喫煙所の恋煩い.2
「あすかさん」
〈ん?〉
「髪…」
〈なんだ?〉
「あ、いや 髪綺麗だよね さっき、シャンプー使わせてもらったけど、いい匂いで好きだなぁ」
〈そうか てきとーに選んだシャンプーだけどな〉
「てきとーなの!?ね、俺もいい匂いでしょ?」
〈…誘ってんの?〉
「!!!!」
〈お前…可愛いなぁ、ほんとに〉
「もうっ!あすかさん!」
〈で?ほんとは何が聞きてぇんだ?〉
「あ…どうして髪伸ばしてるのかなって」
〈あほ 遠慮しないで何でも聞けって言ったろ〉
「うん、ごめん…」
〈…短くしてるときにいろいろあったんだよ〉
「そっか、聞いちゃいけなかったかな…ごめん」
〈ばーか 気にするなよ 伸ばしたことでお前ともこうなれたんだ 昔のことなんか忘れたよ〉
「あすかさん…!」
うれしい!
昔何があったか…気にはなるけど…
あすかさんが、そばにいてくれるなら
それで…
【月曜 明日翔point of view】
〈じゃ、喫煙所か帰りな〉
「うん、あとでね」
弁当を持ってデスクに来た
仕事中はさすがに何回もは会ってらんねーし
とっとと仕事終わらせて帰りてぇ
休んだ分もまだまだ溜まってるし…本気出すか
❴お疲れ様ですー進捗はどうですか?❵
〈あと1時間下さい 終わらせます〉
❴わかりました きゃー仕事早いわ、やっぱり❵
うるせぇ…
煙草吸いてぇな…顔も見てぇし
終わったら速攻行くか
あーいねぇ…いつもよりタイミングずれたもんな
はぁ…30分で終わらしたのになー
「あすかさん!」
〈お、今来たのか〉
「うん!午前中は会えなかったね」
〈溜まってるやつ片付けてたからなーあ、ちょっとこっちきてみ?〉
「ん?どうし…」
〈ん、んんっ〉
「ん…ん、あすかさんっ だめだよぉ」
〈ごほうびくらいくれてもいいだろ?
あ、お前その顔他のやつに見せんなよ じゃーな〉
「もう…っ」
誰もいなかったからイタズラしてやった
さて、もうちょっとやるか
そしたら弁当もあるしな
あーーーー疲れた 集中し過ぎたか…
目、痛えー 眼鏡外そ
さ!弁当弁当 お茶も買ったし
〈いただきます〉
❨あれ!葛城さんお弁当?めずらしいですね?❩
〈ツレが愛妻弁当作ってくれたからな〉
❨うそー!彼女できたんですかー!?❩
〈いいだろ 今から食うんだから邪魔すんなよ〉
❨冷たい目つきもいい…素敵…❩
うるせぇーまじで
ゆっくり食わせろ
〈うめぇー…〉
野菜と魚と卵焼きが入ってる
この卵焼きうめぇな なんの味なんだ、これは
〈ごちそうさまでした…っと〉
"これ、卵焼きうめーな、なんだこれ
夜も頼む"
"だし巻き玉子だよ 分かった!野菜食べられた?"
"おう 完食したわ ありがとうな"
"良かった!またあとでね"
❨彼女さん、どんな人なんですかぁ?❩
うるせぇな…
〈可愛くて甘えんぼうだな〉
❨えー写真とかないんですかぁ?見たぁい!❩
〈見せるわけねーだろ ほら、散れ〉
❨はーい …ねぇ、どんな人だろうね?…❩
はぁ…
煙草吸ってこよ
<お、葛城くんじゃないか 人事はどうだい?>
〈…課長 おつかれさまです 慣れました〉
<そうか 経理に帰って来てほしいんだが>
〈人事に来たばっかりっすからねー〉
<戻れるように…掛け合ってみようかなぁ
それより…
髪…切らないのかい?相変わらず綺麗だが>
〈…えぇ、気に入ってるんで 人事もこの髪も〉
<そうか…何かあったらいつでも言ってくれ
じゃあまた、な>"ぽんぽん"
勘弁してくれよ、二度とごめんだぞ
このセクハラ野郎…
「あすかさんっ」
〈よぉ 弁当ごっそうさんな〉
「うん!さっきの人は…?」
〈あぁ、経理の課長だよ 知らないのか〉
「知らなかったぁ…」
〈どうした?〉
「なんか、あの人…あすかさんの腰に手を…髪も触ってなかった…?」
〈あー あいつセクハラ野郎だからな〉
「なっ…あすかさん…」
〈大丈夫だよ、お前がいるからな〉
「え?」
〈…そんな顔するな 大丈夫だ またあとでな〉
「うん…」
はぁ…
嫌なやつに会ったが…亮太が来てくれてたすかったな
さて…あとは今日の分か
とっととやって定時で帰るぞ
…ん?
