喫煙所の恋煩い.1
最近見ないな…どうしたんだろう
部署も名前も知らない人に恋をしている
部署が違うのだから毎回タイミングが合うわけないとはいえ3日もあくことなどなく1年以上毎日顔を合わせていたのに、ここ3日くらい1度も目にしていない
あの人は誰なんだろう
休んでるのか…辞めたのか…?
あの人を見てるのが仕事中の楽しみだったのに…
『ぼけっとしてんなよー亮太』
「あっすみません、先輩」
『どうしたんだよ、寝不足か?』
「いや…」
『よし!飲みに行くか!相談にのるぞ!』
「先輩が飲みたいだけでしょーそれー」
『あははは!そうだ!行くぞ!』
俺は今までの話を先輩、村上さんに話した
『へぇーおれ、煙草吸わねぇからなー誰なんだよ』
「わかってたら悩みませんってー」
『そりゃそうだな 3日間連続で休んでるやつかー
明日調べてやろうか』
「ちょっと…この会社何人勤めていると思ってんですかー」
『この会社で3日も連チャンで休みが取れるわけないだろ…』
「…たしかに…」
『まかせとけ!おれ顔広いからさ お前と違って』
「ー言多いですよ…でもありがとうございます
お願いします」
まぁ、期待しないで待とう…
そもそも、休んでないかもしれないし
煙草やめただけかも
明日になったら、喫煙所で会えるかもしれないし
なんて淡い期待をしながら村上さんにご飯をごちそうになった
【翌日】
…いない 無駄に5回も来ているが、会わないな
やっぱり辞めたのかな
『おーい 亮太 見つけたぞ』
「え!?見つかったんですか!?誰でした?」
『人事のカツラギアスカって子みたいだな 今日は来てるみたいだぞ?確認してこいよー
顔はわかるんだろ?』
「はい、見てこようかな…ありがとうございました
助かります」
『まぁ、本当にその子かはわかんねぇけど、とりあえずな』
人事のカツラギアスカさんか…
あ、ほんとに来ちゃった…変に思われないかな…
「あ、あのカツラギさんはいらっしゃいますか?」
〔えーっと、あ、カツラギーお客さんだぞー〕
〈はーい〉
ドキドキするな…あ、あの子だ…いた!
〈はい?俺が葛城ですけど…って、あんたは…〉
え?俺って言った?
え?
「あ、えーっと…坂本亮太っていうんですけど…」
〈…喫煙所でよく見る顔だな、なんか用か?〉
「あ、いえ、すみません 何日かいなかったから気になっちゃって…」
〈…家の事情で休んでたんだ っていうかわざわざここまで来たのか?〉
「あ、はい 休憩のお邪魔してすみませんでした」
〈いや、いいよ また喫煙所でな〉
「はい」
男だった…え!?髪も綺麗で顔も綺麗だから、女性だと思い込んでた…
名前がアスカってのも、罠だよね…これ…
はぁ…え?俺、男の人のことを好きになってたの…?
っていうか、絶対変なやつだと思われたよね!?
どうしよ…
【明日翔point of view】
び、びびったーーーーなんであいつが!?
もしかして俺のこと女だと思ってたとかないよな?
