ジーク視点
フィオナが消えた後、ジークはその場に立ち尽くしていた。思えば、フィオナは初めて見た時から不思議な少女だと印象に残っていた。
あの自分でも入ると少しキツい魔力が強い森の泉の前で寝転んでいた少女。
俺でも見たことがない妖精と話していて、独特の雰囲気を漂わせていた輝く銀髪の少女。
その表情は何処か冷たく思えてならない。
最初は些細な事だった、少しだけ興味が湧いたから彼女の素姓を調べた。
わかった事はほんのわずか、白猫を飼っているだけだ。
彼女の素姓が全く出てこないのだ。ジークは唯一対等に話してくれる護衛の1人、イオンに彼女の素姓を調べさせた。
驚くことに腕の立つイオンが初日で撒かれ、あろう事か3日後に跡をつけていた事がバレていて腹を蹴られたと言っていた。
おまけに白猫は喋るらしい。
これほどまでに人生で面白いと感じたことは無かった、ジークは鍛えられていない表情筋を自然に動かし足を組んだ。
彼女がジークの部屋に現れた時も内心、嬉しかった。
が、好きと言う感情は無かった。
あの、漆黒の瞳を見るまでは・・・
自分でもまさかあんな言葉が出るとは思わなかった。でも、あの瞳を見た直後から心臓を鷲掴みにされたような衝動に陥ったのだ。
自分でも言った言葉に驚いたっけ。
ジークは正気になり、すぐに行動にうつす。
まず始めに、書類に目を通し、大臣達を呼び付け街や森の浄化活動に力をいれた。
この国は戦争をしない宣言を高々にあげて、それでも戦争を仕掛けてくる輩には自ら首を討ち取ったりした。
着々と成果を上げる。仕事の合間に鍛錬も忘れずに行った。
フィオナに認めてもらうように一心でいろんな事に取り組んだ。
3年が経って、魔術に力をいれていたイオンにフィオナの様子を見るように命令した。イオンの魔力は恐ろしいほどに上がっていたからあの森に行けると思ったからだ。
5年後にこの選択は間違いだと気付かずに・・・
5年後、ジークはフィオナに会いに行く。
改めてみたフィオナは随分と変わっていた。腰ぐらいだった銀の髪が膝ぐらいにまで伸び、寝転がると広がるように散らばっている。
背も大分伸びて、何より5年前には無かった色っぽさや艶やかさが兼ね備えられていた。ただ、全身に綺麗なキスマークを付けたイオンには殺してやろうかという衝動に駆られたが。
そう考えていた時、
漆黒の瞳と目が合った。ジークはずっと言いたかった事を告げる事に成功し、頷いてくれたフィオナに満面の笑みを見せていた事はフィオナしか知らなかった。