【亮太point of view】
あすかさん、本当に大丈夫かなぁ…
❲見ーちゃった!❳
「冴木さん?なにー?」
❲ねぇ、さっきの葛城さんよね?❳
「あすかさんのこと知ってるんだ」
❲有名よ?男も女も来るもの拒まず去るもの追わずって❳
「そんな人じゃないよ あすかさんは」
❲騙されてんじゃないの?亮太純粋だから…あたし、そういうところ好きだったのに…❳
「え?…え!?」
❲亮太だって、女が好きなはずでしょ!?なんでよりによって葛城さんなの?❳
「わかんない…でも好きだからー」
❲あの人、口もうまいから、気をつけたほうがいいって噂よ?何人も泣かされてるって聞いたし❳
「いや、そんなわけ…」
〈へぇ?俺ってそんなに有名なんだ?〉
あすかさんが後ろから抱きついてきた
「あすかさん!」
❲あっ…❳
〈あんたも亮太が好きなのか じゃライバルだな?
…負ける気はねーけど じゃーな〉
「あすかさん、ありがとう!あとでね」
❲なんなのよ…❳
負ける気はないだって うれしい
うれしすぎて冴木さんを放って帰って来てしまった
【明日翔point of view】
ふーん、あいつモテんのか
まぁ、そりゃそうだな
なんたって俺が惚れたやつなんだから
葛城さーん、お客さんだよー
〈あ、はーい〉
誰だよ…?あ
〈なんだ?まだ何か用か?〉
❲…亮太のこと本気なんですか?❳
〈そうだけど?〉
❲…❳
〈あんたは亮太のこと本気で好きなのか?〉
❲なっ!当たり前でしょ!❳
〈なら、あいつにあんな顔させるなよ〉
❲…あっ❳
〈好きなやつには笑顔でいてもらいてーだろ?〉
❲うん…自分のためだったのかも…❳
〈はぁ…亮太のことが心配だったんだろ?
噂なんてよ、尾ひれも背びれもなんでもくっつくもんだからな あんまり真に受けんなよ〉
❲ごめんなさい 亮太が心配なのはほんとだけど…
あなたのこと何も知らないのに…❳
〈別に 慣れてるからな ま、自分を責めるんじゃねーぞ じゃーな〉
❲…❳
恋をすると、みんな周りが見えなくなるもんだ
噂、ねぇ… くだらねぇ
さ、やるか
もうちょいで終わりだな…
❨あっ!!葛城さん、急で申し訳ないんだけどこっちもお願いします❩
〈…しょーがねぇな はいはい〉
もうすぐで終わるってとこだったのに…
ダッシュで終わらせる…
〈すまん、亮太 遅くなった〉
「あすかさん、大丈夫だよ!俺も今終わったところー帰ろ!」
〈おう〉
「昼間はありがとう」
〈なんのことだ?〉
「冴木さんがね、謝ってきたんだ」
〈そうか〉
「でも…」
〈ん?〉
「葛城さんってかっこいいのね!だって…」
〈あの女…もう俺に近寄らせんなよ〉
「もうー」
〈なぁ?亮太〉
「なぁに?」
〈俺、いーーーーっぱいヤキモチ妬いたからな
家ついたら覚えとけよ〉
「あ、あすかさんっ!ちょっ!」
〈…〉
まだ真っ赤になんのかよ
まいったな
俺、思った以上にどハマリしちまってるぞ
駅についたな…さみー…
〈ほら、手ーかせよ〉
「うん!」
手をつないでポケットに突っ込んだ
「あったかいね、ありがとう!」
〈おう〉
あ、電話か
ちっ…めんどくせーやつからだ
〈亮太、電話してから帰るから先帰っててくれ これ、鍵あけて入ってろ〉
「いいの?わかったー」
〈なんだ?〉
《今どこにいるのよー》
〈駅出たとこだけど、なんだよ〉
《じゃあさ、あすかの部屋にいるから早く帰ってきなさい》
