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第35話:駿府大御所政治
「織田さま、ようやく駿府で静かに暮らせます。富士を眺め、鷹狩りをし、たまに薬を調合する……これこそが私の望んだ平穏です」
駿府城。家康が安堵の息を漏らした瞬間、背後から信長が薬鉢を家康の頭に叩きつけた。
「だまっとりゃあ、家康! おみゃあ、隠居したつもりか? 江戸に秀忠を置いて、ここでおみゃあが二重政府を作るんだわ。二つ頭の蛇になって、日本中を締め上げろと言っとるんだがや!」
「二重政府……? それでは秀忠が飾り物になってしまいます!」
「飾りでええがや! おみゃあが駿府で実権を握り続け、大坂の淀を恐怖で狂わせるんだわ。おみゃあが富士山の下でニヤニヤしとるだけで、あのおなごは次はいつ攻めてくるかと夜も眠れんくなる。それが一番の兵法だわ」
信長は家康が調合していた薬をぶち撒け、その鋭い眼光で家康を射抜いた。
「家康、おみゃあに余生などにゃあぞ。死ぬまで戦え。駿府を日本一の諜報基地にして、豊臣の息の根を止める毒をここで作り続けるんだわ。ほれ、鷹を飛ばせ! その鷹の目で大坂の隅々まで覗き見してやるんだがや!」




