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第45話:魔王の仕上げ
「織田さま……もう、よろしいではありませんか。大坂城は落ち、これでようやく、私の戦は終わりです……」
大坂の焼け跡で座り込む家康の頬を、信長は冷たく叩いた。
「だまっとりゃあ! ここからが本当の仕上げだがや! おみゃあがこれから作るのは、誰も死なない代わりに、誰も夢を見られん世界だわ。孤独な管理者として死ぬまで働け!」
それから一年。信長の「仕上げ」は苛烈を極めた。隠居先の駿府にまで信長は現れ、山のような法度の草案を家康に押し付けた。
「ほれ家康、公家の首も寺の首も、この書類一枚で締め上げるんだわ! サボるんじゃにゃあぞ!」
「ひぇぇ、目がかすみますぅ! 鷹狩りもできず、毎日毎日、書類の山……。私は、私はいつになったら休めるんですかぁ!」
「ええがや! おみゃあが必死に筆を動かす姿を見て、天下の武士どもは『戦うより従うほうが楽だ』と思い込むんだわ。おみゃあは生涯、この平和という名の檻の掃除係だわ!」
家康は、信長に急かされながら諸法度を血眼で完成させた。この国の平和と引き換えに、家康の寿命は急速に削り取られていったのだ。
「……もう、限界です……」