〈なに!?お前、今から入っていくやつに手ー出すなよ!すぐ帰るから!〉
《え?誰かく》
途中で切って走って帰った
はぁ…はぁ ひさびさに…本気で走っ…ぜぇ、ぜぇ
〈…亮太!〉
「あ、あすかさぁん…」
《おかえりぃ だぁれ?この可愛い子》
〈はぁ…はぁ…っ〉
最悪だ なんでこんなに早く現れるんだ、こいつは
亮太がバックハグされてやがる
《りょうたくん、っていうのね?紹介して?》
〈俺の彼氏 とりあえずベタベタ触んな〉
《彼氏!?あんたそっちもいけんの!?》
〈いけねぇよ!こいつだけだ あほ!
いいから早く離れろ 亮太こっち来い〉
「あ、あすかさん…」
〈こいつは俺の双子の姉貴なんだ…〉
《山下小春よ、りょーたくん よろしくね♪》
「俺、坂本亮太です よろしくお願いします…」
〈なんでもう帰ってきてんだよ 予定ではまだ4日くらいあったろ?〉
《新婚旅行、ぶっちしてきちゃった♪》
〈お前っ!なにしてんだ!〉
《だってー日本にいたいのにさーあいつが海外なんていうからーそれでも5日もガマンしたのよぉ?》
〈なら、結婚式も日本でやれよ わざわざ3日も休みとったんだぞ…っていうか、まさかここに泊まる気じゃねーよな?〉
《そのつもりだったんだけどぉ…りょーたくんがいるんだったら悪いからぁ ホテルに泊まるわ♪》
〈そうしてくれ ついでに鍵置いていけよな〉
《しょーがないかぁ…はいはい りょーたくんにあげちゃお♡怖がらないでよぉ はい♪》
「あ…ありがとうございます…
え、あすかさん…俺がもらっていいの?」
〈とっとけ!そして早くしまえ!〉
「う、うん!ありがとう!」
〈あ、嫌な予感すんだけどよ…
亮太、小春と俺を見間違えたってことねーか?〉
《なにー?何の話ぃ?》
俺は小春に俺達の喫煙所での馴れ初めを話した
《んー?たしかに1年前ならあたしも喫煙所通ってたけどぉ?山下がタバコ吸うからぁ》
「お姉さんもうちで働いてるんですね?
でも間違えてないよ、あすかさん」
〈何でないって言い切った?〉
「見れば分かるから」
《あたしたち、みんなに間違われるのよぉ?
歴代の彼氏も職場の面々も そもそもあたしたちが双子って知らずにいる人もいるのよぉ?》
「酔ってたら自信ないけど…俺がずっと見てたのはあすかさんだから」
〈…なんでだ?〉
「まず目つきが違うし、顔はよく似てるけど纏ってる雰囲気も違うし、姿勢も違うよ」
《今度入れ替わっちゃおうか?》
〈あほ、やめろよな〉
「間違えない自信あるよ、俺」
〈…〉
《あいつもそのぐらい言い切れればねぇー》
〈おい、そういや早くあいつのとこ帰れよ ここに迎えに来るとか勘弁してくれよ〉
《来ないわよぉ 場所は知らせるしぃ》
〈はぁ…まったく〉
《ねぇ!おなかすいたぁ ご飯食べに行こうよぉ》
「お姉さん、俺がごはん作りますから」
《え!いいの!?ごちそうになるー♪》
〈はぁ…〉
小春は来るもの拒まずなところはあるが、あいつ…
結婚相手の山下にだけは心を許していた
いろいろあってこうなったってーのに、
まさか置いて帰ってくるとは…
これ以上面倒ごとには巻き込まれたくないが
とりあえず食事が終わったら帰ってもらおう…
《ねぇ、この玉子焼きおいしいんだけどぉ!》
〈てめぇ、これは俺のだ!〉
「あすかさん、まだまだあるから…」
〈亮太、小春のこと甘やかすんじゃねーぞ、こいつにとことん吸いつくされるからな〉
「わぁ…」
《人聞きの悪いーそんなことしないわよぉ?
