りに人もいない夕方、二人の雰囲気も甘くて、あ、これは、今だろう? とキスしようと頬を優しく包んだ。
確かにキスしようとか、キスしていいか、と聞いてないけど、そこは察して欲しいと言うか、一応匂わせたつもりだったのに、満面の笑みでクッキーを渡されるとは予想外だった。
そして、その抜けた、おっちょこちょいな所が可愛いと思う俺は、葵ちゃんを茹でタコにした。柔らかな頬も真っ赤な顔も、普段人に見せない顔も最高に可愛い。
毎日、朝の教室で会う度に、仕草のひとつひとつが可愛くて、愛おしさが増していく。
教室の出入りは葵ちゃんの席の近くの扉を使い、すれ違うときに、言葉を交わす時は嬉しくなるし、吉田と話している時に、ぽんっと頭に手を置くと耳が真っ赤になるのを見るのも好きだ。
だけど、一番は茹でタコ顔で揺らがない。
「圭が手を出そうとして、誤解されたとか?」
ニヤニヤ顔で言う健介は、前みたいに顔に翳りが無くなっていて、純粋にニヤニヤしている。
それは良かったな、と強めにボールを蹴り返す。
誤解と言えば、健介は葵ちゃんが余所余所しくなった原因を『星屑のヘアピン』だと思っていた。
葵ちゃんが初めて星のヘアピンを付けて来た日、格好つけようとした健介は、葵ちゃんが一等星で、このヘアピンは回りを飾るスターダストみたいだと言おうと口を開いた瞬間に、めっちゃ臭いと気付いて咄嗟に出た言葉が「星屑みたい」だったらしい。
まあ確かに、それは臭い。健介らしいと言えば健介らしいけどな。
葵ちゃんの傷ついた顔が忘れられないと、健介がずっと女々しくて大変だった。
「葵に誤解されて、圭も悩め……っ!」
健介から強めのボールが戻って来た。
誤解で悩めか……確かに、この前は公園で甘い雰囲気になり、周りに人がいない状況で、葵ちゃんの頬に手を添えて顎を上向きにした。今度こそ誤解はしないだろうと思ったら、ふるふるまつ毛を震わせて「太ったかな?」と聞かれたので、葵ちゃんを茹でタコにした。茹でタコは「ふえっ?」とまぬけな声で鳴いた。
茹でタコの可愛さが増すばかりだ。
もはやコントのように、お約束になりつつあるキスからの茹でタコ。
俺のキス率はゼロパーセントなのに、茹でタコ率は百パーセントだ。
葵ちゃんの茹でタコ顔が可愛くて、キスしたいのか、茹でタコ顔が見たいのか、分からなくなって来ている。悩みといえば悩みなのか……?
いやいや、キスはしたい。そこは忘れてはいないつもりだ。
だけど、キスという可能性がすっぽり抜け落ちている葵ちゃんの抜けている、おっちょこちょいの可愛い反応は、キスを意識するまでだと思うと、茹でタコ率百パーセントも悪くないような気がして来ていたりもする。
「誤解というか、俺に迷いが生じている……」
「なんだ、やっぱり圭にも天使の結界が効いてるんだな。安心したわ」
「いや、茹でタコの誘惑だ」
きっぱり真面目に答えたら、はあ? と健介がボールを顔面に思いっきり蹴って来た。
今度こそ、葵ちゃんは天使じゃないと真面目に言い切ったら、なぜか俺がラーメンを奢ることになった。
本日も読んで頂き、ありがとうございます(*´∇`*)



