俺のこと心配してきてくれたんだな…
あーいや絶対女だと思ってたな…
休憩中は髪下ろしてるからな…
はぁ…紛らわしいか 結んでおくか…
煙草吸ってこよ
〈あ〉
「あ、カツラギさん さっきはすみませんでした」
〈いいよ 改めて葛城明日翔だ よろしくな〉
「坂本亮太です 髪結んでるんですね」
〈普段は休憩中は下ろしてるんだけどな〉
「あの、俺…すみません、女性だと思ってました」
〈やっぱりそうか スーツなんだからわかりそうだけどな…〉
「すみません…葛城さん、背が高いから顔しか見てなくて…」
〈いや、いいって!喋ったこともなかったからな〉
「ですね 先輩、ですよね?俺、24なんですけど」
〈そうだな 28だ あれだな、お近づきの印に飲みにでも行くか?〉
「はい、お願いします!」
《じゃあ、連絡先交換しとくか Rileでいいか?》
「はい!」
トントン拍子で話が進んだ
まぁ…ダチでもいいか
俺達は仕事終わりに飲みにやってきた
不思議なもんで、今日初めて会話をしたとは思えないほど盛り上がった
亮太はサッカー観戦するのが好きで、自分でもたまに友達と集まってやるという
俺も試合を見るのは好きだから今度見に行くか!なんて言いながら楽しく飲んでいた
「やぁーそれにしてもあすかさんが男らんてー」
〈…そんなに女に見えるかー?〉
「見えてまひたよぉ…好きらったのにー」
〈…酔ってんな おい、もう飲むなよ〉
「酔ってませんてば、あすかさんものみましょーよー……んー…」
〈おい、亮太?あ、おい!寝たのか!?ったく…
お持ち帰りしちまうぞー起きろー〉
「…Zzz」
〈はぁ…すいませーん、おあいそお願いしまーす〉
しょうがねぇ、うち連れてくか…
タクシーっと…
重いな…こいつ、筋肉しっかりあるじゃねーか
よっと…
はぁーーー疲れた
そんなに飲んでねーのにこれか
これからは飲ませすぎないようにしないとな
〈それにしても起きねぇな 襲っちまうぞ?〉
可愛い顔して寝てやがる
呑気なもんだ
ほっぺたをツンツンしたりしてみたが…
起きそうにねーし シャワーでも浴びてくるか
ふー…軽く飲み直すか? いや、ねみーな…
ちょっと横になるか
…
ん…なんだ…
なんか、キスされてるよーな…
〈ん…?ちょ、ちょっと待て!〉
「あすかさん 俺…」
〈おいおい…お前ノンケなんじゃねーのかよ〉
「すみません…」
〈はぁ…ほら、こっち来い〉
「あ…っ」
抱きしめてキスした
とびっきり濃厚なやつ
〈気持ちよかったか?〉
「はい…」
〈お前、どーせこっちはしたことねーだろーから、このくらいで勘弁してやる〉
「どうしよう、これ…」
〈はぁ…抜いてやろーか?〉
「……!!」
真っ赤な顔して…可愛いやつ
んでもまぁ、ノンケだもんな どーせ断ってくるだろーし
嫌われても困るな
《冗談だよ、あほ 我慢できねーなら風呂場でやってきていいぞ》
「あすかさん、あの…」
〈なんだ?〉
「あすかさんに、してほしい…」
はぁーーーーー!?
なんでノッてくるんだよ
俺咥えたことなんかねーぞ!?
「…だめ?」
〈お前…ったく…しょうがねーな…〉
ーーーーー
「あすかさん…ありがとう、すみません」
〈謝るなよ まったく〉
「俺…男の人と初めてだから」
〈だろうな っていうか俺も初めてだぞ?〉
「え!?」
〈なんだよ〉
「慣れてるから…男が好きなんだとばかり…」
〈俺はノンケだ!ばかやろう〉
「え、じゃあ、な、なんで…?」
〈なんでだろーな 責任とれよ?〉
「は、はいっ」
〈…あほ 返事してんじゃねぇよ〉
こうして、お互いノンケなのに男を好きになった男達が出来上がった
「こういうときってどうしたらいいの?」
〈俺に聞くな!知らねーよ!〉
「とりあえず、挿入まではできそうだけど…」
〈無理しなくていいだろ、その先は
俺嫌だぜ 尻とか〉
「俺も…」
〈ま、気の迷いかもしんねーし 貞操は守ろうぜ
お前に好きなやつでもできるかもしんねーし
女の〉
「…」
〈なんだよ、その顔は〉
「あんまりそういうこと言われたくない…」
〈…女かよ あほ〉
「だって!」
〈わかったよ、ほら〉
「あすかさん…」
女みてーに扱えば良い気がして
抱きしめて頭ぽんぽんしたら、ご機嫌になってきた
わかりやすくて助かるぜ
「会社には内緒だよね?」
〈そりゃそーだろ めんどくせーことになりそうだ〉
「じゃあ…家の中だけかーこうしてられるの」
〈お前可愛いとこあんのな ずっとくっついてたいのか?〉
「…好きな人とはそうしたいもんじゃないの?」
…そりゃまぁ、そうか
ん?…そうなのか?