…たぶん♡》
〈はぁ…〉
《ねぇ、あすか あたしいつまで休みなんだっけ》
〈週末までだろ 週明けからはちゃんと仕事しろよ?〉
《めんどくさいなぁ…》
「お姉さんはどこの部署なんですか?」
《秘書してるのよぉ 社長の》
「!!!」
〈こいつ秘書のくせに2週間も休みとりやがって…〉
《良いって言うんだもぉん おじさんがぁ》
「お、おじっ…!?」
〈あー叔父な、叔父〉
「あ、そうなんで…え!?」
〈言ってなかったか 俺らの叔父が社長なんだ〉
「し、知らなかったです…」
《あたしたちには、なーんにも恩恵はないけどねーあすか》
〈あってたまるか めんどくせぇ〉
「そうなんだ…」
《いただきぃっ♪》
〈てめぇ!!!〉
「もう、あすかさんもお姉さんも…
もうちょっと作ってきますから ね!」
〈すまんな 頼む〉/《ありがと♡》
小春に気に入られちゃったかなー亮太
《お姉さんじゃなくて小春って呼んで♡》とか言われてRile交換させられてたな
そのあと、半分以上も玉子焼き食って出ていった
しばらくは出てこなくていいぞ
〈なぁー亮太〉
「ん?なぁに?」
〈ん…んっ〉
「んんっ、ん」
〈あいつに邪魔されたからな やっと2人でゆっくりできる〉
「邪魔だなんて… あ、ねぇ、あすかさん」
〈ん?〉
「あのね、あすかさんが帰ってくるまでにね、
小春さんに あすかが変なやつに絡まれてないかって 聞かれたんだけど…何かあったの?」
〈…昔の話だが聞きたいのか?〉
「話してくれるなら…聞きたい」
〈…そうか 髪の話の時に少し話したな
あの時なー俺、小春に似た髪型しててな
あいつに惚れたヤツらにやられかけたことがあるんだよ〉
「えっ…」
〈知らねえやつはぶん殴ったりしてなんとかしたんだけど、親友だと思ってたヤツまでいてな〉
「…」
〈そいつに 小春…小春って…弄られたときはさすがに落ち込むの通り越してやばかったけどな〉
「あすかさ…ん」
〈ばか、泣くなよ 貞操は守ったしな 縁も切ったんだ 俺は、な
何年も前の話なのに、小春が心配してるだけだ〉
「そっか…あすかさん」
おっと…抱きついてきたな
「俺、小春さんと間違えないよ」
〈疑っちゃいねーよ?〉
「あすかさんだから好きなんだ」
〈…!ばーか…わかってるよ〉
話さないでおこうと思ってた
純粋で優しい亮太には耐えられないと思った
でもそんなことなかったな
俺が守ってやってる気になってたが…
俺が思ってるより、頼りになるし
俺が思ってるよりずっと真剣に想ってくれてんだな
【亮太point of view】
そんなに辛いことがあったんだ…
あすかさんのことは俺が守る!とは言えないけど…
俺がずっとそばで…
さっき実感したんだ
こうなると、男とか女とか関係ないんだ
"自分が好きになった人"の側にいられる
これだけで幸せなんだって
あすかさんにも、そう思ってもらえたらいいな…
〈なぁ?〉
「ん?」
〈今幸せって思ってるだろ〉
「どうしてわかったの!?」
〈顔に書いてあるぞ〉
「いつも思うけど、あすかさん俺の気持ち読めるの?お見通しが多い感じがする」
〈見てればわかる〉
「えー?」
〈俺が今何考えてるか、当ててみ?〉
「うーん…
亮太が好きだ!愛してる! どう?」
〈ばーか 風呂入りてーな だよ〉
「恥ずかしいやつじゃん!!今の流れだと合ってると思ったのに!!」
〈あほ んじゃ入るぞ〉
「うん!いってらっしゃい」
〈ふーん 一緒に入りたくねーんだ?〉
「あっ!!入る!…」
〈…覚えてろって言ったの覚えてるよな?〉
「あ、あすかさんっ!?」
〈ほら、行くぞ〉
すぐこういうこと言うんだから…
まぁ、お風呂は普通に入っただけでした…
緊張したのにっ!!
