同類相憐れむ(その2)
クラス会は岡崎が出て行った後、みんな沈み切ったようになり、30分も経たずに解散した。帰り道、太一が僕に話しかけて来た。
「かおるちゃん、凄いね。僕にはできないよ」
僕は、何のことか分からず驚いて答える。
「え・・・何のこと?太一こそ凄いよ。岡崎に面と向かって対峙したのは太一だけじゃない」
ううん、と太一は首を振る。
「僕には久木田の背中をさするなんてできない。いや、そんなこと、思いついたりすらしない・・・・やっぱり、日向さんがかおるちゃんと一緒にいる理由がよく分かったよ」
「え?」
突然、さつきちゃんが話題に上がり、何故?と純粋に驚いた。
「かおるちゃん・・・よく考えたら日向さんて凄い子だと思うよ。なかなかいない子だよ。もちろん、遠藤さんや脇坂さんもいい子だけれど、日向さんは別次元というか異次元の感覚というか・・・・
こんなこと、かおるちゃんに言うと怒るかもしれないけど、日向さんとかおるちゃんが‘特別な間柄’っていうのはほんの少しだけ、バランスが取れてないかな、って思ってた。
ほんの少しだけ、だよ」
太一は僕に気を遣ってか、少しだけ、というのを強調する。不釣合い、というのは承知しているので別にそこまで気を遣わなくてもいいのに、と思うけれど。太一は真顔で僕を見ながら続ける。
「・・・でも、今日、久木田の背中を撫でるのを見て、確信した。かおるちゃんも別次元、ってはっきり分かった。かおるちゃんと日向さんは甲乙つけがたい‘異次元’だよ」
「・・・それって、褒めてるってことでいいんだよね?」
もちろん、と太一は更に真顔になる。
「最上級の褒め言葉だよ。変な話、今日のかおるちゃんを見て、‘負けた’って思ったから」
僕も太一を真似して真顔で話すことにしてみる。
「いや・・・もし、ほんとにそうなら、単に太一の‘どうなっても構わない’っていうのを真似しただけだよ。ちょっとでも太一に近付けたんなら、本当に嬉しいんだけど・・・・」
クラス会そのものの後味は悪かったけれど、太一と僕にとっては意義ある一日だった、のだろう。ただ・・・岡崎の言葉で久木田のうつ病が更に悪化しているんじゃないかな、とぼんやりと思った。
3日後。久木田が自宅マンションから飛び降りて自殺した、という記事が朝刊に載っていた。