【亮太point of view】
飲めないのに楽しくて結構飲んじゃった…
いつの間にか眠ってたみたい
目が覚めたら、隣りにあすかさんが寝てて
シャンプーのいい匂いがしたんだ
そしたら、我慢できなくて…
俺、女性しか好きになったことなかったのに…
どうしちゃったんだろ…
あすかさん、意地悪なことばかり言うんだ
俺に好きな人ができるかも、とか
あすかさんにできるかもしれないじゃないか…
あ…そうなるかもしれない、というか
そのうち捨てられちゃうんじゃないか…飽きられるんじゃないかって思ったら
無性に不安になってしまった
そうしたら、抱きしめてくれた
意地悪なとこと優しいとこの緩急に沼りそうで少しこわい
〈このまま泊まっていくだろ?〉
「いいの?」
〈いいよ〉
「あ!お金払ってない」
〈気にしなくていい どーせ俺が払う気でいたんだから〉
「そうなの…?ありがとう ごちそうさまです…」
〈…〉
「?どうかしたの?」
〈お前さ、俺がお前のこと好きだったの知ってたのか?〉
「え!?知らなかった…そうだったの?」
〈なんかずっと、お前のこと気になっててさ
ほら、休んでたろ?俺〉
「うん」
〈そんときも会いてぇなーなんて思ってたんだぜ〉
「そうだったんだ!うれしい」
〈だから、不安になんかなるこたーねーよ〉
「…!!」
〈わかりやすいからな、お前は〉"ぽんぽん"
「ありがとう!」
すごいや…なんでもお見通しなんだ…
沼ってもいい 後悔なんかしない
俺は、あすかさんが好きだ
〈遠慮なんかすることないぞ 何かあったら言ってくれ 言葉にしてくれないとわからないからな〉
「うん、そうする」
〈1人で悩むとかやめてくれよ
俺の知らないところで泣く、とかな〉
「わかった ありがとう じゃあさ…」
〈ん?〉
「抱きしめてほしい」
〈ほら〉
「うん!」
〈あ、お前そういや、鍛えてんのな 重かったぞ〉
「あすかさんはほっそりだね?」
〈鍛えてねーからなー俺は〉
「背が高くていいなぁ」
〈…お前はそのままでいい〉
「うんっ!」
なんでも言葉にしてくれる うれしい
このひとことひとことが、不安を消してくれる
【明日翔point of view】
可愛いやつだなーほんと
言う事聞いてちゃんと言葉にしたな
不安だったんだろうか
俺に捨てられるとか思ってたんじゃねーだろーな
俺がどんだけ…
まぁ、いいか 今こうなれたんだ
〈離さねぇからな〉
「あすかさんっ!ずるい!」
〈なにがだよ〉
「ドキドキしてきた…」
〈ばーか〉
「もう、あすかさん!…ふぁーあ」
〈寝るか?〉
「もったいないなぁ…せっかく一緒にいるのに」
〈明日も1日いられるだろ?早く寝ろ〉
「はーい…おやすみなさい」
〈おう、おやすみー〉
人生が変わった1日だったな
昨日まで見てるだけでいいと思ってたのに
さっきまで友達でいられればいいと思ってたのに
俺の隣りで寝てるんだもんな…
さ、俺も寝るか…
…ん、んん…
〈おい…寝ろっつったろ?〉
「寝てますー」
〈あほ ん、…〉
「あすかさ、んん…」
腕枕してやったらやっと寝たぜ…
甘えん坊か 可愛いやつ
【翌日…亮太point of view】
「ねぇ、あすかさーん…」
〈おはよ どうした?〉
「おはよう…これぇ…」
〈お前…ったく、どうしてほしい?〉
「あ、う…」
〈…んー?〉
「あすかさんしてよー…」
〈どうしてほしい?って聞いてんだけど?〉
「口で…あの…して…ねぇ!恥ずかしいよ…」
〈良く言えました〉
ーーーーー
「ありがと…ふぅ…」
〈俺のは?〉
「…いいの?」
〈おい、できんのかよ?〉
「してみていい?」
〈おう〉
…口に含むことはできたけど
やっぱり無理だった
あすかさんのなのに…俺…
嫌われちゃうかな
「ごめん…」
〈あほ 謝らなくていい 無理することないぞ〉
「でも…」
〈ゆっくりでいいだろ 別にしなくたっていいぞ〉
「うん…」ぐぅーーー「あ…」
〈可愛いやつ ほら、シャワー浴びて飯食い行くぞ うちにはなんもねーからな〉
「うん…」
俺のバカ!!
