第3話 小さな冒険、初めての仲間
朝の空気はひんやりとしていたが太陽の光が草や屋根を金色に照らしていた。
「今日も戻ってないか…」
子供や夫のことが頭をよぎる。私がいなくなって心配してるだろうな…いやそれとも異世界あるあるで向こうの時間は進んでなかったり、もしかして私はもう……
嫌なことが頭をよぎったがすぐに振り解いた。
支度をして杖を握りしめ昨日より少しだけ自信を持って歩く。森や村の小道ももう迷う気がしない。
広場に着くと、村人たちが慌ただしく集まっていた。
「お願い、誰か手伝ってくれないか! 森の奥で小川が溢れかけてるんだ!」
昨日の光の魔法で少し自信を得た私は、迷わず村人たちのもとへ。ルカもすぐにやってきた。私の居場所が瞬時にわかるのだろうか?
「一緒に行こう。無理はしなくていい」
私の目をしっかり見て言ってくれた、彼の存在がやはり心強かった。
森の奥に行くと小川の水が土手を越えそうになっていた。村人だけでは危険だ。
「私、少し魔法で水の流れを調整できるかも……!」
杖を握り手順を思い浮かべる。光で水流を視覚化し風の魔法で少しだけ水の勢いを和らげる。
「できた……かな?」
ルカが横から手伝ってくれたおかげで、小川は無事に流れを取り戻した。村人たちは感謝の声を上げる。
1人の村人が近づいてきて手を握られる。
「ありがとう!あんたのお陰で助かったよ!」
人から感謝されるのってこんなに嬉しいんだなと思わず笑顔が溢れた。向こうじゃ誰もお礼なんて言ってくれなかった。
夕暮れ、村の小道をルカと歩きながら私は思った。
現実世界では経験できなかった挑戦や、心の温かさ。小さな成功体験が異世界での生活を少しずつ色づけてくれる。
もちろん元の世界には戻りたいけれど今はいまある生活に目を向けなきゃな。
ルカは微笑み手を軽く杖に添えて言った。
「君なら、この世界でも十分やっていける。無理せず、でも一歩ずつ」
その言葉に胸が疼くような感覚に襲われた。なんだろう、久々に感じるこの気持ち。でも確かに心が動いた瞬間だった。
こうして村での生活と小さな冒険、そして少しずつ築かれる信頼。異世界での新しい日常は、今日も静かに始まるのだった。
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