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死体の山で蝿に囲まれていた少女は、“蝿の王女”と呼ばれながら人間になることを学んでいる  作者: ベルモット
第3章 使われる力

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触れなかった過去

 地下の空気はまだ冷たい。


 男は拘束されたまま黙っている。

 私はタケトシを見る。


「灰鐘と、前に関わったことがあるんですか」


 私の問いに、タケトシはすぐには答えない。


 わずかに息を吐いてから言う。


「ああ。任務でな」


 それ以上続けない。


「どうなったんですか」


 私が重ねると、タケトシは壁に視線を向けたまま答えた。


「協力していた連中がいた」


「ある日、連絡が途切れた」


 淡々としている。


「不自然だった。だから追った」


 そこで声がわずかに低くなる。


「だが、痕跡は消えていた」


 私は息を詰める。


「灰鐘がやったんですか」


 私が聞くと、タケトシは短くうなずいた。


「ああ」


「やつらは自分では動かない」


 タケトシは私を見る。


「金と情報で人を動かす」


「用が済めば切る」


 私は拳を握る。


「今回の襲撃も」


 私が言いかけると、タケトシが続ける。


「似ている」


「直接来ない。試す。反応を見る」


 地下が静かになる。


 私は小さく息を吐く。


「……だから様子を見るんですか」


 私の問いに、タケトシは視線を外さない。


「焦れば、同じことになる」


 それだけ言う。


 私はうなずく。


「今回は」


 私は言う。


「消させません」


 タケトシの目がわずかに揺れる。


「無理をするな」


 タケトシが言う。


「無理はしません」


 私は答える。


「でも、目は逸らしません」


 地下に静けさが落ちる。


 灰鐘は見えない。


 でも、もう他人事じゃない。

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