こんなときにお腹鳴っちゃった
あすかさんとシャワー浴びて出かける準備して
〈さて、何食いてぇ?〉
「うーん モーニング行きたい」
〈喫茶店か…駅前にあったな…行くか おい、ほら〉
あ…手つないでくれてる…うれしい…
【喫茶店 明日翔point of view】
〈いろいろ選べんのか…どうするかなー
亮太どうする?〉
「トーストとスクランブルエッグにサラダにする」
〈そうか じゃあ俺はホットドッグとサラダにするか コーヒーでいいのか?〉
「うん!」
さっきのは気にしてなさそうだな…よかった
無理させすぎたかもしんねー
ノンケだもんな
〈ほら、半分食うか?〉
「え、少食?俺のも食べる?」
〈いらん〉
「足りるの!?」
〈普段食わないしな 充分だ〉
「だから細いんだ…」
〈細いか?〉
「うん!スラッとしててかっこいいよ!!」
〈おいおい、声でけーな〉
「あ…あはは」
〈ここうまいなー 初めて来た またこよーぜ〉
「うん!あれ、いつもはどうしてるの?」
〈朝は食わない 昼はてきとー 夜もてきとー〉
「俺、作ろうか?」
〈作れんのか?〉
「うん!昼も弁当持ってってるよ」
〈へぇー愛妻弁当かーいいな〉
「!!」
いちいち照れてやがる
さて、腹いっぱいだー
〈うち帰るかーあ!いつから作ってくれんの?〉
「月曜からお弁当作ってくるよ」
〈今日は?帰っちゃうのか?〉
「ずっといたくなっちゃうけど…いいの?」
〈いいぞ〉
「じゃあ、着替え取ってくる!」
〈おう じゃあ、駅そっちだから行くか
帰ってきたら買い物行こーぜ 道具もなんもねーからな〉
「うん!!」
〈ついたら連絡くれ 迎えに行くから〉
「ありがと!じゃあ行ってくる!」
家帰るのもあれだから、駅前うろちょろしとくか
弁当箱も買ったほうがいいよな
ちらっと雑貨屋見てたら いろいろあんのなー
ある程度揃えないとだめだよなー
あ、もうひとつの部屋使ってもらってもいいしな
なんて考え事してたら、ついたって連絡がきた
あ、きたきた…っておい、何日旅行に行く気だよ!ってくらいでけぇスーツケースできたな…
「おまたせっ!」
〈すげー荷物じゃん 1回部屋帰るか 荷物になるだろ〉
「うん!」
〈それにしても…これ、何入ってんだ?〉
「スーツに、服に枕にフライパンに包丁に…」
〈おい、調理道具も持ってきたのか?
持ってきちゃって大丈夫なのか?実家だろ?〉
「大丈夫だよ、俺のだから」
〈そうか 必要なものがあったら言ってくれ
あとででも、今度でも買おうな〉
「うん!ありがとう」
〈っていうか、枕…変わると眠れないのか?〉
「あった方がいいかなって!あすかさんの腕枕、
毎日ってわけにいかないし!」
〈あ、そうだ 部屋もう1つあるから、そっち使ってもいいんだぞ?〉
「…一緒がいい だめ?」
〈ばーか だめなわけないだろ〉
「うん!!」
でけぇスーツケースを置いて、また外に出た
スーパーに行って、食材やら調味料やら、とりあえず今いるものを買って帰ってきた
〈あ、弁当箱買ってねぇや〉
「あるよ?」
〈2つもあるのか〉
「お揃いのやつだけど…いい?」
〈おう〉
「い、いいの?」
〈いいよ〉
「だめって言われると思ったのに」
〈なんで?〉
「内緒っていうから」
〈こっちからは言わないってだけだろ〉
「同じお弁当箱とか噂とかされちゃうかも…」
〈嫌か?〉
「ううん!あすかさんは?嫌じゃない?」
〈全然 気にしない〉
「よかったーほんとにお揃いにしちゃったから」
〈気にしすぎだろ 用意してくれてありがとな〉
「うん!」
へぇ…なんか、手際よく肉やら野菜やらを切ってるな
〈何してんの〉
「冷凍するんだ こうしておけばすぐ使えるから」
〈へぇー〉
「全然料理しないの?」
〈しないな〉
「じゃあ、俺にまかせといて!」
〈頼む〉
すげーみるみるうちに冷蔵庫も冷凍庫も綺麗に
埋まっていってる
肉も魚も小分けにして袋に入れてあるのか
