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第2話 村での初めての魔法

朝の光が窓から差し込む。


眠い目を擦って大きな伸びをした。今日はよく眠れたなあなんてぼうっとしてたら、あることに気づいた。

「大変!朝ごはん作らなきゃ!」

飛び起きてキッチンの方に向かおうとして気づく。

「そうだった…ここは」


見慣れない家の風景。床板の軋む音、外から聞こえる鳥のさえずり、風に揺れる草の香り――全てが現実世界とは違っていた。



「……昨日から本当にここにいるんだ」

ルカがお母さんと暮らしていたという家にしばらくいさせてもらうことになった。

私は杖を握りしめながら深呼吸した。異世界に来てまだ数時間。森を抜けて村にたどり着き金髪の少年ルカに出会ったばかりだ。


帰れる手段を探しながら寝て起きたら現実世界に戻ってたってことがあるかもしれない。


ここの小さな村は、のどかで穏やかだった。朝の市場では野菜や果物を売る声、井戸で水を汲む音、遠くの畑で牛や羊を世話する人々。

「まずは、ここで生きていく力をつけなきゃ」

現実世界での経験や家事や段取り力が少し役に立ちそうだと自分に言い聞かせる。


広場を歩いていると、一人の村人が慌てて駆け寄ってきた。

「お願いだ、魔法使いさん!子ヤギが川に落ちてしまって……!」


子ヤギは川の中で足をばたつかせ、流されかけている。周囲には村人が数人、心配そうに見守るだけだった。


「わ、私……魔法で……!」

杖を握りしめ、まずは基本の光の魔法を唱える。

小さな光の玉が掌に浮かび、川面を照らす。ヤギの位置がはっきり見え、どう動けば助けられるかが分かる。


ルカもすぐに駆けつけて手を添えて指示してくれる。

「左手で水流を少し緩めて、右手で光を集中させるんだ」

彼の指示通りに杖を動かすと光が水面を滑り子ヤギが岸に向かって流れを変えられた。


「大丈夫、もうすぐ……!」

数分後、子ヤギは無事に岸へ。村人たちは歓声を上げ、私も思わず安堵の息をついた。


ルカが微笑みながら言った。

「初めてにしては上出来だよ。君なら、この世界でもやっていける」

その言葉に、胸の奥が少し温かくなる。現実世界では当たり前だった家族の存在。ここではまだ手に入らない。でも誰かの役に立てたことは確かな手応えだった。


午後、村の小道を歩きながら、私は思う。

「少しずつ、この世界での生活に慣れていけるかもしれない」


森の匂い、村人の笑顔、杖の感触…全てが私の新しい日常になる。

戻る手段を探しながらここで生活していこう。それが異世界生活の第一歩だった。

お読みいただきありがとうございます。

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