でも、そうだよね
俺らってエッチ…できないもんね
こういう関係でももちろん幸せだけど…
〈何考えてるか当ててやろうか〉
「当たらないと思うけどー」
〈セックスできないの寂しいなぁ とかだろ〉
「なっ!セッ…!!!」
〈当たったな 明日ジュースな〉
「…はい」
〈挿入だけが愛ではないからな?〉
「うん…」
〈俺はお前がそばにいてくれるだけで満たされてるけどな〉
「うれしい…俺も!」
〈そうか…さて、明日も仕事だ 寝るぞ〉
「はーい!おやすみなさい あすかさん」
〈おう、おやすみー〉
安心したらよく眠れそう!
ちょっとだけあすかさんの寝顔見たら寝よっと
〈ん…〉
ん?あすかさん?寝言…かな?
〈んん…〉
大丈夫かな…
キスしちゃおうかな
「ん…っ」
〈…なにしてる〉
「あ、ごめん 起こしちゃった」
〈嫌な夢を見ていた気がする ありがとな〉
「うん!」
よかったぁ…
〈亮太 ん、んんっ…好きだ…〉
「んん…っ、あすかさん…どうしたの?」
〈ごほうび おやすみ〉
「…うん!おやすみなさい」
何かあったら何でも言ってね
俺、あすかさんほどはできないけど
あすかさんのためなら…何でも頑張れるから…
「あ…すか…さ……」
〈…〉
【明日翔point of view】
亮太のやつ、ホッとした顔して寝てやがる…
俺、寝言でも言ってたのか…?
心配かけたな…
こうして何日か一緒に暮らしてるが
なんなんだろうな この安らぐ感覚は
ずっと1人でてきとーに生きてきて
他人と暮らすとか嫌なイメージしかなかったのに
それが全然ないもんな
俺達の相性がいいってことなのか…?
それならうれしいが
でも幸せすぎてなんかこえーな
こんな幸せを味わった後に、この先亮太が離れてったら、なんて考えただけで…
【ある日】
「あすかさん、このお店…」
〈おう、選ぼうぜ〉
「いいの…?」
〈いいから連れてきてるんだろ? ほら行くぞ〉
「うんっ」
ジュエリーショップに亮太を連れてきた
…女とも来たことなかったんだけどな
「これ!これがいいよ」
〈そうか、じゃあそれにしようぜ〉
「でも、急にどうしたの?」
〈カップルの証が欲しくなった〉
「ありがとう!俺もほしい!」
急に不安になった心を指輪で埋めようとしてんのかな 俺…
〈すいませーん これでお願いします〉
「あすかさん、声が…」
〈いいんだよ、堂々としてろ〉
「う、うん!」
サイズを直してもらって、
その場でお互いの指にはめた
誰に何を言われても構わない
堂々としていたかった
…亮太も、そう思っててくれてたらうれしいんだが
「見てほら!あすかさん」
〈俺もその指輪してるんだけどな〉
「わかってるんだけど、うれしくて!」
〈…お前は本当に…〉
「ん?」
〈離さねぇからな〉
「うんっ!」
友達のような恋人
それでいい それがいいんだ
【2ヶ月後】
すっかり職場に俺たちのことがバレた
ま、そりゃバレるよなー…
❲ちょっと!!葛城さん!最近亮太が女とデートしてるってほんと?❳
〈なんで俺に聞くんだよ 本人に聞けよ〉
❲聞けないから葛城さんに聞いてるの!ねぇ!相手って誰なの?❳
〈はぁ…知らねーよ〉
❲いいの?亮太がその女に取られちゃっても!!❳
〈それならそれでいいんじゃねーか?〉
❲なっ!本気なんじゃなかったの!?❳
〈…あいつがそれを選ぶなら俺はそれに従うまでだ〉
❲…なにそれ…
あんたの本気ってそんなもんなわけ!?