一人暮らしなのにある程度でかい冷蔵庫使ってたけど まさかこんな光景が見られるとは
水と酒ばっかりでほとんど空だったからな
いい嫁さんになりそうだなー
エプロン似合うなー
「…なんか恥ずかしいよ」
〈早く終わらせろよー俺暇だからずっとお前のこと見てるしかねーからな〉
「も、もうっ!」
〈冗談だよ 掃除でもしてるわ〉
「…行っちゃうの?」
〈…早く終わらせろよ?〉
「うん!!」
こいつに甘えてこられんの、弱いんだよな
無自覚なんだろうが…
あー可愛くて仕方ねぇ
【亮太point of view】
「はい、できあがり!」
〈おーハンバーグか!うまそー いただきます〉
「どうかな…」
〈うめぇー!店のやつじゃん!〉
「ほんと!?よかった!」
〈ありがとなー作ってくれて 本当にうまいよ〉
「うん!!」
うれしかった
あすかさんがほめてくれた
部屋に住まわせてもらうんだ
このくらいさせてほしい
〈ほんと、うめぇなー
いいお嫁さんになるなー亮太〉
「俺、男なんだけど…」
〈お嫁さんでいいだろ?俺の〉
「もう!あすかさん!」
照れる…こういうことを、さらっと言うんだから
俺が照れるとにやにやするんだ
よろこんでくれてるってことでいいんだよね?
〈おかわりってあるのか?〉
「あるある!お茶碗貸して!」
〈頼む ありがとう〉
〈ふーごちそうさま!久々に手料理なんて食べたもんだから 食いすぎたー〉
「よろこんでもらえてよかったー」
〈あ、俺洗い物するわ〉
「いいよ、俺が」
〈いいんだよ 座ってろ〉
あすかさんが食器を洗ってくれている
背が高くて、スラッとしてて
本当に綺麗だ…
〈…なんだ?どうした?〉
思わず後ろから抱きついちゃった
「あすかさんが綺麗だから」
〈あほ〉
「くっついてていい?」
〈もう終わる あっちいこーぜ〉
「うん!」
ソファに座って、テレビ見ながら隣り同士で座って手をつないでみた
離されるかと思ったけど、ずっとつないでくれる
「こういうの、嫌じゃないんだね?」
〈お前だと、嫌じゃないな〉
「…前は嫌だったの?」
〈基本的に、誰も部屋にあげたことはないからな〉
「え?」
〈付き合ってた女はいたけど連れてきたことはない 部屋の中でまでベタベタしたくなかったからな〉
「…俺、迷惑じゃない?」
〈お前はいいんだって〉
「よかったぁ」
〈不思議なんだよなー〉
「うん…」
〈お前もいたんだろ?彼女とか〉
「高校生の頃とかだよ」
〈最近じゃないのか〉
「ずっと気になってた人がいたから…」
〈喫煙所の女、か〉
「うん あすかさんのことね」
〈…いつからだったんだよ〉
「1年前かなぁ」
〈俺のが長いな〉
「え!?いつ?」
〈お前が入社してすぐになるんだろうな
そのときは髪短くしてたから、俺がその女だって
わかんなかったんじゃないか?〉
「わかんないかも 俺のあすかさんのイメージは今の髪の長さだから」
〈だよな そのときの俺だったら、こうはなってなかったと思うしな〉
「どんな感じなんだろ?」
〈写真あったっけなー〉
あすかさんがスマホの写真アプリををスクロールしてる
〈あったあった これ〉
「…!!!!」
〈ん?〉
「イケメンだぁ」
〈あほ〉
「モテるでしょ、あすかさん」
〈片っ端から断ってるけどな〉
「そうなの?」
〈OKしてほしいのか?〉
「そうじゃないけど…」
〈お前、ヤキモチとか妬くの?〉
「…妬くと思う 今もちょっと…」
〈可愛いじゃん〉
「あすかさんは?」
〈今までは妬いたことなかったけどな…お前だろ?
どうなるんだろうな?〉
「妬かせてみたいかも」
〈へぇ…やってみ?〉
「その顔やめて ずるいから」
〈ずるいってなんだよ〉
「あと、声もだめ ずるいから」
〈だからなんなんだよ〉
教えてあげない
髪が短いあすかさんも好きだな…
今の長い髪も好きだけど
そういえば、どうして髪伸びしてるんだろ…
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