ねぇ!ちょっと、聞いてんのっ!?❳
うるせぇな…耳元できゃんきゃんと…
最近亮太がよく女とデートしているという噂が流れている
冴木も気になってるらしく俺に聞いてきたんだが…
〈…おい、いつまでこんな格好で俺を外に連れ出す気だ?亮太〉
「だってぇ…」
〈お前のせいで冴木まで噛みついてきてんだぞ!?なんとかしろよ〉
「綺麗なんだもん…」
〈くっ…お前、その顔やめろよ ずりーぞ〉
「ずるいってなに?」
〈お前、いつぞやのやり返してやがんな?
こんな服着るのも今日で終わりだからな!〉
「じゃあ、写真撮っていい?」
〈お、お前…〉
「…だめぇ?」
〈…誰にも見せるなよ?〉
「うんっ!!」
はぁ…ハロウィーンの仮装、とやらをやらされてからというもの、亮太のおねだりがひどい…
もう2度とやらんからな…
「あすかさん」
〈なんだ?〉
「怒った?」
〈…怒ってねーよ〉
「よかった!大好きっ」
〈はぁ…こいつ…〉
俺も甘くなったもんだ
いつかやり返してやるからな…覚えとけよ…
【亮太point of view】
あすかさんにハロウィーンでコスプレをしてもらったんだ
その時の姿が本当に綺麗で…
たまに外でデートしてもらってたんだ
洋服は小春さんがおもしろがって貸してくれるからサイズもピッタリだし、髪が長いから ちょうどよくて!
ちょっと目つきが悪い女の子なんだけど…
でもそうだよね…
あまりにも綺麗だから、自慢したくて外でのデートをお願いしちゃったけど…
何回もは嫌だよね…
でも、最後に…
「あ!あすかさん!まだ脱がないで!」
〈は?なんで…っておい、お前…まさか〉
「…脱がしたい」
〈…はぁ…やめとけって…〉
「ねぇ、腕ちょっと貸して?両方」
〈あ?何する気だ…?〉
「よし、これでいい」
〈あっ、力、強えっ お前…いい加減に…〉
「ん、んっ…」
〈ん、…んん…〉
腕を抑えつけて、女の子としてるみたいに服を脱がせてたら
興奮して気持ちよかったはずなのに萎えてしまった
「あ、あれ…」
〈…はぁ、だからやめろって言ったろ〉
「なんで…」
〈よっと…ほら、これでしてみ?〉
服を脱いで、化粧を落としたあすかさんとキスしてみた
「…あ」
〈な?〉
「俺、もう女の子じゃ無理なんだね」
〈女の子じゃ、じゃねぇだろ
俺じゃなきゃ、無理なんだろ?〉
「あすかさぁん…」
〈ばーか もうこんなのは終わりだ
わかったな?〉
「うん!」
それ以降、その噂も消え 普段通りの平和な生活に戻った
俺とあすかさんは、いつも通り堂々と手をつないで外を歩いている
冴木さんも安心?してくれたみたい
あれから…あすかさんがだいぶ意地悪だ
今度は俺に女装させてきたんだけど…
〈…やめような 化粧しなくてもわかる
似合わんし萎える〉
「なんか傷つく…」
〈あ!外行って肉まんでも食おうぜ 早く着替えて行くぞ …それとも、そのまま行くか?〉
「やだよ!着替えるから!!待って!!」
〈わかったから ほら早くしろよな〉
「あ!もう!あすかさんっ!」
豚まんを頬張ってるのにキスされて半分ガブリと
持っていかれた…
〈油断すんなよ あほ
ほら、俺のピザマンも半分やるから〉
「ありがと!ピザマンも好きー!」
あー…この顔も声も全部好き
でも、あの時の写真はこっそり待ち受けにしてる…
とっても綺麗で、俺の自慢なんだ
俺の"彼氏"は…
タイトル〘喫煙所の恋煩い〙
Fin…
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